イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

新年の神社の楽しいお祭りに行って考えてみた日本人の宗教へのかかわり方

2024年12月31日 23時30分19秒 | 日本

明けましておめでとうございます。

日本の実家で静かな新年を迎えました。

大みそかは「紅白歌合戦」が終わるころテレビをつけて、新年へのカウントダウン番組を英国の自宅にいる夫と見ました。

年が改まる瞬間を私とすごしたい、という夫が英国よりも9時間早い日本の年明けにつきあってくれたのです。

(私たちは、ディスコード Discord というビデオチャット・アプリケーションを家族の通信に使っています)

夫が「もうすぐだぞ」と言ったあたりで、私のあずかり知らぬところで盛り上がっていたにぎやかな紅白歌合戦が終了、「ゴ~ン…」という荘厳な除夜の鐘の音とともにテレビの画面がどこかの由緒ある山寺の山門のシーンに切り替わりました。

「なんだなんだ?」といぶかる夫に除夜の鐘のコンセプトを説明しているうちに、全国各地の神社仏閣に初もうでに詰めかける善男善女や、コンセプトの説明不能な宗教儀式(護摩をたいたり祝詞をあげたり…?)を執り行う僧侶、神官の様子がつぎつぎと画面にうつりました。

ああ…そうだった、これが日本の年明けだった…

ストックポートの我が家には、娘のインターネット・ゲーム仲間たちが宿泊していました。

夫と新年のあいさつをした後、娘はじめ、昼間の階下のキッチンに集結したゲスト3人ともあいさつを交わし…私は寝ました。

翌朝、元旦です。日本時間の午前9時前にこんどは夫にチャット電話をかけて、英国の年明けにお付き合いです。

 

カウントダウンの後、夫と再び新年の挨拶を交わし寝室の窓から、四方八方の夜空に上がる花火を一緒に見た後、階下のニューイヤーズイブ(年越し)パーティのゲストたちにも挨拶をしました。

階下のテレビでは、ロンドンのビッグ・ベンの上空に上がる華やかな花火と大歓声が映し出されていました。

これが、英国の年明けです…と言うか日本以外の国ではドンドンパーン(花火)や歓声、イルミネーションやキスやハグが年越しの標準なはずです。

英国の大晦日、午後いっぱいテレビで世界各国の年明けの様子を生中継して映し出します。

まず最初に南半球のオーストラリア。シドニーのオペラハウス上空にドンドンパーンと歓声、そして中東、東南アジアと続くカウントダウンと年明け映像にはいずれもドンドンパーン。コンサート、民族舞踊、レーザー光線のディスプレイなどが加わることもありますが、基本的にはお祭り騒ぎです。中国も同様。

北朝鮮までもミニスカートの軍服を着た女性歌手の歓喜の歌で年が明けるのに、その1時間後の日本では、ゴ~ン...(除夜の鐘)と厳かな寺社の儀式風景…なんですよね。去年は成田山の参道(だったと思います)でNHKの女性アナウンサーが厳かに「新年あけましておめでとうございます」というシーンが英国のテレビで流れました。

日本人はそれほど敬虔な民族だったのであろうか。

違います。違いますよね。

日本人はよく自分たちの信仰心のなさと節操のなさを自虐的に「神社の氏子としてお神輿をかつぎ、お葬式は仏教式で結婚式は教会で」なんて表現しますよね。信仰というより慣習でしょうか。

実は、そういった慣習的なかかわりすら拒絶し、本来の宗教であるキリスト教会と隔絶した人が非常に多い英国人のほうが概して言えば…宗教離れは激しいんですけどね。

写真はすべて地元の神社、元日の船橋大神宮です。

神社周辺には参拝(お祓い?)目的の人々の想像を絶する長蛇の列ができていました。日本人の強い信仰心のあらわれでしょうか。

…違うと思います。無病息災満願成就をねがう素朴な神頼みですよね。

警備のスタッフに「参拝せずに境内を見て回るだけなら列に並ばなくてもよい」ということを確認して、並ばずに入りかなり「俗っぽく」楽しい境内の出店を見物して回りました。

境内の高い位置にある、船橋市の文化財である明治時代の木造灯明台(灯台)の内部が一般公開されていました。

畳の部屋に座ってのんびり眺望を堪能できました。

解説も見張りもなく、勝手に出入りできる貸し座席みたいでした。食べ物を持ち込んでパーティなんかもできそうです(やる人はいないでしょうけど)

地域の住人を見守る地元の神様といっしょに年始を楽しむ日本人の宗教に対する姿勢、けっこういいですよね。

信仰に真剣に帰依するか、完全にかかわりを断つかふたつにひとつのキリスト教、イスラム教(は、特に戒律もめちゃくちゃ厳しいですし)なんかと違って、宗教を上手に生活に取り入れて余裕をもってかかわっているように思えます。

 

 

 

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年内ギリギリ、日本からお届けするストックポート日報、第ー報です

2024年12月30日 21時08分45秒 | 日本

12月初めから日本にいます。

単身での帰国です。

ストックポート日報 創刊10年目の2024年のうちに何とか投稿更新がかないました、ごぶさたしています。

日本での年末年始は、夫と当時男の子だった娘と一緒に3週間、滞在した20数年前以来です。

実は、去年と一昨年にも2回にわたりそれぞれ2か月以上の長きにわたって日本に滞在しましたが、その時はストックポート日報を更新する気が起りませんでした。

クリスマス、新年を夫と離れて過ごすのは初めてです。離れて初めてありがたみを実感する夫の存在、この時期、特にはなればなれは堪えます。

滞在中に、日本国外を終の棲家と定めた私の目から見た日本...というか英国と日本の違いですね!また、私がかつて住んでいた頃、30余年前の日本と現在の日本の違いについて等思いついたことを少しずつ記事にしてみるつもりです。

英国の家族や友人に送り付けて好評な写真をちりばめてみます。ほとんどが実家周辺のローカルな風物です。

「イブ」ではなく、クリスマス当日(12月25日)にKFC (ケンタッキーフライドチキン)のクリスマスのディナーパックを予約して食べました。

「日本人はクリスマスイブにKFCのチキンを食べる」のは英国では、というより日本国外でよく知られています。ここ、10年ほどの間に「本当のことなのか」と、スペイン人を含めた約7人に聞かれました。

私が住んでいた頃の日本にはそんなことなかったはずですが、ここ数年、海外でも広く親しまれるようになった日本の「アニメ」や漫画を通じて現代日本の「風習」として国外で広く知られているようです。

鶏モモ肉のローストも私が子供のころ以来ずっとー般的なようですが、とにかく「日本人はイブにKFC」の伝説を現地日本で踏襲してみたかったのです!

日本の「アニメ」ファンであり、大学でアニメーションを専攻している娘がうらやましがりました。

KFCの「イブ」は予約いっぱい、25日、予約した時間に取りに行ったクリスマスディナーパックのいろいろな種類のチキンスナックの詰め合わせは、まったく見栄えがせず残念です。味は悪くなかったのですが…

オリジナルのスパイスのきいた皮付きチキンピースを3ピースずつ買ったほうが楽しめたかもしれません。

私のいないストックポートの我が家では、夫と娘が家庭でじっくりローストする出来合いの半製品、サーモン・ウェリントン salmon welington(サクサクのパイ皮に包まれたビーフ・ウェリントンのシャケ版、夫が魚は食べるベジタリアン=ぺスカトリアンなものですから)の豪華なクリスマス・ディナーを食べたようです。

ここ日本の公共施設や商業施設では、クリスマスの日の深夜にクリスマス飾りを撤去したようですね。

のみならず、近所の商業施設では、26日の開店時間にはすでに立派な門松が据え付けられていました。

翌日、12月26日は英国ではクリスマスとセットになったボクシング・デイ Boxing Day という奇妙な名前の祝日なのですが日本では完全に無視されていますね。

もっと重要な、お正月がすぐ後に来ますものね。

英国を含め、キリスト教圏では1月6日のエピファニー Epiphany までクリスマス飾りを残しておくのが普通です。(それ以前に取り下ろしても、もちろんかまいません)

日本のクリスマスのイメージといえば、圧倒的にサンタクロースですね。

飲食店街のクリスマス飾りの、サンタクロースのシェフたちがご披露する得意料理のレパートリーがイチゴの乗った「クリスマスケーキ」はじめ、日本的過ぎて大感激です。

1月6日はユール・タイド(年末年始) の正式な終わりの日です。1月2日から出勤する人も多いのですが。

クリスマスの2日後にみかけた、コンビニエンスストアの外に押し出され、片づけられるのを待つクリスマスツリーです。

日本にあるまじき手際の悪さ…ああ、日本は空前絶後の人手不足なのでした。

いえ、人手不足にもかかわらず、クリスマス当日の深夜に膨大な電飾をとりおろして松飾をそなえつける日本人の機動力にこそ脱帽すべきです。

よいお年をお迎えください。

 

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久々に見つけたダミー警官、なんだか場違いなマンチェスターの表玄関

2024年12月05日 00時26分43秒 | 英国ってハズカシイ!

マンチェスター・ピカディリー駅コンコース内の文具店/コンビニエンスストア、WHSmith の入り口に立つ...

等身大の厚紙切り抜き「ダミー警官」新作発見。

「シリーズ化」を決めたほどのこだわりテーマでしたが、最後の発見は4年も前でした。

その時の記事のリンクです☟

久しぶりに見たダミー警官、似つかわしくない普通のスーパーでニコニコ警備。それでも不思議な存在理由

こわもて、むっつり、にこやか、さわやか...過去に見つけた「ダミー警官」総集編写真を見ていただけます。

上の記事では「ダミー警官が警備するのは、万引き対策に大勢のスタッフを配置するのが難しそうな、一般的に経済的に余裕のない客層の安売り量販店」...と決めつけています。

...が、このダミー警官がにらみをきかせるのは、老若男女貧富を問わずあらゆる階層の人々が利用するターミナル駅のコンコース広場。

この、「人を見たら泥棒と思え」の感じ悪いメッセージ満載のダミー君、駅のコンコースの治安維持の役割も担っているのかもしれませんね。

マンチェスターユナイテッド(マンU)など人気サッカーチームの試合がある日にこの場所にサポーターが集結、酔っぱらって大声で歌を歌っていたことがありました。その時はホンモノの警察官が配置されていましたっけ。

ところでこの日(先週の木曜日)の夜、マンUとノルウェーのチームの親善試合がありました。

観戦記念のお土産スカーフ売りがそこらじゅうで営業していました。

マンUとノルウェーチームのロゴが半々の「エールの交換」みたいな応援スカーフを首に巻いて街の中を歩いていたのはすべて、聞きなれない言語を話すノルウェーチームのサポーターでした。

8時のキックオフまで5時間以上、マンチェスター観光を楽しんでいるようでした。地元の住人が多そうな(え、そうでもない?)マンUサポーターは仕事を終えてから繰り出したのでしょうか。

試合の時は持参した自分のチームの応援スカーフを巻いて観戦したはずです。「エールの交換」スカーフを巻いて対戦チームの本拠地観光、友好ムードたっぷりで感じいいですね。

...厚紙を切り抜いたダミー警官が立っていても羽目を外す人は外します。やっぱり意味ないダミー警官、というか恥ずかしい。

よそから来た人に「マンチェスターは犯罪の多い町です。ご注意ください」と公言しまくっているようなものです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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最近のマンチェスターの写真と、私の家の年末年始事情、その他とりとめのない懐古話

2024年12月03日 01時35分27秒 | マンチェスター

マンチェスターのクリスマス・マーケットに行った時に撮った、マンチェスターのショッピング・エリアの写真です。

年末恒例、来年1年分の石鹸をフランス人のおじさんから買う以外、クリスマス・マーケットでほしいものは別にありません。

 

クリスマスプレゼントの定番、夫の靴下を編むための毛糸を買った後、個性的な雑貨やおしゃれな古着などが買えるおなじみのノーザン・クオーター Northen Quarterをみてまわりました。

夫はそもそも、目的の品物や店もないのに無計画に歩くのが大嫌いです。

私も、ある年齢に達してからは「物欲」なるものが消失し、それでも必要ないものまで見ていると欲しくなってしまうこともある「ウィンドー・ショッピング」は極力、避けています(ただし、旅行先などいつも行かない場所では2人ともお店をみてまわるのも観光として楽しみますが)

今週、私の実家の都合で急に私1人が日本に行くことになったものですから、クリスマスの用事はできるだけ先に先にと延ばしたがる夫が、異例の早さ、12月になる前に私のプレゼントを物色してくれたのでした。

20年来、2人でクリスマス前によっているお店が3軒、相次いで閉店、オンライン営業のみに切り替えていました。いっしょに立ち寄って他愛のないものを買ってもらうのが楽しいのですが、オンラインで見てまで欲しいものはそもそもありません。

ファンキーな日本風雑貨を売っているお店で、夫がとても買いたそうにしていた、かなり奇抜なカエルのプリントのティーシャツ(マンチェスター製)を買ってもらいました。

結婚して以来、クリスマスを離れて過ごすのは初めてです。しかも帰英の日程は未定という心細さです。

私たちはそもそもクリスマスという行事に重きを置いていないのですが、子供が小さかった時はがんばって賑やかに過ごしてきました。子供たちが成長した今、いっそのこと何もしなくてもいいぐらいなのですが...夫はクリスマスに私がいない、となれば寂しいようで今さらながら動揺しています。もちろん私が日本に行くことには快く賛成してくれました。

包んだプレゼント(カエルのティーシャツ)は、日本時間の12月5日の朝に間に合うよう、空港便で送ってくれることになっています。

私も日本で編み終わるであろう靴下を郵送します。他にこっそり買った内緒のプレゼントは、クリスマスの朝に開けてね、と言って置いていきます。

年末年始が書き入れ時の、スペインでホテルのシェフをしている息子はクリスマスに帰国しません。そのかわり予定していた通り来週、私のいない英国に帰省してきます。入れ違いが残念ですが、近頃ひんぱんに帰国している息子に会う機会はまたすぐ、あるでしょう。

 

...マンチェスター、おしゃれに華やかになったものです。

マンチェスターらしい写真がもっとないかな...と探していたら、5月に行ったインドのストリート・フードレストラン、11月のはじめに行った、中華街のお気に入りレストラン、メキシコのストリート・フード店の写真が出てきました。

英国全体が不況のただなかだった30年以上前、「バブル」時代の日本から留学生としてやってきた私の目からみて驚くほど質素だったマンチェスターの変わりようには目を見張ります。

 

特にお金持ちにも見えない若い人が、地元デザイナーのー点物の服飾品、北欧製のインテリア雑貨や日本製の文具、観葉植物の鉢植え等に高額な値段を払ってバンバン買い物をしています。

...18歳になれば何か特別な事情がない限り、学生も社会人もほとんどの人が親の家を出て自活した30年前の英国と違って、現在は自分の家/フラット(マンション)が買える頭金が貯まるまで親の家から職場に通う人がとても多いから、というのも余裕の理由でしょうか。

節約のため実家から通える大学を選ぶ人たちも増えてきたということです。(学費、生活費はほとんどすべての学生が学生ローンを利用しますので、通常、親の負担はありません)

現在も、学びたい学科や行きたい大学を優先して学生時代は親の家を出る人も卒業後、お金がかからない地元で就職、親の家に戻る人が多いという話を聞きました。

夫と私は、自分たちへの「本命の」クリスマスプレゼントとして、今はやりの卓上エア・フライアー(油を使わないミニ・ロースター)を買うつもりでした。

...が、年末年始に私がいないことを好都合に、クリスマス後の投げ売りセール(Boxingday Sale )か、年明けの売り尽くしがむしゃらセール(January Sale)まで待って半額以下で(希望)買うことに計画変更です。

インターネット通信で会話ができる今、便利ですね。日本にいる私とストックポートにいる夫がインターネットのカタログを見ながら買い物の相談ができるのですから。

 

「バブル最盛の」ころの日本で「ちょっといいもの」を買うのにお金を惜しまなかった私は、英国の若い人たちがセンスの良いものをためらわず買っているのを見て、実はひそかに心強く思っています。夫の世代の英国人の多くは「贅沢だな」と眉をひそめているのかもしれませんが。

現在の自分自身は、買うならできるだけ安く買う、モノをできるだけ増やさないことを心がけています。

 

エスプレッソ・コーヒーが珍しかった40年以上前から営業している、地元では有名なこだわりのコーヒー店です。

(通常はいたって質素だった30年以上前ですら!)英国人がこぞって何かにとりつかれたかのように買い物をしまくるクリスマス間近の喧騒には、いつまでたっても慣れることはありません。スーパーマーケットで会計の列に並んでいたりする時にじりじりと「ストレス」がお腹から喉元まで上がってくる感触が確実にあります。

今年はその前に英国を離れることができるのが、少し得した気分です。日本の師走の、主に食べるものを買う人たち(でしょう?)が行き来する町の喧騒はそれほどストレスに感じないはずです。

 

 

 

 

 

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