「うちのネコ、よそのネコ」番外編。
「猫カフェ」に行きました。
飲食の提供はなく、雑種ネコたちとのふれあいの場所を提供する有料のくつろぎスペースのような「保護ネコ」施設です。
15年ほど前に世界的に有名になった、主に純血種のネコたちを侍らせて飲食できる日本のもともとの「猫カフェ」も、今でもあるようですね。かつてほど話題にはなっていないみたいですが。
マンチェスターでも10年ほど前に鳴り物入りで開店した「キャット・カフェ」、数年後にひっそりと廃業しています。
ところで、日本にはノラネコとノラネコたちにエサをやる優しい人たちが多いですね。
実家から徒歩15分ほどの広大な公園は、20年ほど前にはノラネコがいっぱい。ネコ好きがネコを見に来る地域の名所的存在でした。(ネコの捨て場としても知られた負の一面もありました)
しばらくして、耳に「去勢避妊手術済み」のあかしであるキップのような切り込みの入ったネコたちがちらほら目につき始めてからは、あっという間に数が激減。ここ数年、その公園で見かけるのは数匹の常連、キップ耳の高齢ネコばかりになりました。
ボランティアが捕獲して去勢避妊手術を施した後元の場所にもどす、ノラの子ネコを増やさないキャンぺーン、大成功です。
現在は近所の小さな橋の上で、地域非公認のエサやり活動が展開されています。よく太って毛並みのいい血縁関係にあるらしい5匹のノラネコをよく見かけます。
英国では、皆無ではないもののノラネコ feral cats の数は極端に少ないですよ。
日本に比べて、動物愛護活動の歴史の長さと圧倒的な組織力の違いがあることと、人々の意識の違いもあるでしょうか。
去勢避妊手術は日本より徹底しています。
飼いイヌ、飼いネコは全て獣医師による認証チップ ID microchip の埋め込みが義務付けられている現在、行方不明になったり盗まれたりしたペットも、獣医師や認定保護センターなどでスキャンすれば元の飼い主がたどれる仕組みです。盗んだペットの転売も不可能になるはずです。
ネコの場合、正式に法制化されたのは、あら、ごく最近ですね。2024年の6月だそうです。ただ10年近く前から、保護ネコセンターやブリーダーは引き渡しの際のチップの埋め込みが義務づけけられていたはずです。
(獣医の診察を受ければ違反がばれて500ポンド以下の罰金です!通常21日間の猶予が与えられます)
イヌやネコを保護した人には、身元確認のために獣医師や保護センターに連絡する義務があります。
迷い込んできた身元不明のイヌやネコを家に入れてエサをやったりすれば「盗難」の疑いがかかってちょっとした面倒ごとになるのは必須です。
言い換えれば、認証チップが埋め込まれていない身元不明のイヌやネコを黙って飼い始めても問題にはならない…はずです。
認証チップの義務を怠れば飼い主の権利を放棄したとも言えるのですから。
とにかく、ノラネコを見かけない英国では「地域ネコ」の概念がありません。
「猫カフェ」で主催者の女性と話す機会がありました。
エサはもらっているとはいえ、この寒空の下、夜を超すネコたちの存在は大いに気にかかります。「エサをやる以外にできることはあるのか、保護センターに保護を要請するとか?」と聞いてみました。
保護センターでも引き取れないことのほうが多いので健康なネコは捕獲して避妊去勢手術をした後、元の場所に戻し、「地域ネコ」として地域で見守っていくのがベスト…だというのが答えでした。
ノラネコが多い日本…納得の答えです。
「捕獲して獣医師、保護センターに連絡」すれば、(原則的に)飼い主のたどれるシステムを確立した英国とはまったく違うのでした。
ああ、ストックポートにいるときに書いた、ネコの保護センターでの「ネコに話しかける」ボランティア体験の記事(数本)を読んでください。
英国でも昨今の保護要請が許容量オーバーの悲しい現実があったのです。主に獣医の診療の高騰のため、ネコ(そしてイヌも)を手放さざるを得なくなる人の激増のためです(悲しい…)
↓(こんなにたくさんあったかと、びっくりの記事数)
うちのネコ2匹を見つけた懐かしの保護センターと手放さざるを得ない昨今の驚きのペット事情
ネコの幸福にわずかながらも貢献...ネコを愛する人たちが作り上げたネコの天国(見た目はちょっとゴミ屋敷)
ネコとの会話のボランティア、やりがいがあって楽しそうなネコ保護活動の悲しい一面
寒すぎて、外でネコと座るのはあきらめた終日霜の残る美しい冬の日にネコと過ごした数時間
日本の事情に即した「地域ネコ」のシステムは決して悪くはありません。
橋の上でネコにおやつをやって写真を撮っている若い女性や、ネコが出てくるのを待つ小さい女の子とお母さんを見かけました。地域の人々に見守られているんですね。
エサやり常連の女性は「来週から帰省するのでよろしく」とエサやり隊仲間に声をかけていくそうでした。
ネコを介した地域の優しい人たちのコミュニティ、すばらしいです。
英国人にも暖かい旅行先として人気の、トルコやギリシャの多くの町にも「地域ネコ」のノラネコがいっぱい、観光資源にもなっているようです。
保護活動に使われるという入場料を払って「猫カフェ」に足を運んだ理由は…1か月以上触っていないネコ思う存分さわりたかったから。
ホカホカと暖房のきいたネコ部屋に入ったとたん押し寄せる、動物園のような尖った獣臭とは違い温かみのあるネコの体臭を胸いっぱいに吸い込み、ネコの滑らかな被毛を撫でれば幸せな気分になりました。
週に3回あう 野良猫は 5匹で
耳に 避妊済みの 切れ込みが あります
最近は それ以外の 飼い主不在の 猫は
30分ほど 車で 田舎道を 走らないと
会えません
都会と 田園の差は 猫の社会にも
有るのかも
認証チップ ID microchip も
ノラネコ feral cats も 知りませんでした
有難う ございます
我が家の猫は 18年と15年生きて
今 犬に変えました
(僕の76才を考えて 猫が 長生きされると 責任が持てないから)
僕の子供の頃 猫と一緒に 住んでました
「僕の布団の中で 出産しました」 でも
何の予防注射もしてませんでした
10年生きて 死にました
なるほど、国際都市ヒロシマでは本当のノラネコがあまり見当たらないのが理解できます。
避妊手術を受け、エサをもらう「地域ネコ」は微笑ましい存在ですが国際的には賛否両論あるはずです。
人間に捨てられたネコ(=ネコを平気で捨てる国民性)は海外からの観光客に実は見せたくないんじゃないかと思いました。
「ネコを気遣う優しい地元の人たち」ととらえることもできますが、観光局としては
ボランティアの人たちには愛護活動を頑張ってもらって人目につくノラネコを減らしていきたいのではないでしょうか。