英国に熱波再来!昨日と一昨日は、以前からの予告どうりの「猛暑」でした。
(ご無沙汰しています。コンピュータ―が不調で記事の更新が億劫になっています)
...写真はすべて、7月のジローナ Girona 、スペインの自治州カタルーニャの古い街です。
カタルーニャの首都、バルセロナに5日滞在した最後の日に日帰りで行ってきました。
今日は前回の続きで、オニャル川を越えたところの大聖堂のある旧市街です。
ここ英国北西部も今日は日中最高気温が29℃、真夏日でした。南東部は30℃を超えたはずです。
夏が涼しい英国に住む多くの英国人は、夏が暑ければ暑いほどうれしいのです。
灼熱の太陽にさらす素肌のジリジリした感触、汗で皮膚が潤う感触、身体のほてりなどの身体感覚がぞくぞくワクワクするほど好きなのです。
夏にわざわざ南欧の暑い国々に旅行に行くのが人気です。「避暑」という概念はあまり発達していないような...
日本人の私は、暑い時のスペイン旅行はできれば避けたかったのですが、夫の暑い時に暑い場所に行く熱望があまりに強くてまあ、なんと言うか押し切られたようなものでした。
とにかく、私たち夫婦は前回7月の3日にわたる熱波到来の時には、もともといつも夏が暑いカタルーニャにいました。
暑さではたしかにかなり消耗しました。
イングランドの自宅にいれば、比較的すずしい屋内にとどまっていたはずなのですが、やっぱり観光に訪れた異国では気持ちが高ぶって歩き回るしかないですよね。
自国にいてもめったに経験できない暑い夏の到来に、わざわざ外で活動的に動き回る英国人が多数いたのももっともです。
今回の熱波を喜んでいる英国人は実はとても多いはずです。
海辺の海岸の観光地など「書き入れ時!」とはしゃいでもいいはずなのですが...
繰り返し放送されるニュース番組では真夏日を楽しむ各地のようす...などの楽しそうな映像は今回、影を潜めていました。
先月の熱波で800人以上が亡くなっていますし、昨日、一昨日の二日間にお年寄りを中心に大勢の人たちが熱中症で病院に搬送されています。
深刻な水不足や、異常乾燥による自然火災や、農作物へのダメージが懸念されています。
夏の間は乳牛を放牧して青々と茂った草を食べさせるのが慣例の英国の酪農家は、この夏は草地が茶色く枯れてしまってウシに食べさせる草がない!と深刻な危機を訴えていました。冬のために備蓄している干し草のストックを今食べさせてしまうと、冬の飼料が底をつくそうです!ウシも脱水症状になります!今のところ、イングランド南部の一部の地域だけのようですが。
昨日、高い垣根沿いの日かげをたどって歩いて行ったコンビニエンスストアでは2週間前までは1ポンド30ペンスほどだった牛乳が1ポンド78ペンスにまで値上がりしていました。
コンビニエンスストアと診療所行き、近所の人を訪ねて日かげで立ち話...と1時間ほどの近所の外出は思ったよりも快適でした。気温は高かったものの(といっても、日本の人に笑われる...30℃以下ですが)微風が絶えなかったことと、日かげの涼感と日なたの乾いた暑さのメリハリがなかなか心地よかったのでした。
そうそう、日本と違って湿度があまり高くないというのもすごしやすさを決定する要因かもしれませんね。
さて、話とんで7月のジローナです。
私たちが行った日の日中気温は34℃前後。海岸の町、バルセロナよりも北西の内陸部に位置するジローナは蒸し暑さも加わって不快指数の高さもひとしお...でした。
暑かったのはともかく、とても楽しく過ごせました。
11世紀から18世紀にかけて改築増築を繰り返してきたゴシック様式のジローナ大聖堂と...
大聖堂のまわりの中世にタイムトリップしたような(観光ガイド本のような定型文句で恐縮です)古い狭い街並みで有名です。
もともとは古代ローマ人が築いたという中世の城壁が残っています。
現存の城壁はかなりの部分が1960年代の修復のようですね。
カタローニャ語の解説表示がありましたが、もちろん読めません。まあアラビア数字の年号ぐらいは解読できたので勝手な想像です。
城壁の上をぐるっとひと巡りできるのもジローナ観光のおススメのアクティビティです。
いちばん上の写真は、城壁の上から撮った大聖堂と旧市街です。
絶景でした。とにかく暑い日に、日かげの全くない高い城壁の上を歩く苦行はむしろ爽快でした!
赤っぽい、レンガ風タイルを貼ったツルツルした壁面が20世紀の修復部分のようです。
古い部分の写真がありません。(今回の旅行ではあまり写真を撮りませんでした)
暑いだけではなく、上がったり下りたりの重労働です!時々通過する塔の入り口付近では涼風が渦巻いていたりで、快適なスポットも確かにありました。
それにしても年中解放されている無料の観光名所なのにベンチや日よけが全くない...
もしかしたら、ホームレスが居座らないようにわざとかな...?
景観の美しい中世の都市ジローナには、意外なほど多くのホームレスがいました。
バルセロナに住んでいる息子が言うには、冬にも氷点下まで気温が下がることがない南欧はホームレスにとって住みやすい場所らしいのです。暑い夏には体力を消耗しないよう日陰でじっと寝そべっていればいいのです。
ジローナではゴミ箱をあさっている人はいましたが物乞いしている人は皆無。なんだか胸が痛む光景でした。
ちなみに、バルセロナのホームレスは物乞いに熱心でした。詩(?)を暗唱したりお貰いを受ける缶の前にそれぞれ朝食、昼食、夕食、大麻(スペインでは違法ではありません)と書いた札をならべたり、教会の前で聖母に捧げるお祈り(?サンタマリア )をエンドレスで唱えていたりで、芸が細かいのに感心したものです。
ベンチや日かげがなくたってホームレスは地面に寝るのは平気です。ホームレスが居つくのをとめる手立てはどうやらなさそうですね。
ホームレスをなくすには社会保障の充実、失業問題や住宅問題の解決などなど政治的なむずかしいことにも取り組んでいかなくてはなりません。それができないのに、「ベンチや日よけなどでホームレスを快適に過ごさせてやってたまるか!!」というスタンス丸出しの...観光地の姿勢にはなんだか殺伐とした雰囲気を感じます。
...いえ、本当にホームレス排除の目的かどうかはわかりませんけど(私の勝手な想像かもしれません)。
川沿いの景色のいい場所でそばのレストランの従業員らしい人が木製の肘掛け椅子に座ってタバコを吸っていました。店から持ってきた休憩用の椅子かな、と思ってよく見たら地面にそえ付けられた1人用の「ベンチ」でした。
ホームレスが寝ころべないように座席にひじ掛けが2本渡ったベンチが世界中で増えているという話を聞きますが、1人がけ用のベンチなんて初めて見ました!...ホームレス除けと思って間違いないですよね?他にもいくつか見かけました。
ジロジロ見たわけではありませんが、ジローナのホームレスにはスペイン国民ではなさそうな見かけの人が多かったです。不法入国で出稼ぎに来て失業したのに帰れなくなっちゃった...? 出稼ぎ先として人気の英国や日本では強制送還措置があるようですが、ほっておく国も多いと聞きました。社会保障の恩恵にもともとあずかれなかった人たちかもしれません。移民問題とかややこしいことも絡んでいそうです。
ギラギラした太陽光線と美しい街並み、ジローナの楽しい思い出に影をさす唯一の悲しい疑問でしす。