水曜日に、ストックポート、タウンセンターのオールドタウン the Old Town で、テレビドラマの撮影をしていました。
実は、ぐうぜん行き当たったわけではなく、前々日(月曜日)に夫と散策に来てロケーションの準備をしていたのを通りがかりに見かけたのです。その時の写真です☟
現代的なミューラル(ラクガキ風アート)の下の部分を19世紀風の広告ビラが貼り付けられた板で隠してあります。
こちらは建物を取り壊したあとの工事現場を、けっこう安っぽい貼りぼて「石アーチとレンガ塀」が隠しています。Manchester Evening News紙 (後述)に載った写真を見ると、このあと壁いっぱいにやはり19世紀風の広告ビラをペタペタ貼り付けたようです。
制作には全く関係していなかったらしい警備の男性から「水曜日にここで1日中ドラマの撮影をする」とききだして、物見高い私は見物のため、またタウンセンターに戻ってきたのです!
18世紀から20世紀にかけて建造された古い建物が数多く残るリトル・アンダーバンク Little Underbank という細い通りです。
10年前、「観光ブログ」のはずだった創刊第1号で紹介したストックポート日報の原点ともいうべき通りです。
リトル・アンダーバンクをまたぐ古い橋、セント・ピーターズ・ブリッジ Saint Peter's Bridge の下から先100mぐらいの短い距離が撮影に使われたようです。
ここで終わり☟。エキストラの人たちが休憩していました。私は背景の坂の上からリトル・アンダーバンクに下りてきました。リトル・アンダーバンクの撮影スポットを通りさえしなければハイビズ・ジャケットの付き添い(後述)なしに現場の反対側に来ることが可能です。
そのエリアは、カメラがとらえるアングルに限ってでしょうが19世紀の通りに見えるようていねいにボロ隠しされていました。
グーグルしたら、Manchester Evening News 紙のその日の 記事にすぐヒットしました。
Netflix オリジナルの新連続ドラマ、House of Guinness というビール製造会社「ギネス」の創立者ー家の物語だそうです、配役、配信日などは未発表だそうです。
コスチュームのスカートのふくらみ具合などを見ると1870年代が舞台の設定だということがわかります。
橋の下で撮影の見物をしようと立ち止まると、何人もいた黄色いハイビズ・ジャケット(安全ベスト)を着た係の人が「通り抜けたいんですか」とていねいに聞いてきました。「いいえ、でもここで見物してもいい?」と聞くと「どうぞどうぞ」とにこやかに応じてくれました。
通り抜けたい人は、ハイビズ・ジャケットの誘導で撮影現場を通り抜けられるのがびっくりです。撮影の合間をぬって何人かの人が通り抜けていました。撮影現場の始まりと終わりのあちら側とこちら側の店は通常通り営業していたのもちょっと驚きです。
極力、地元に負担をかけまい、撮影協力地とうまくやっていきたいという方針なようです。感心しました。
マイクロフォンが追いかけてセリフを拾っていた(エキストラではなく)俳優らしい男性が2人いました。残念、見たことのない顔でした。
NetFlix のイングランド、合衆国制作の質の良いドラマには主役級の配役にテレビや映画ではあまり知られていない実力派の俳優が起用されることが多いように思います。
橋の横の階段を上って上のマーケット・スクエア Market Square のある丘の上にいってみたら...
撮影見物の特等席、セント・ピーターズ・ゲートの橋の上にはやじ馬が鈴なり...私も人のことは言えませんが、ヒマな人が多いですね。
消防車から長く伸びたホースが橋の脇の階段を通して下に降り、撮影現場の石だたみを濡らすための水を供給していました。
「ガス灯」に見える古風な街灯は、ストックポートが景観保持(と言えば聞こえがいいですが...実際は観光目的で...あざといですよね)のためにそなえつけた電灯です。どっちにしてもこのドラマの小道具には時代背景が合わないような...ガス灯は19世紀末(シャーロック・ホームズの頃)に導入されたはずですから。
「古い街並み保存」のためにパンデミックのさなかにていねいに敷かれた敷石とは違い、本物の(たぶん)18世紀のガタガタボコボコした敷石が残る、知る人ぞ知るこ汚い裏通りが実はあります。
月曜日の準備中の写真です☟赤い器材カートの裏手が...
...橋の上から見下ろせます。
リトル・アンダーバンクの「19世紀の商店街風景」とは別の「裏ダナのびんぼったらしい生活描写」の撮影準備が進んでいるのが橋の上から一望できました。
橋の上、こちら側は歴史ある市のたつマーケット・スクエアです。
ロケーション用のトラックがずらあっと止まっていました。
マーケット・スクエアにあるガラス張りのマーケット・ホール Stockport Market Square とその周りの古い建造物群、第ー級保存指定建築のセント・メアリーズ・チャーチ St Mary's Church, Stockport、坂下の、撮影に使われていたリトルアンダーバンク、と交差するグレート・アンダーバンク Great Underbank、マーケットスクエアと坂下のアンダーバンク2本を結ぶ、いくつもの brow と呼ばれる急な坂...それらが「オールド・タウン」と呼ばれるユニークなストックポート観光の要...らしいです。
Manchester Evening News 紙やストックポートの産業振興ウェッブサイトによると最近、ストックポートは観光地、商業地としてのPRの他、映画やテレビのロケ地としての誘致にひじょうに熱心なのだそうです。
世界的な大ヒットドラマ、20世紀初頭のバーミンガムを舞台にしたピーキー・ブラインダーズ Peakey Blinders の撮影に使われた場所を訪ね歩くいわゆる(日本で言う)「聖地巡り」の人々がストックポートにも足を運ぶという観光効果が表れているそうですし。
実際、ドラマや映画またコマーシャルでも「あ、これストックポートだ!」とわかる映像がたびたび目につきます。
ドラマの設定として人気の1950~80年代のレトロなドラマ、また今回のような19世紀が舞台のドラマでもじゅうぶん使える街並みがしっかりと残っています。
「イングランド北西部のハリウッドを目指す」とわけのわからないことを言っているよう(大手の映画製作会社がないだろう!?)ですが、それ、たしかハリーポッター映画のロケに使われたというリバプールも言っていましたよ!
古い街並みの壮大さと都市規模と知名度などで比較をすればリバプールとはスケールの点でドッカーンと格が下がるのストックポートですが、健闘しているとおもいます!
ただ...
リトル・アンダーバンクの橋のこちら側(メインのショッピングセンターに近い側)のサビれぶり...。
アンダーバンクの始まり(左に入ると橋があります)の...
上の写真中央空き店舗の表面に、「レンガ壁」と古風なサッシ窓(上下に上げ下げする窓)が取り付けられていることに気が付きました。
中途半端にモダンなショボいコンクリートの建物だったのですが、表面を飾り付けたみたいですね。いやもしかして、取り壊してたてなおした...?!
なんだか...ディズニーランドみたいなことをしていいのかなぁ。不正直な気がします。
街並みがステキに時代がかって見栄えがしても商店や飲食店が苦戦しているのはどこも同じです。まず空き家問題を何とかしなくては。
この件に関してまたいずれ書きます。