昨日、ストックポートのタウンセンターにあるカフェに行きました。
夫がオプティシャン(メガネ屋)にメガネを取りに行っている間の時間つぶしです。
ロックダウン解除の段階を経て、店内飲食ができるようになったカフェでエスプレッソ・マシーンで淹れたアメリカーノを飲むのはちょっぴりワクワクしました。
本当は恐ろしい感染拡大ぶりのデルタ・ヴァリアント(インド型変異株)が蔓延しているストックポートなんかに出てくるべきではないのですが。
週末に2回目の接種を受けた私も抗体ができるまでに最低10日かかるそうですし、感染したら重症化しやすいという疾患のある夫がまだ2回目を受けていないのです。
(夫は今週末に予約が入っています。体調が悪かったため何度も予約をキャンセルしたため遅れているのです)
ショッピングセンターは心配になるぐらいたくさんの人出でした。
そうやってビクビク出てきたのに行かなくてもいい、カフェなんかに行く私....
カウンターはアクリル板のスクリーンで遮断されています。
テーブルの数もいくらか減らされていました。
夫の行きつけのオプティシャンがある、けっこうにぎわっていた大手チェーン薬局よりは人が少なく安全そうでした。
各テーブルにおなじみの QR コードが貼り付けてあります。
私は去年の夏に始まったこの感染者追跡システム、Track and Trace のアップ(アプリケーション)をスマートフォンに入れていません。
同席の1人が登録してくれたらそれですみますし、連れの誰も入れていなくても1人が電話番号を残せば問題なし。
それでいいのか!?
客に感染者が出れば追跡調査で同じ時間にカフェにいたことがわかった他の客にも連絡が来るようです。
当然 感染検査を受けるように言われるでしょうし、結果によっては自主隔離....とめんどくさいことになりそうです。
アップを入れなくても入店を断られたことはありませんし、追跡されるのがイヤな人はいいかげんな電話番号を残すでしょう。
パンデミック初期に韓国で導入して成功したシステムのマネらしいのですが韓国のように徹底してやらなければ意味がありません!
とにかくQRコードをどうしようもない私は、無視しました。
電話番号を残せとも何とも言われません。
第一、勝手に座れるテーブルに貼ってあるのなら完全に客の自主性任せ...。
ロンドンで入ったうどん屋さんではこのコードを通さなくてはメニューが見られないぐらいでしたのに...
紙のメニューを撤廃した飲食店が多いようです。
コピーした使い捨てメニューを使っている店も多いと聞いています。
テーブルいくつかに、飲み終わった後のカップやお皿が載ったままです。
なんだかばばっちい感じ。
QRコードがプリントされたスティッカーには「私たちがきちんと殺菌消毒できるように片付いていないテーブルはご利用にならないでください。(意訳)」と書かれています。
勝手にどけて座ったりしてはいけないようです。
店のスタッフによる殺菌消毒済みの席しか使えないってことですね。
じゃあ、すぐに片付けて殺菌でも消毒でもすればいいのに。
客が一定数以上入ってこないようにすぐに片付けないのかもしれません。
以前にも書きましたが、イギリスではファーストフード・レストランやセルフサービスのカフェなどでは飲食が終わったら片付けずに席を立つのが普通です。
まあ、「普通」というのは断言しすぎかもしれません。
ファーストフード・レストランではゴミ箱やトレイを戻す台も用意されていて自主的に片付ける人がいることも期待されているようですから。
でも、そのまま残しておいてもかまわないはずです。
片付け専門のスタッフがいることが多いですから。
知的障害者などが一生懸命その仕事をやっていることも多く、仕事の機会を奪ってはいけないという気持ちもあります。
片付け専門のスタッフはパンデミック以前から客が立ち去ればテーブルを片付けて消毒液を吹きかけて拭いてまわるのが仕事です。
テーブルが汚れているからです。
イギリスでは、日本のセルフサービスのレストランのように買った食べ物を持ってくるために使ったトレイの上で食べる人はほとんどいません。
夫に言わせれば、運ぶのに使ったトレーの上で食べるのはあまりいいマナーではないらしいのです。
(トレイはあいたテーブルや床の上においておけば片付け専門のスタッフが持って行ってくれます)
コーヴィッド(コロナウィルスによる感染症)のパンデミック以来、どこでも他人が触れたものに敏感になっています。
プロの流儀で殺菌消毒してもらうために散らかしたテーブルは散らかしたまま、片付けが必要なことをアッピールしておいておく方が時勢にかなっています。
....というより、疫病のパンデミックであってもなくても、(原則的に)客が立ち去った後必ずテーブルを拭くイギリスのシステムのほうが絶対に衛生的でいいと思えるのですが。
よりどりみどりの焼き立てパンやドーナツを買って席にもって行って食べられる日本独自の楽しいシステムのカフェなどでは、トレーの上に載せたまま食べるのが普通なので、テーブルは汚れませんよね。
実は、(客が食べ終わったあと戻したトレーはもちろん洗われたり拭かれたりしてまたもどってくるのでしょうが)散らからないテーブルをめったに拭かない日本のカフェのシステムを「汚いな」と思ってしまったことがあるのです。
(パンデミックが始まったばかりの去年の2月に日本を訪ねた夫と私の素朴な感想です....パンデミック渦中の現在は事情が変わっているのでしょうか)
とにかく、店のスタッフのへりくだり方とていねい度が尋常でない「お客様は神様」であるらしい日本でお客様があと片付けをすることを期待している矛盾、いや、日本のあの値段の安さでこれ以上のサービスを期待するのは理不尽だ、とかいろいろ考えさせられる件です。
上から3番目の写真にちょこっと写っている女性スタッフが物々しい液剤ボトルが何本か入ったプラスチックの箱を持ち歩いて、カウンターのまわりを熱心に拭いて回っていました。
でもなぜか、その作業がおわったあと見苦しいテーブルの上の食器を片付けることなく、使い捨ての手袋を外してカウンター内でエスプレッソ・マシーンでコーヒーを淹れる作業をはじめました。
うーん、やっぱり置きっぱなしの食器は テーブルに人が座って「密」になるのを避ける手段なのでしょうか。
メガネを受け取った夫と合流して私が店を出るころには急に混雑し始めた店内です。
と言っても、上の写真のバギー(ベビーカー)を押したお母さんたち3人はお友達のようです。
たぶん、テーブルひとつぐらいはきれいに片付けて消毒して使えるようにしたはずです。
それでも充分スペースに余裕のある店内でした。
「感染者がさわった表面にはウィルスが含まれた飛沫が残っていることがある」というのはもちろん本当のことらしいのですが、それを触った手を口元や鼻にもっていくとほぼ確実に感染するといわれていたのはかなり大げさだったことが今わかっています。
そうやって感染が広まる確率は実はかなり低いらしいですね。
パンデミック初期の頃はやたらに手を洗いましたし、公共の場所の手すりやドアノブに触れるのが怖かった記憶があります。
今ではあまり気にしなくてもいいことだ、と言われています。
店などの感染防止対策は「気合」を入れていることを誇示する形骸的なパフォーマンスみたいに見えなくもないような...(いえ、効き目がないわけではないでしょう...と歯切れが悪くなりましたが、実はよくわかりませんね)
それよりも確実に有効なのはやっぱりソーシャルディスタンシング!