昨日の夕方、コロナウィルスのワクチンの一回目の接種を受けました。
「接種認定カード」にはハートに王冠 のかわいらしいロゴが印刷されています。
「コロナ」ってスペイン語やイタリア語などのラテン語系の言語で「王冠」という意味があったはずです。
憎いウィルス、まじめな接種計画にこんなかわいい表現を使っていいのでしょうか?
ちなみにイギリスでは「コロナウィルスによる感染症」のことはもっぱら 「コーヴィッド」とよんでいます。
日本でおなじみの呼び方、「コロナ」は単なるウィルスの通称としてしか認識されていません。
そうそう、私のワクチン接種。
夕方6時に予約した接種会場、マンチェスター・ラグビークラブにつきました。
1か月前に、夫が同じ場所で接種を受けました。
その時のことについて詳しく書いた記事のリンクです☟
むやみに寒い週末の午後、体調が心配だったうちの夫が待ちに待ったワクチン接種、これで少し安心できる(か?)
その日も土曜日だったのですが、静かでした。
今回の人の多さとは雲泥の差です。
午後6時から6時半までというおおざっぱな予約をした人たちが、接種会場のクラブハウスに向けて、駐車場を通って、ラグビー場に沿って、ラグビー場の終わりで折れ曲がって、グネグネと長蛇の列を作る様子を写真に撮りました。
日の長くなってきた、黄昏時の空に冬木立のシルエットに囲まれたラグビー場の景色はなかなか美しかったのです。
ソーシャルディスタンシング対応の間隔をとった長い長い列でしたが意外に早く進みました。
スマートフォンをながめながらつかつかと歩いて列のあいだが詰まると、係の人に注意を受けます。
2月に接種のはじまった、私の属する「健康に特に問題はなく、医療介護関係の仕事についているわけではない55歳以上~60歳=第8プライオリティ・グループ」は、夫の属する「70歳~75歳と重症化しやすい非常に重篤な基礎疾患のある人=第4プライオリティ・グループ」にくらべるとめちゃくちゃ数が多そうです。
この近くて便利なラグビー・クラブで接種を受けることになった経緯が込み入っています;
先週の火曜日に NHS(国家保健サービス)から私に手紙が来ました。
「NHS のウェッブサイトにアクセスして、接種会場を選んで予約の手続きをするように」と書かれていました。
そのウェッブサイトで予約ページに進むには医療関係ではおなじみの、本人であることを確認するための生年月日の他に手紙に記載された予約登録番号まで入力しなくてはなりません。
私の郵便番号からリストアップされた最寄りの会場のリストはびっくりするほど遠方で、不都合なことこの上なしな場所ばかりだったのです。
夫の時にいっしょに行った、車で15分足らずのこのラグビー・クラブはリストに入っていないのです。
「リストに上がっている場所が不都合ならば、一度閉じてまたあとで戻ってください、新しい会場が次々にオープンしていますから」というようなことが書かれていたので、1日数回開けてみることを繰り返したのですが、車で片道40分近くかかるマンチェスターのはずれにあるらしいクリケット場が最短距離なのは変わりません。
朝にはリストにあったそのクリケット場が夕方にはリストから消えていたりしました。(予約が埋まっちゃったんですね)
その翌朝、木曜日にまたリストに現れたそのクリケット場に4月3日の予約を入れました。
予約の確認とともに、会場で接種を受ける際に必要らしい「予約確認証明番号」がイーメールで送られてきました。
夫が予約した時とはシステムがぜーんぜん違うような.....。
夫の時は手紙などよこさずに、NHS からのテクスト(電話回線のメール)が送信されてきたって言っていましたっけ。
たしかラグビー・クラブ以外、会場の選択肢がなかったとも言っていたはずです。
その翌日(金曜日)、私のスマートフォンにNHSからテクストが入りました。
文面は「下記の会場(マンチェスター・ラグビー・クラブ)で接種を受けに来てください。希望の日付→時間帯を選んでください」という簡単なもので、クリック2回と本人確認のための生年月日の入力のみで予約完了です。
簡単!
翌日の土曜日の6時~6時半に空きがあったので即予約しました。
予約登録番号なんて不要ですし、予約確認証明番号も送られてきません。
そう、二重予約してしまったのです。
最初のめんどくさい予約を取り消そうと思ったのですが、スマートフォンのタブに残してあったウェッブサイトには何を入力しても「予約が完了しました」という予約確認ページに飛ぶばかりで、キャンセルの機能にぜんぜんたどり着かないのです。
あきらめて、ラグビー・クラブでの接種の際に事情を話してめんどくさかった方をキャンセルしてもらうことにしました。
....グネグネ長い列はすいすいと進み、10分もかからないうちに屋内に入れました。
入り口で額にかざす新兵器で体温を計られ、手のひらにドロっとしたサニタイザー(消毒剤)をたっぷり落とされ会場に入りました。
広い宴会場のようなフロアが接種会場です。
会議室に並べてあるような細長いテーブルと積み重ねられるプラスチックの椅子が間に広い空間をあけて壁際に一列ずつ並んでいました。
入り口でとめられ、待っているとすぐあいた接種担当者が手をヒラヒラ振って合図してくれました。
係の人に「5番にどうぞ」と促され、「5」と大きく書かれたコピー用紙がセロテープで貼られた椅子に座って......
名前と生年月日を言えばラップトップで予約の確認はすぐに完了。
注意事項や接種の目的などの短いレクチャーのあと接種を受けました。
予防接種は....日本で小学校の時に受けて以来....ではないでしょうか。
注射した後のカラッポのアストラゼネカワクチンの小瓶の(一番最初の)写真は接種担当者と事務担当者に断って撮りました。
2人が組になって細長いテーブルについています。
「記念に撮りたい」と言ったらおおウケでした。
お礼を言って立ち上がる際に撮った写真を確認するふりをしてとっさに撮った、たった1枚の会場写真。
入り口あたりが写っています。
左側が出口です。
バーを通って建物の反対側に出ました。
接種後30分は車の運転を控えなければならないということです。
運転してきた人が時間をつぶすためらしい、座るスペースがしきり付きで用意されていました。
夫の時は、このバーから入って、メインの入り口から駐車場に出てきたのでした。
めんどくさかったほうの予約のキャンセルの件です。
接種テーブルで事情を説明してキャンセルしてくれるよう頼んでみましたが、事務担当の女性のラップトップにはそんな予約の情報は入っていないそうなのです。
「無視してよい」と言われました。
ええ?でも.....、いいんですね。無視することにします。
予約確認のページはどちらもスクリーンショットを撮ってあります。
どちらもNHS の公式予約ページですよ!(どうなってるの、二重予約が可能、片方の担当者はもう片方の存在を知らない...)
イギリスの国家医療制度は国家が国民すべての医療健康情報を管理しています。
医療行為はすべて無料、基本的には病院や医師も選べませんし、セカンドピニオンもありません。
国民からの信頼度が高いNHSの情報管理のいいかげんさにちょっとびっくりしてしまいました。
接種の際に改めて質問しました。
やはり接種の最大の目的はコービッド(コロナ)にかかるのを防ぐことではなく、かかった場合の症状が出ないようにすることだそうです。
出たとしても最小限度に抑えることが期待されています。
感染を防ぐ効果ももちろん期待されてはいるのですが、完全に防ぐ立証は今のところなされていないそうです。
「じゃあ、2回の接種が完了した後も感染する可能性があるわけですね、私が感染しちゃったとしたら接種完了後でも他の人に感染させる可能性もあるんですね?」
「あなたが感染しちゃったら、確実に他の人にも広がりますよ。自主隔離しないかぎりはね」という明解な答えをもらいました。
「東京オリンピックに出場する選手や、関係者などは接種が必須なので心配ない」とオリンピック関係者は言っているということですが、接種完了者でもやっぱり感染する可能性はあるんですってよ。
感染していたら確実に他の人にもうつします。
多くのイギリス人は接種を受け次第夏の海外旅行を予約するつもりらしいのですが、接種が全く進んでいない国外にイギリス変異種「ケント・ヴァリアント」をばらまくことにならないでしょうか?
対応は受け入れる国次第ですね。
クルマのヘッドライトが係の人たちのハイビズ・ジャケット(安全ベスト)に反射する夕方です。
私たちが帰宅する時刻にはまだ次々と7時台の予約をしていた人たちが車で入ってきていました。
クルマの中から撮ったこの場所もまだラグビー・クラブの内部です。
二回目は11週間後。
こちらから何もしなくても間際になるとまた簡潔予約のテクストが来るそうです。
(ちなみに、めんどくさい方は2回目もいっしょに予約させられました!7月末です。ほんとに無視していいのか?)