月曜日に久しぶりにストックポートのタウンセンターに行き、おなじみ庶民派スーパーマーケット、アスダ Asda の駐車場に車をとめました。
当初からの計画通り、イングランドでは7月4日(土曜日)にパブなどの飲食店、映画館やテーマパークなどの娯楽施設、美術館などの文化施設、美容院などが3カ月半ぶりに再オープンを許されました。
(イングランド以外の連合王国構成国であるスコットランド、ウェールズ、北アイルランドでは微妙に決定が違ったようです)
ロックダウン解除の最終段階です。
土曜日から再オープンしている大型手芸材料店で買いたいものがあったのです。
入場者数制限があり店の外に並ぶ場所が指定されているにもかかわらず、待たずに入れました。
店内ガラガラ....。
品数が少なく、目当てのものは売り切れで、手ぶらで店を出ました。
「マスクの手作りキット」でも売れば日本のように大当たりすると思うのですが。
一か月前に買った、プリーツの入った不織布のおそらく日本では使い捨てに分類されるマスク(99ペンスで購入)を人の集まる屋内で着用することにしています。
使ったのはこれで4回目です。
パンデミックが終わるまでこの1枚を使いまわすつもりなのですが、たたんでバッグに出し入れしたためか表面が毛羽立ちぼろっちくなってきました。
日本では使い捨てマスクが手に入りにくかった時、手持ちのマスクを洗濯して長く使ったという話を聞いていますが、私の持っている使い捨ては4回(1回30分前後)使用しただけでみすぼらしくなったのに、洗濯なんてできるのでしょうか?
スーパーのレジや新聞店、靴の修理屋にまで10枚セットで3ポンド前後で同じタイプのマスクが売られるようになりました。
最近まで徹底していたソーシャルディスタンシングの実行がたくさんの人たちが集まりだしてどんどん難しくなる今、イギリスでもマスク着用が確実に増えているようです。
この日見たマスクをしている人はそれでも10人に1人ぐらいだったでしょうか?
日本では「ロンドンタクシー」と呼ばれている、予約なしで乗れる黒いタクシーです。
「命を守ろう」という政府の標語に「殺菌済み」「仕切りつき」「コンタクトレス・カード支払い可」と車体に書かれたコロナ対策仕様です。
客と運転手の座った(長い)脚のシルエットまで描かれています。
調理パン、菓子パンが店内で食べられるカフェ併設のベーカリー(パン屋)グレッグス Greggs も土曜日から開店しているようですが...
表に貼られたお知らせには、販売品目が少なくなっていること、人との間隔を2mあけるソーシャルディスタンシングの実行を要請していること、カードでしか支払いできないことが明記されています。
奥のガラスケースを外からのぞいてみたら品薄状態でした。
椅子はすべてテーブルの上にひっくり返しておいてあり、店内の飲食を許していないのは明らかです。
ショッピングセンター内のマクドナルドが開いていました。
店内で飲食できるようです。
そう言えば大きな道路沿いのマクドナルド店舗では厳格なロックダウン下でもドライブスルー営業は続けていましたっけ。
パブが開いています。
「景気の悪い通り」プリンセス・ストリートの、内装が1930年代から変わっていない名物パブ、Swan with Two Necks 。
タウンセンターに位置する上のパブ2軒はいずれもタウンセンターに本社、醸造所のあるロビンソンズ Robinson's の直営です。
ストックポートにたくさんあるロビンソンズの直営パブはこの2つ以外もすべて閉鎖中もメインテナンスにしっかり心配りをしていました。
特にウィンドウボックスやバスケットの花はいつもよく手入れされた状態でした。
Porters という、エール会社の直営ではない自前のビールを売る知る人ぞ知る名物パブです。
建物は外観は薄汚れていて内装は中途半端にレトロ!
左側の塀に囲まれた狭いビアガーデンではたった一人だけおじいさんが座ってビールを飲んでいました。
その周りは空のアルミのビア樽やつぶした段ボール箱や木の廃材がごっちゃごちゃまき散らかしてあり「7月4日に営業開始が許可されることは前からわかっていただろうに、片付けようという気がなぜ起こらない!?」と大疑問です。
...もしかしたらロックダウン前からこんな状態だったかもしれません(おぼえていません)
「景気の悪い」シャッター街、プリンセス・ストリートの裏側の無機質でおしゃれっぽい再開発通りには人通りが全くありません。
2018年に、連合王国で一番
見苦しい建築物に冠されるカーバンクル杯を授与された栄えある総合レジャー施設レッドロック Redrock がまだ閉まっているせいです。
中に入っている映画館 The Light Cinema はまだ無期準備中だそうです。
一階のスポーツジムも閉まっていました。
さて、土曜日の
「ロックダウン解除最終段階の決行」です。
まだソーシャルディスタンシングの実行が強く要求されているパンデミックのさなかです。
イギリスでは1日の新感染者が毎日500人を超え、学校の全面再開は9月以降の新学年開始まで延長され、局地的な感染大爆発(レスターで4000人弱)も起こっているというのに....
本当に、だいじょうぶなのか?
たしかに店が閉まったままでは経済壊滅....しかしながら感染爆発第二波がやってきたら元も子もありません。
「さあ、お金を使って楽しんでください!経済活動に貢献しましょう!でも慎重に行動してくださいね」という非常にあいまいな政府のメッセージは国民を混乱させました。
.....あ、いえ、混乱させていないか?
かなりの割合の人たちは全精力をかたむけて楽しむことのみに集中したようです。
テレビのニュースで見る、国中の興奮ぶりはちょっとしたみものでした。
当日の土曜日、昼過ぎから開店するための準備をする各地のパブの様子が早朝から次々とうつりました。
透明バイザーを装着したスタッフ、通常の半分以下の座席数、メニューはコピーした使い捨て、各所に殺菌スプレー/ジェルを配置、店によってはテーブルとテーブルの間を透明アクリル板で仕切ったり一方通行の矢印を床に貼ったり、話す声の音量を極力下げてもらうためどこも音楽をかけず、時間決めで入れ替え制にしたり.....
すべての店では入る際、氏名と連絡先を書かされます。
食事はどこも完全予約制。
この日開店した飲食店は全体の30パーセントに満たなかったそうです。
小規模経営の事業者には以上のようなソーシャルディスタンシング対応の準備を整えるのが難しそうです。
明け方、早朝から営業開始した美容院も多かったそうです。
一回に入店できる客の数を3分の1ほどに絞ったため、早朝から深夜までスタッフが交代で対応。
そんな物々しい状況でビールを飲んで楽しいのか。
今まで3カ月もほっておいたのに開店したらすぐカットや毛染めに駆け付けなければならないほど髪が緊急事態だったのか!?
翌日のニュースには、再開初日にパブに繰り込んだ「幸せ」「楽しい」「こんな日が来ようとは!」と歓喜する多数の人たちが、当日の早朝には、美容院で髪を洗ってもらいながら「ロックダウン開始と同時に予約をいれた甲斐があった!」と夢見心地の表情の客がうつっていました。
土曜日、ロンドンのソーホー地区ではパブから繰り出しソーシャルディスタンシングの習慣を完全にどぶに捨てたものすごい数の人たちが狭い通りを超過密状態の団子状になってそぞろ歩き、警官に引き分けられているシーンもうつりました。
国中どこも似たようなものだったようです。
とにかく楽しそうな人、人、人!
マスクをしている人なんてただの1人もうつっていませんでした。
ほ、本当に落ち着いてほしい!
こんなことでは日本の政治家に
民度が低いと決めつけられてしまうではありませんか。
「当店では安全にショッピングをお楽しみいただけます」と書かれたダサいティーシャツを着せられたマネキン。
ストックポートで開いていた唯一のチャリティショップです。
外から見た限り、けっこう繁盛していました。