おなじみの Be-Ro の、自社製品セルフ-レイジング・フラワーを使ったベーキング・レシピの小冊子。、
赤いサクランボが載った可愛らしい
ヴィクトリア・スコーン Victoria scones をつくってみました。
聞きなれない名前の、由来はどこにものっていません。
もちろん、ヴィクトリアというのは19世紀の大英帝国の繁栄期に君臨した女王のことでしょう。
セルフ-レイジング・フラワー、8オンス(230グラム)
塩、小さじ半杯、
ラード、2オンス(60グラム)
砂糖、2オンス(60グラム)
溶いた卵、1個
牛乳、適量
半分に切ったグレイス・チェリー glace cherry (サクランボの砂糖漬け)、8個分
小麦粉に塩をふりいれ、ラードを練りこみ、砂糖を加えます。卵と牛乳を入れてのばせる程度の硬さになるまで手でこねて、4等分します。
4個のドウをそれぞれまるく麵棒でのばし、ナイフでさらに4等分します。
グレイス・チェリーをのせて、溶いた卵を表面に塗って、オーブンで焼く。
425度F(220度C)の高温で、10分。
最初につくった「フルーツ・スコーン」がふくらまなかった記事、のリンクを含む、2度目のスコーンについて書いた記事を読んでみてくださいな。↓↓
再度挑戦、1950年版スコーン、今回はプレーン・・・ふくらんだ!
セルフ-レイジング・フラワー self-rising flour というのは、小麦粉(フラワー)125グラムに対して3グラムの割合で、ベーキングパウダーがすでに配合してある、イギリスではおなじみの便利な市販のベーキング用小麦粉です。
このレシピ小冊子を発行した、Be-Ro 社は世界に先駆けてセルフ-レイジング・フラワーを発明した、イギリスの老舗製粉会社です。
このレシピが出版された1950年代はもしかしたら、小麦粉に対するベーキングパウダーの割合が大きかったのでしょうか。
うちに常備してあるスーパーの自社ブランドの、現在の標準配合のセルフ・レイジング・フラワーだけでは、ふくらまなかったんです。
で、2度目の挑戦、「基本のスコーン」には、セルフ・レイジング・フラワーに、さらに小さじ半杯のベーキング・パウダーを加えてみました。成功。
今回もベーキング・パウダーを加えました。
成功。
甘すぎず、好評でした。
ジャムもバターもつけずにサクサク、ビスケットのように食べました。
さて、インペリアル法の話です。
インチ、フィート、マイル(長さ、距離)
オンス、ポンド、ストーン(重さ)ほか体積、容量、温度、広さ・・・すべて10進法じゃないのがひどく厄介です。
イギリスでも1960年代から、EU規格をにのっとって、メートル法を取り入れているはずなんですが・・・・・・あまり、普及しているとは、いえません。
私がイギリスに来た26年前は、インペリアル、一辺倒でした。
私は計算が苦手。暗算でインチをセンチメートルに換算するとか、インチの長さを認識しておぼえる努力は最初から、しませんでした。
長さの話が出るたびに巻尺で確認、テキスタイルを勉強をした学校で不可欠だったので、そのうちおぼえました。
当時すでに小学校ではメートル法が教えられていたそうですが、実生活にはあまり応用されていなかったみたいです。
1995年に、イギリス中の、スーパーマーケットを含むすべての小売店がメートル法での表示を義務付けられました。
インペリアル法の表示がスーパーでは姿を消した最初の週に、たくさんの客、特にお年寄りが新聞記事を切り抜いた換算表を手に、肉売り場でおろおろしてしているのを係員が説明しまわっていました。
ちょっとした、パニックでした。
メートル法の採用、日本人の私はもちろん大歓迎。
今は、いつの間にか緩和されたようで、メートル法とインペリアル法の併記が主流です。
私はもちろん、メートル法をたよりにしています。特に食品の重さはいまだにオンスでいわれてもピンときません。
なぜか、イギリスでも、比較的メートル法が浸透しているのはお料理レシピ。
ウェッブサイトはすべてメートル法です。
1995年のインペリアル法廃止令と関係あるのかもしれません。
しばらくの間、たしかにメートル法のみで買い物をしなくてはならない時期がイギリスにもあったのですから。
なぜか、牛乳とビールはいまだに堂々と、パイント売りです!
うちでいつも買うサイズのプラスチック・ボトル入りの牛乳は1.136リットル。
ラベルにはこのハンパなメートル法と並んで、「2パイント」とインペリアル法でも明記してあります。
パブでビールを注文するのも、1パイントか、半パイント。
イギリス早朝の風物詩、1パイント瓶入りの牛乳の宅配がすたれて10年近くたちますが「牛乳1本」、の量は、「ビール一杯」とともに、ミリリットルでは表現できないイギリス人の体に染み付いた感覚なのかもしれません。
身長、体重はフィート/インチとストーン/ポンドで話さないと絶対にイギリス人には通じません!
どこに行ってもダイエットの話に巻き込まれるので、これも自然とおぼえました。
警察や病院ではメートル法で記録を残すそうですよ。
でも、逃走中の犯人や行方不明者などの容貌(身長/傷などの特徴)はかならずフィートとインチで市民に通告されます。
なぜか、子供服のサイズは、最近はほとんど、メートル法の身長(センチメートル)で表示されています。
今20歳の上の子供が小さかった時は、たしかに年齢表示がおもだったのですが。
大人用既製服の、バスト、ウエスト、ヒップと、男性の首周りは必ずインチ表記、自分のサイズをセンチで言える大人は少ないと思います。
業界のちょっとした混乱がうかがえます。
私はイギリスに来て車の運転を習ったので、距離や速度はキロメートルより、マイルのほうがわかりやすいです。
道路の距離表示はすべて、マイルです。
生地屋さんでは、メートル法とインペリアル法の2本立て表示にもかかわらず、私の知る限りすべてのイギリス人がヤードで注文しています。
でも「3メートルください」というと、ちゃんとものさしのメートル法目盛り側で計って切ってくれますよ。
客のほとんどがおばあさんの、ストックポートのマーケットの洋裁小間物屋では、すべてインペリアル表示のみです。EUの規格違反だと思うのですが、どうでしょう。
1ヤード、25ペンスのリボンを試しに「2メートルください」と言ってみたら・・・だいじょうぶ。店番のおばあさんは「1メートルは32ペンスだけど、いい?」と確認したあと、ちゃんと2メートル切って売ってくれました。1ヤードは1メートルよりちょっと短いんです。
メートル売りもするのなら「1メートル、32ペンス」とも書いておけばいいのに、って思いませんか?
お年寄りの客を刺激したくないんでしょうか?
1995年の小売店でのメートル法表示に切り替えパニックの時にはお年寄りが「メートル法が憎い、やめて欲しい、EUくたばれ」とぼやいていたと聞きました。
昨年の国民投票では大多数のお年寄りがEU離脱に投じたそうですが、世界の大勢、メートル法についていけないことと関係あるのかもしれません。
EUの規制外のアメリカ合衆国ではどうどうとインペリアル表記一本のようです。
英語を解する世界中の人のアクセスが予測される、アメリカの手工芸、料理レシピ、ショッピングなどなどのウェッブサイトでいまだにインペリアル表記のみが大勢です。
アメリカ人の国際性のなさと、視野の狭さがうかがえると思えるのですがどうでしょう。