20数年ぶりの日本のお正月が、あっけなく終わりました。
写真は、英国では珍しい「パイロン pylon (高架線鉄塔)のある住宅街の風景」です。
林立するパイロンは電線が極端に少ない英国に住む私には珍しく、青空や夕日に映えて美しく思われます。英国では現在、より安定した電力供給のためシンプルな純白の「Tの字」型パイロンを海岸沿いや丘陵地などに建設する計画がたちあがり、環境/景観保護団体の反発を買っています…都市近郊の住宅街にパイロン…手つかずの自然の風景を脅かすよりずっといいと思います。
お勤めの人にはこの週末も三が日の延長感覚かもしれませんね。
英国の年末年始の公休日はクリスマス(12月25日)と翌日のボクシングデイ Boxing Day、そして元日 New Years Day のみ、1月2日からすでに通常運行ですが、クリスマス前から1月2日、3日と有給休暇を取り週末とつなげてまとめて休んだ人も多いはずです。
前回、夫と娘を連れて来日した時(小学生だった息子は実の父親とクリスマス休暇をすごしました)は私の母が健在でしたので実家でお重詰めしたおせち料理とお屠蘇で祝いましたが、今回は私と高齢の父の2人ですので、略式です。
事前に注文してあった京風のおせち料理の詰め合わせ、それぞれ1食分とパックに入ったお雑煮を温めてお昼に食べました。
(おせち料理が詰まっていた、しっかりした美しい紙の箱は捨てるに惜しく、引き出しの中で文房具を整理するのに使うことにしました…日本では捨てるに惜しい美しい箱がやたらに多いですね!?すべて取っておけばどこの家庭も紙箱だらけになるはずです)
20数年前もそう言えば、デパートで買った出来合いを母の手作りのお節料理とほぼ半々でお重に詰めていましたっけ。私が子供のころ、そして日本に住んでいた30数年前まではほかの多くの家庭と同様、私の実家でもおせちの大半を手作りしていましたっけ。私も手伝いました。
お餅と日持ちするお節料理を3が日いっぱい食べながらお店が開くのを待ったのは、私が高校生の頃までだったかな。当時少しずつ一般的になってきていたコンビニエンス・ストアは元日にも営業していましたし、デパートも2日に開くのが普通になっていた記憶があります。
今回、近所のショッピングモールも大型スーパーマーケットも、大手チェーンのドラッグストアも元日から営業していたのには驚きませんでした。
私が子供の頃、初商いのデパートで振袖姿の女性店員を多く見かけたものですが3日にとおりかかった駅ビルのデパートは全くの通常営業でした。(初売りの2日に行ったらもう少し華やぎが見られたのかもしれませんが)
1月1日にドラッグストアでは筝曲「春の海」がかかっていたのと、ショッピングモールの暮れからの立派な門松…、私が目にしたお正月らしい雰囲気と言えばそのぐらいでした。
新興住宅地の実家周辺では、一般家庭の門松もほぼ皆無、あっても略式の松の緑を左右に1本ずつが標準のようでした。
凧揚げ、羽根つきをしていた子供はもちろん、和服の人も皆無。
私たちが子供のころ、女の子は晴れ着といわずともウールのアンサンブルの着物を着せてもらって出かけたものなのですが。凧揚げ、羽根つきはさすがにもう一般的ではなかったものの、学習雑誌の付録の「ドラえもん福笑い」で友達と遊んだ記憶があります。
昨日行ったショッピング・モールでは、そう、これこれ!日本のお正月になくてはならない「福袋」をほとんどすべての店舗で見かけました!
日本に住んでいた30数年前からすでに福袋には疑問がいっぱい…初商いのデパート前の福袋目当ての長蛇の列は毎年の正月恒例ニュースでした。縁起物で値段以上の値打ち物が詰まっているらしいとは言うものの、「何が入っているかわからないものによく1万円も払えるものだ」とひそかに思っていたものです。
…なんだ、びっくり!今どきの「福袋」って、中に何が入っているのかわかるようになっているんですね、合理的です。
スポーツ衣料店ではブランドのロゴがプリントされた巾着袋にサイズが書かれた札がついていて、ハンガーにかかった中身の実物見本が添えられていました。
楽器屋さんではピアノの上にそれぞれカラの福袋が。福袋にお金をはらったらピアノが自宅に届くみたい。持ち帰ることができるマリンバや「オタマトーン」が入った福袋もありました。
電気屋さんにはテレビや食洗器、空気清浄機などの写真が貼られた無駄に大きい福袋が、眼鏡屋さんには「眼鏡ケアセット」が詰まった透明の福袋がそれぞれ少数…売れ残っていました。
それらは私に言わせれば「福袋」ではありませんっ。おめでたい袋に入った(おめでたい袋に入っていないものもあり)ただの「バーゲン品」ではありませんかっ!?
シーズン末まで待てば、半額近くまで値下げする現在(しかもファーストファッションのシーズン周期は週単位!)福袋のありがたみってずいぶん薄れてきているのではないでしょうか。それでもやっぱり恒例の客寄せ目玉として用意しておく店が多いってことは需要は絶えないのでしょうね。
昨日のニュースで「故郷で正月休みをすごした人たちの帰宅ラッシュ」が報じられていました。ああ、懐かしい。
「おじいちゃんおばあちゃんちで凧揚げをした」とインタビューを受けた子供が言ったのをきいて、「おお、田舎では日本の伝統のお正月の遊びが引き継がれているのだ!」と一瞬思ったのは…たぶん違いますね。祖父母は自分たちもリアルタイムで体験したわけではない、お正月伝統の遊びを、孫のためにわざわざ用意してくれていたのでは。
英国ではクリスマスに家族や親せきとすごすのが大勢ですが帰宅はクリスマス後から、新年まで、(今年は今週末まで)期間的に余裕があるので帰宅が集中することは、あまりありません。
晴天続きの日本で、「暮れの大掃除」をきちんとしなかった言い訳が見つかりません…
冬に雨が多い英国では、年に一度の大掃除 spring cleaning は春にするものと決まっています。(クリスマスに人をよぶ家庭では片づけぐらいはするでしょうが)
晴天の日に窓を開けて空気を入れ替えるのも「新生」を意味する春にふさわしいことらしいのです。
は 日本だけかも 知れませんねん
外人さんの 日本のスケッチには
山のような 配線が 空を 覆いかぶさるよう
な 風景に 驚いている 映像が 多いですね