イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

今度は5ポンド、国王紙幣...製造が複雑なプラスチック紙幣になってニセ札問題は回避できているのか

2024年07月31日 04時56分30秒 | 英国の、生活のひとコマ

週に2回、ボランティアで店番しているチャリティ・ショップ、オックスファム Oxfam でついに受け取りました!

新国王チャールズIII世の肖像入りのイングランド紙幣、こんどはポンド。

以前にそれぞれ記事にした20ポンドと10ポンドに比べて額面の少ない5ポンド紙幣はもっと広く流通しているはずですが...カードですべての支払いをする私が実物を手にしたのはこれが最初で、(今のところ)最後です。

以前の記事のリンクをひとつだけ☟

国王版、今度は20ポンド紙幣...やっぱり見慣れた女王版とデザインは同じ

現金に触れる唯ーの機会がこのボランティアの店番です。

この時のお客さんもやはり、自分でチャールズ紙幣で支払ったことに気がつきませんでした。君主の肖像だけがスルッとすり替わったすっかりおなじみの女王紙幣と全く同じデザインの、今度は5ポンド紙幣。

現金払いが日常のこの高齢女性は、さすがにその前にチャールズ5ポンドに気がついたことがあるそうですが。

これで、私が実物を見たことがないチャールズ紙幣は50ポンドだけになりました。

以下写真は、家にある女王版5ポンド札です。現金は使わないものの、使わないまましまい込まれた紙幣が何枚かあります。チャールズ紙幣も踏襲した、ウラ面の「偉人、文化人シリーズ」の、戦中戦後の名宰相、ウィンストン・チャーチル。

今、気がつきました。チャーチルの肖像の背景には555555555...と細かいアラビア数字がぎっちりと書き込まれています。

ただし、(以前にも何回か書きましたが)ー般の人々が50ポンド紙幣の実物を目にする機会はー生涯に1度あるかどうかです。その女性は生まれてから1度も「女王版」すら見ていないと断言しましたし、英国に移住して33年目の私もおぼえているかぎり2度しか見ていません。

10年ぐらい前に、娘が日本に住む祖父母からお小遣いとして50ポンド紙幣をもらい(お年玉だったかもしれません)そのお金を持ってゲームを買いに行ったらお店で受け取りを拒否された話は以前にも書きました。

それと、20年ぐらい前に日本から訪ねて来た友人が店で出した50ポンド札に店内がどよめいたのも思いだしました。

多くの個人商店では50ポンド紙幣を受け取りません。大手チェーン店でも受け取るには店長かそこにいる最高責任者の承認を要することが多いようです。

日本では信じられませんよね、イングランド銀行 Bank of England が発行している正規の紙幣がうけとり拒否されるなんて?

以前、オックスファム全店でも50ポンド紙幣の受け取りを今後拒否することを正式に決めました。その当時私は、今とは別のオックスファム支店でボランティアをしていましたが、ニセ50ポンド紙幣で支払おうとする女性の「贋金使い」が近辺で繰り返し出没し、防犯カメラでとらえた人相書き(Facebookの投稿)まで出回ってちょっとした騒ぎだったのでした...

光に透かすと銀色の線描のビッグベンが黒いラインで浮かび上がります。

紙幣の偽造はわりに合わない犯罪です。

高度な技術を使って偽造する想像を絶する壮大な労力と危険に見合うほどの利益は...なさそうです。5ポンド紙幣や10ポンド紙幣の偽造なんてバッカバカしくてやってられませんよね。せいぜい50ポンド(9,783円)紙幣ならたくさん偽造すれば何とか元がとれるかも...?

そう、50ポンド紙幣の受け取り拒否は(おもに)ニセ札受け取り排除のためです。

プラスチック紙幣はー度クセがつくと絶対にとれません。おさえても引っ張っても手を離すとビロンと同じ形にまき戻ります

....チャールズ5ポンドで支払ったお客さんと、チャールズ50ポンド札をまだ見ていないという話からニセ札疑惑の話にまで飛んだ話がはずんでしまったのでした。

その人のお父さんは何十年も前に、大手デパートで20ポンド札で支払いをしようとしたら、ニセ札と判明、店長立会いの下に没収されてしまい悔しい思いをしたそうです。

「銀行で真札とかえてもらうので、返してほしい」とうったえたそうですが却下。20ポンド失い、別の紙幣で支払ったそうです。お気の毒ですが、ニセ札を使おうとしただけでたとえ知らなくても、責任が生じるということらしいです。

そして、受け取る店側にはニセ札の動きを阻止する責任が生じるのだそうです。

オックスファムの店長に「客がニセ札で払おうとしたらどうするのか」とあらためて聞いてみました。

答;「この紙幣には問題があります。別の紙幣をお持ちですか。それともカードで支払いされますか」と言ってニセ札を受け取らない。没収もしない...だそうです。前のボランティア先のオックスファム支店で言われたこともほぼ同じです。こっちが損をしなければよい...ということかと突っ込んで聞いてみたら「そういうわけではないけど...モゴモゴ」と要領の悪い答えが返ってきました。

なぜ、「ニセ札の流れを止める」という社会のー員としての責任ある行動(没収)をとらないのか?というと...

簡単な話...チャリティ・ショップの店員はみな、無給のボランティアなので社会規範に準ずるだけの責任は要求できないから(!)らしいです。

折り目がついて、キツネ顔の女王☟

その店長も、店でではなく個人的にニセ札をつかまされた経験があるそうです!!銀行で悶着もなく真札にかえてもらえたそうです。

中近東などでは、知らずに使おうとしただけで警察に通報されて身柄を拘束されることがあるそうですよっ(数日拘留もありえます)!

英国旅行を予定されている方、両替の際は要注意です。50ポンド紙幣ではなく、20ポンドか10ポンドの額面の小さい紙幣を受け取ることをお勧めします。銀行など信用できる機関を利用して知らずにニセ札を受け取る危機を徹底回避しましょう!

多発したらしいニセ札騒動はいずれも、紙幣が文字通り紙製だった頃の話です。今はそれほど心配されていないのではないでしょうか。それでも今でもチェックは厳重です。

もちろん、日本など海外からの観光客が頻繁に訪れるロンドンの高級店(ハロッズなど)や空港、国際ホテル等では50ポンド札が拒否されることはないはずです。

 

 

 

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電車で行けるピーク・ディストリクト、食いつくしヒツジの残したフリースと名物パブ

2024年07月29日 05時52分54秒 | ピーク・ディストリクト

イングランドの典型的な田園風景が楽しめるピーク・ディストリクト国立公園Peak district National Park、マンチェスター(とシェフィールド)から電車で行けるイーデル Edale の日帰り散策コースの提案、続きです(今回で最後です)

 

次の放牧地も...

草ボーボー、ヒツジもいません。

いつもヒツジでいっぱいの「この世の極楽」だったのですが。

 

広い放牧場に、絵になる古い納屋がポツンとたっています。

使われているのかいないのか...?使われていないとしたら、この物件は「景観の1ポイント」として保存されている確率はかなり高そうです。

...でも、写真(☟)を見返してみたら屋根が伝統的な「スレート葺き Slate roofing」ではなく、風情のないトタン屋根でした...やはりピーク・ディストリクトにコッツウォルズのような見せかけの「昔ながらの田園風景」を期待するのは無理でした...「昔ながらの」見かけには、とにかく維持費がかさみます。

平たい岩3枚セットのスクイーズ・スタイル squeeze stile と木戸を抜けた次の放牧場は...

上の写真は通り抜けた後に振り返って撮った写真です。

先ほどまでの草ボーボーとは打って変わって短く刈りこんだような草が密に生えています。

 

(納屋が写っている上の写真を見ていただけば柵の向こうとの違いが瞭然!)

ちょっと前までヒツジの群れが放牧されていた形跡が明らかです。ー面、食いつくされた草地にトゲトゲして不味そうなアザミばかりがポツポツと残っています。それと...

毛刈り前の暑苦しそうにモコモコ生えていたフリース fleece (ヒツジの被毛)がいっぱい、トゲトゲしたアザミの茎や短い草にからみついていました。

夏にヒツジの放牧場を通るとつい拾い集めたくなる強い誘惑にかられます。以前じっさいに、両手に抱えるほど集めて持ち帰ったことがあります。(夫はイヤな顔をしました)

編み物をする私はクズフリースを集めて紡いで毛糸にしてみたいといつも思うのですが、きれいにするのがとてつもなくめんどくさそうなので、実現していません。(持ち帰ったフリースは捨てました)

手触りは、ねっとりしっとりしています。未脱脂ウールの暖かい匂いがします。落ちたばかりのフリースにはノミやダニがついていると言われますが、宿主から切り離されたノミやダニが何日も生き残るとは思えないので心配いらないはず...です。

この場所は雨が降るとぬかるむのか、部分的に敷石が敷かれていました。それもまっすぐではなく、風情のあるリボン状に。

以前ここを通った時には、パラグライダーがすぐ後ろにドサッと着陸してビックリしたのでした。

周りにハンググライダーやパラグライダーの離陸地点として知られる「ピーク peak(標高615m以下の低い山)」の頂上がたくさんあります。ただ、この場所は着地の場所として知られているわけではないので...おそらく着地点を誤ったのでしょう。

背景に連なる木々の向こうには、ハイキングのはじめに渡った小川と村の中心があります。

 

 

小川ぞいの木々の間の小道を少しあるくと見つかるこの迫力ある樫の古木の左側に...

川を渡る橋があります。キャンプ場の端の方を抜けて、駅から続く道(Mary's Lane) の、この...

教会のむかいあたりに出ます。

また学校や郵便ポストのある店やカフェの前を通って、名物パブ、オールド・ナッグス・ヘッド the Old Nag's Head に戻りました。

 

無数にあるハイキングコースの拠点となる、有名なパブです。

本格的なハイキング、登山装備の客に混ざってカジュアルな街着の私たちはけっこう浮いていました。

すべて地元産の畜肉を使った本格的なパブ・ランチを提供するグルメパブです。レギュラー・メニューの他に食材の供給状況によってかわる本日の特別メニュー Specials があるようです。

どうでしょうか?ちょっと高めに見えますが(例;ビーフ&スティルトン・パイの £16-95 は 3,361円)かなりのボリュームですよ。

上から3番目は、ベジタリアン向きです。

私たちは、途中でピクニックのサンドウィッチを食べたので、食事はしないでエールとJ2O(ジェイ・ツー・オー、フルーツ味のソフトドリンク、アルコールの摂取ができない私のパブドリンクの定番です)を外の席で飲みました。

すぐ横に坂の下の小川のせせらぎがジョロジョロ聞こえてきます。

 

お手洗いに行こうと、適当なドアから中に入って迷い込んだのが天井の高いこのホール。

ド田舎のパブのくせに、まるで中世の館のミニチュア版のような豪華さに圧倒されました。もとは村の鍛冶屋だった17世紀の建築物です。

1時間に1本の帰りの電車に不都合な時間だったので、ヒマつぶしに常に開いているという教会に立ち寄りました。

1882年建造の比較的あたらしい教会です。

価値のある建築物ではありませんが、日中扉を開け放して道行く人を歓迎している教会は近頃とても珍しいはずです。バチあたりな破壊行為や、貴重な持物を持ち逃げするドロボウを防ぐために礼拝やイベントの時以外は厳重に戸締りする教会がほとんどです。

ボランティアらしい信者のおじいさんが朝から境内の芝生の手入れ、訪問者の案内をしていました。

ひんやり涼しく、勝手に座ってくつろがせてもらいました。

教会の名前がわからなかったので今、調べました。The Church of the Holy and Undivided Trinity...長い!聖なるかつ不可分なる三位ー体教会、国教会の教会です。

ピクニックしたり、パブに寄ったり、いちいちとまって写真を撮ったりしていたため、2時間ぐらい費やしました。そのぐらいの時間の余裕は欲しいですね。計画的に行動すれば教会での時間つぶしは不要でしょう。

電車の時間までの時間つぶしが必要ならばビジターセンターでのお土産ショッピングをおススメします。

歩くだけなら1時間で足りるはずです。

電車の時刻はウェッブサイトで前もって調べておくとよいでしょう。time table for Edale from Manchester Picadilly (あるいはShefield )でヒットします。

 

 

 

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電車で行けるピーク・ディストリクト、ウールのフリースを脱いだ見慣れない夏服のヒツジたち

2024年07月27日 22時18分29秒 | ピーク・ディストリクト

イングランドの典型的な田園風景が楽しめるピーク・ディストリクト国立公園Peak district National Park、マンチェスター(とシェフィールド)から電車で行けるイーデル Edale の日帰り散策コースの提案、続きです。

農場の中央あたりから右に降りる緩やかな坂道の両側には、ドライストーン・ウォール drystone wall で囲われたヒツジの放牧場があります。

 

ドライストーン・ウォールの高低はさまざま。

基本的にはセメントもモルタルも使われず平たい石が積んであるだけのドライストーン・ウォール、高く積みすぎると崩れそうで怖いですね。その実、しっかりと組んであるらしく、めったなことでは崩れません。

見たかった、ヒツジの親子!

 

今回、じっくりヒツジが見られたのは道の右側のこの放牧場だけでした。頭数もあまり多くありません。

親ヒツジたちはみんな涼し気な夏の装いでした。暑苦しいウールのもこもこフリース(ヒツジの被毛)を刈り取られ、ガリガリの丸刈りです。

ヒツジを見る機会があまりない日本の皆様には見慣れない姿なのではないでしょうか。

また少し歩くと、下を電車が走る鉄道の線路の上に出ます。

ストックポート、マンチェスター方面はこの方向です。☟

シェフィールド方面に向かって☟

 

線路をすぎてちょっと歩くと道路につきあたります。

 イーデルと、ピーク・ディストリクト有数の観光地、カースルトン Casleton の隣町のホープ Hope を結ぶ イーデル・ロードEdale Road です。この日は交通量も少なく静かでした。

道路に出てイーデルの駅と村のある右に歩くと右側にすぐ、古いコテージの廃墟がみえます。

10年ぐらい前に初めて見て以来、いつ行ってもそのまま。趣きのある景観のー部として保存されている...なんてことはないと思いますが。

古いコテージの修復などに重宝する古い建材の石はとても価値があるようです。誰も持って行かないのが不思議だと夫はいつも言っています。

 

5分ほど道路を歩くと右側に、また放牧場に戻る「パブリック・フットパス public footpath (農地や草地を通り抜ける歩行者の通行が許可された小道)」の入り口があります。

(参考までに...道路の左側には渓谷に下り丘陵地を登ってピークの頂上を経てカースルトンを目指すちょっとキツそうなコースへの入り口があります☟)

入り口には、道路沿いと少し奥に2つの木の扉があります。かなり厳重な、放牧動物を逃がさない工夫です。

以前来た時はたくさんのヒツジが放牧されていたのに今回はカラッポ。草ボーボーの放牧地を通り抜け、下りてきた坂道とほぼ平行のフットパスを歩き...

 

道路に出る前にその上を通った線路の、今度は下を通ります。

線路の下をくぐったところで、お昼のサンドウィッチを食べました。

フットパスの左側にある、イーデル近辺ではおなじみ平たい岩が2枚互い違いにならぶ「スクイーズ・スタイル squeeze stile」(加えてもう1枚!)と木の扉のセットのまたまた厳重なスタイルを通ってとなりの放牧地に出ます。

夫は必ず先に立って木の扉を開けて私を通し、また扉を閉めてくれます。ジェントルマンとしてふるまっているわけではなく、開けた人が同行の人を通してから責任をもって閉めるという、ハイカーのルールです。

農地(放牧地)の所有者が厚意でパブリック・フットパスとして開放してくれているのですからルールを守って通行しなければなりません。動物を囲い込む柵の出入り口を閉め忘れるのは重篤なマナー違反のひとつです。

まあ、たとえヒツジが短い後ろ脚で直立歩行できたとしても岩の板2枚の狭いすき間をスルッと抜けて脱出するのはぜったいに不可能でしょうけど。

決められたルートを踏み外してはいけないのも大切なルールのひとつです。

草地を横切る道なき道の「フットパス」には人が歩いて踏み固めた道ができています。

次の牧草地も草ボーボー、ヒツジは仕事をしているのか?!

牧羊農家はそれぞれいくつかの囲い込まれた牧草地を所有しています。ひとつの放牧地にー定期間ヒツジの群れを放ちその地の草があらかた食べつくされた頃、また別の放牧地に群れを移動させます。その場所の草も食べつくされたら、草がすっかり伸び戻っている元の場所にもどす...というローテーションを夏のあいだくりかえします。

続きます。

 

 

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電車で行けるピーク・ディストリクト、農地を通って気づいた変化、景観向上のための偽装工作?

2024年07月25日 17時58分45秒 | ピーク・ディストリクト

イングランドの典型的な田園風景が楽しめるピーク・ディストリクト国立公園Peak district National Park、マンチェスターから電車で行けるイーデル Edale の日帰り散策コースの提案、続きです。

最後にこの場所に来たのは...パンデミック前でした。

山並みなど壮大な自然の景観は変わりません。

でも、微妙にいろいろ変化がありました。以前のストックポート日報の記事を読み返して写真を見比べてみました。

特徴のある木は成長しているし、柵がなかった場所にも柵が新しくめぐらされていたり...

今来た道を振り返って撮った写真です☟

夫の姪を座らせて写真を撮った地面の謎のモコモコもなくなっているし。

今回は、植樹された若木をいくつも見ました。

ピーク・ディストリクトは「自然のままの原生林」なんかではありません。ヒツジが草を食むのどかな田園風景は、中世のころから牧羊産業のために多くの森林を切り開いてきたイングランドの、大規模な自然破壊の証でもあるのです。

人工的な植樹は森林のコントロールですよね。(緑が増えるのはいいことですが)

同じ木の柵に保護された、すべて同じ大きさの同じ種類の若木がハイキングコースのずっと先まで、20本ぐらい見かけました。農地の持ち主はそれぞれ違うはずです。

同じ植木屋に同時に依頼したから、とも思えません。地域の観光や景観に関する公の組織が全域に手を入れているんじゃないかと思います。

この「キャトル・グリッド cattle grid 」をはさんで農地の所有者がかわります。振り返って撮った写真です☟

キャトル・グリッドというのは英国の農村やナショナル・トラストなどの文化保護団体が管理する広大な庭園などでよく見かけます。放牧された動物は通さず、人やクルマやトラクターがいつでも通れるようにした仕掛けです。

ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、庭園などで放牧されているシカなど、ひづめのある動物は間隔をあけて並べた鉄の棒の上を歩けません。イヌや(たぶん)ネコならだいじょうぶでしょう。人間でもハイヒールや硬い底の靴をはいていたら不安定で難しいかもしれません。

 

キャトル・グリッドの脇の壁から直角につながったドライストーン・ウォール drystone wall(平たい灰色の石を隙間なく積んだ農地の塀)が放牧地を横切っています。

農家の敷地内に入る直前に...

建築資材会社から搬入されたような新品のドライ・ストーン・ウォール用の新しい石が大量に積まれていました。新しく石壁でも作るのかな、と思っていたら...

2棟たっているコンクリートと鉄骨の納屋の左側の下半分の外壁を石で覆う作業が進行中でした。

昔ながらの建築法で建造されたかのように昔ながらの建材で偽装工作中!上半分は木材を張り巡らせていました。(インチキ)

通り過ぎた後、振り返って撮った写真です☟

なかなか効果的です。向かいの納屋は上から下まで木の板張り...

以前は酪農家だったこの農場にはウシがたくさんいたのですが今は道具置き場になっちゃっていますね、この納屋。ウシは見かけませんでした。

ウシがいなくなった後の牛舎の入り口にはまだ四角い犬小屋が二つあり、イヌがそれぞれ住んでいました。以前と同じイヌだと思います。

風情のある古い石造りの納屋と、見栄えのしない黒ずんだアルミ板張りの納屋が混在している実用的な農場の中庭です。

鉄のシャッターがおりていたり、ジャリ舗装とつぎはぎのコンクリート舗装の混在もまた現実的です。

石壁風や板張り風の偽装もやはり「地域の観光や景観に関する公の組織」か何かの差し金でしょうか。景観を向上させるための資金援助があるのかもしれません。

ピーク・ディストリクトは、美しい自然の景観の中に農業が産業として根付いている、地元の住人の生活の場でもある観光地なのです。コッツウォルズみたいに観光目的で「絵にかいたような牧歌的で古風な村」に偽装しなくても全くかまわないはずなのですが!

牛舎だった納屋のある農場の中庭に面した民家(農場の経営者の住まいでしょう)の石壁に段々があります。

「マウンティング・ステップス mounting steps」という、ウマに乗る時の足掛かりです。ここを通るたびに「これ何だか知ってる?」と聞く夫(ボケたか?)に、「知ってる。前に聞いた」と答えています。

わたしもストックポート日報にいつも書いていますね(ボケていません)

私たちはいつもこのマウンティング・ステップスの壁を通り過ぎたらすぐ右側の下り坂を下りるコースをたどることにしています。

左側にある民家の敷地を通って、山登りをするコースもあります。まっすぐ抜けて、よりワイルドなコースを行くことも可能です。

右に曲がった坂道を下り始めた夫です☟

左側のドライ・ストーン・ウォールが高すぎて中で放牧されているヒツジが見えなーい。「べへべへ~」というにぎやかな鳴き声が聞こえてきます。

塀の高さは低くなったり高くなったり...道沿いの土台はいつも草や野の花が映えている盛り土が続いているので足をかけたら中がのぞけるスポットが多数あります。

次回に続きます。

昨日までの2つの記事のリンクです☟

電車で行けるピーク・ディストリクト、観光地とは思えないシーズン前の静かなイーデル

電車で行けるピーク・ディストリクト、イーデルの手軽なハイキングコース

 

 

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電車で行けるピーク・ディストリクト、イーデルの手軽なハイキングコース

2024年07月25日 06時22分01秒 | ピーク・ディストリクト

イングランドの典型的な田園風景が楽しめるピーク・ディストリクト国立公園Peak district National Park、マンチェスターから電車で行けるイーデル Edale の日帰り散策コースの提案、続きです。

名物パブ、オールド・ナッグス・ヘッド the Old Nags Head の前の...

細い下り坂をおりると...

 

谷底にジョロジョロ流れる小川があって、人が1人やっと通れる幅のかわいらしい石の橋が架かっています。

ジブラーター・ブリッジ Gibraltar Bridge という18世紀建造の、村の貴重な文化遺産です。第二級保存指定建築でした!英国の海外領土、ジブラルタルの名がついた由来は...どこにも書かれていません。

渡り切って振り返って撮った写真です☟

低い手すりが特徴の「パックホース・ブリッジ packhorse bridge 」という、背の両側に布袋か籠を下げたウマ(packhorse)を渡すための特別な橋だそうです。

渡って右に行くとすぐ、急な石段があります。

登り切った場所の「スタイル stile」を通ると...

パッと視界が開けて広大な牧草地に出ます。

スタイルというのは、動物は出られないのに放牧場を通り抜ける人がいつでも入れるようにした仕掛けです。柵に設けた踏み段や、二重のスイングドア、柵を超えるハシゴなどなど実に多くのバリエーションがありますが、イーデル周辺の農地では上の写真のような平たい岩2枚の狭い間をカニ歩きですり抜ける「スクーイズ・スタイル squeeze stile 」が多いですね。

原始的な岩2枚と、ごく最近取り入れられた木のドアがセットになっていることが多いようです。用心のため、動物には絶対にあけられない閂(カンヌキ)がついています。

スタイルをぬけた小道(Yの字の股の右側☟)が、小川沿いに続く小道と交わる先はひたすらー本道です。

 

道の左側の牧草地には期待したより数が少ないヒツジの親子がボソボソと草を食んでいました。

左側の牧草地の向こうには丘陵地が広がっています。

ちなみに...ピーク・ディストリクトには「マウンテン mountain」はひとつも存在しません!!あるのは「ピーク peak」のみ。ピークは他の地域では「ヒル hill」とも言うようです。日本語ではすべて「山」ですよね。

「山」の英語はすべてmoutain 、hill というのはただの「丘」だと思っている日本人が多いはずですが、英国では標高2,000フィート(615m)以上の「山」だけが「マウンテン」認定されているそうです。それより低いのは格下のヒル/ピーク!日本でいう「山」のことも英国では「ヒル」と言われることがあるので要注意です。

低めの山(ピーク)がボコボコ連なる山岳地帯がピーク・ディストリクトなのです。

イーデルを拠点に登れる「山(ピーク)」は30以上あります。季節や天候にもよりますが、登山装備なしで頂上まで行って戻れる気楽な登山コースがほとんどです。

 

道の右側に広がる光景です☟。遠くに見える山並みは、道の右側の牧草地とはつながっていません。牧草地と山のあいだには広い舗装された道路とさらに川の流れる浅い渓谷があります。

このー本道を突き当り(農家の敷地内!!)まで行ったら、右側の放牧地を通る緩やかな坂道を下りて広い舗装された道路(上の写真の方角)へ歩いていきます。以下、続きます。

前回の記事のリンクです☟

電車で行けるピーク・ディストリクト、観光地とは思えないシーズン前の静かなイーデル

 

 

 

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電車で行けるピーク・ディストリクト、観光地とは思えないシーズン前の静かなイーデル

2024年07月21日 01時30分11秒 | ピーク・ディストリクト

雄大な山岳風景と放牧されたヒツジが草を食む、イングランドの典型的な田園風景が楽しめるピーク・ディストリクト国立公園Peak district National Park、私が住むストックポートのすぐ近くです。

湖水地方やコッツウォルズに比べると日本での認知度は今ひとつ...残念です。

日本人(と中国人)に大人気の湖水地方やコッツウォルズと違い、日本人(と中国人)の受け入れ態勢は整っていません。日本語で書かれた案内資料が少なく日本人に特化したガイドツアーもおそらく限られているでしょう。

それでも、大都市マンチェスターを拠点に、余裕のある日程でイングランド旅行する機会があれば、日本人(と中国人)あふれる観光地を避けてのんびり田舎と自然を満喫してみたいと思いませんか。

ピーク・ディストリクトに電車で行けるおススメの場所があります。

日帰りプランの提案です。行き先は、イーデル Edale

1時間に1本運行しているマンチェスター・ピカディリーManchester Piccadilly 駅とシェフィールド Shefield 駅を結ぶ電車がイーデル駅にとまります。

先日、天気のいい日に電車で行ってきました。マンチェスター・ピカディリーから、41分。

私たちは、自宅の最寄り駅からひとつ目のヘーゼルグローブ駅から乗車しました。マンチェスター・ピカディリー発の1時間に1本の路線とチンリーという辺鄙な場所の駅で合流します。ヘーゼルグローブからは2駅目、たったの20分。

 

イングランド北部有数の二大都市(マンチェスター、シェフィールド)を結ぶ鉄道路線の駅があるイーデルは、最も行きやすいピーク・ディストリクト散策の拠点です。

山に囲まれたイーデル駅の利用者はけっこう多かったのですが、無人駅です。切符売り場も改札もありません。車中の検札もありませんでした!

プラットフォームの下のハイテク電光掲示板で帰りの電車の時刻を確認する夫です。

線路のこちら側が(乗って来て下りたところの)シェフィールド行きの、線路の下をくぐった向こう側がマンチェスター行きのプラットフォームです。

 

村の中心に向かうー本道に出てすぐ左手に、ランブラー・イン the Rambler Inn という大きなパブがあります。

クルマで来る時はいつもまずこのパブの駐車場にクルマを停めてドリンクを1杯。5ポンドのデポジットを払ってクルマを駐車させてもらいます。散策後、戻って来て食事をすれば5ポンドは払い戻してくれる仕組みです。

5分ほど歩くと左手に見えてくるヒツジの放牧地の向こうには...

村の教会が...

その斜め向かいには、設備の整ったキャンプ場が併設されたビジター・センターがあります。

 

道路の左側には郵便局業務も兼ねた、食品やアイスクリームなどを売る小さな「コーナー・ショップ(何でも屋)」と小さなカフェがあります。

 

その向かいには、小学校の鐘楼のある小さな校舎が1棟。(写真右)

通りがかった時はちょうど休み時間でしたので、コンクリート舗装された狭い校庭で遊ぶ子供たちの元気な声がにぎやかでした。

まんなかの貸別荘のコテージをはさんで左側は、オールド・ナッグス・ヘッド the Old Nags Head という名物パブです。

16世紀建造の、鍛冶屋だった建物だそうです。

教会の向かいには小さな古い共同墓地があります。教会からオールド・ナッグス・ヘッドあたりまでの徒歩1分ぐらいの距離が村の中心でしょう。他には何もありません。

村はずれには規模の大きなキャンプ場とユースホステルもあります。

ハイキングの拠点で、夏のシーズンにはとてもたくさんの観光客が訪れるこの小さな町がお土産物屋や飲食店であふれかえらないのが不思議でしょう?景観をぶち壊す商業看板や「マナー表示ポスター」などもー切見かけません。

駅のプラットフォームでみつけた、気の利いたマナー啓蒙ポスター☟。

「写真以外何もとらないでね/思い出以外何も作らないでね/置いていくのは足跡だけ」

ゴミも、ラクガキも破壊行為もー切見かけませんでした。

イーデルを拠点としたハイキングルートは数限りなくあります。

留学中、1人で泊ったユースホステルで知り合った休暇中のイスラエル軍の女性兵士2人とカースルトンから山越えしてイーデルにたどり着いた元気な思い出があります。

若い頃は本格的にピーク・ディストリクトの山野を歩きまわったという夫とも、比較的らくなそれでも高低のあるハイキングを子供連れで何度か、そしてキャンプも2回したイーデルです。

今回は夫の希望で、上り下りがとてもおだやかで、集落や公道からはなれすぎないおなじみの、1時間で戻って来られる「らくちんコース」を歩きました。

同じ場所に何回行っても楽しいです。放牧されている動物や自然の景観...細かく言えば、牧草地のコンデションや短いサイクルで咲きかわる野の花の種類がいつもいつも違います。

ストックポート日報でも、この散策ルートについて数多くの記事を書いたのですが、同じ場所の写真の風景がやはり少しずつ違います。リンクをー番下に貼りましたので、くらべてみてくださいな。

パンデミック前に来て以来の久しぶりのイーデル散策、加齢による体力の衰え(特に7年上の夫の)を実感しました。

...それでも、楽しかったです。

次回からは、私たちのおなじみルートをちょっと解説します。

 

 

ピーク・ディストリクトの小さな村、イーデルを拠点にヒツジと景観を満喫するハイキング

絶景ピーク・ディストリクト、子ヒツジのいる牧場を抜けるお手軽ハイキングコース

ピーク・ディストリクトの小さな村、イーデルの放牧場で子ヒツジを見て癒される

 

ピーク・ディストリクトのイーデル再び、山歩きのあと見かけた日本の柴犬

ピーク・ディストリクトのイーデル再び、また子ヒツジを見る晴天の逆戻りハイキング

ピーク・ディストリクトのイーデル再び、怖がりのヒツジとのんびりのウシどちらも子連れ

 

ピークディストリクトの小さな町、イーデル、シーズン前の静かな散歩道で子ヒツジ見物(また?)

牧羊犬の活躍で、ヒツジの群れの大移動(イーデル続き)

うわ、たくさん...実はもっとあるんですけど。

 

 

 

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国王版、今度は20ポンド紙幣...やっぱり見慣れた女王版とデザインは同じ

2024年07月20日 04時56分38秒 | 英国の、生活のひとコマ

国王、チャールズIII世の肖像入りのイングランド10ポンド紙幣(プラスチック製ですが)をはじめて見つけてからもう1ヶ月が経ちます。

1カ月前の記事に載せた写真の転載です。☟

その記事のリンクです。☟

君主が代わった実感、母女王の肖像紙幣に溶け込む新国王の肖像入り新紙幣を1枚だけ目撃

 

そしてその後、国王バージョンの10ポンド札を全く見かけません。

...とは言え、私は現金をいっさい使いませんから実際はもっともっと流通しているのに気が付かないだけかもしれませんが。

私が現金に触れる唯ーの機会が、チャリティ・ショップ、オックスファム Oxfam での店番の午後半日のボランティア。

支払いは現金、カード決済が半々、いえ、カードのほうがやや多いような気もしてきました。

そして、10ポンド札を見かけた翌週に今度はチャールズIII世の肖像入りのイングランド20ポンド紙幣をレジの引き出しの中に見つけました。午前シフトのボランティアが受け取ったのでしょう。

10ポンド札同様、女王版とデザインは同じ、肖像がスルッと入れ替わっただけです。

私がまだ見ていない国王版(チャールズ紙幣)は、5ポンド札と、額面が大きすぎて生涯のうち数えるほどしかお目にかかる機会のない(受け取りを拒否する店舗が多すぎるため、事実上流通しているとはいいがたい)50ポンド札の2種類です。

そして、先週チャールズ20ポンド札をお客さんから受け取りました。10ポンド札は1か月で1枚、20ポンド札は3週間で2枚....週に2回、半日ずつ会計カウンターを任されている私が手にした頻度は多いのか少ないのか...?

 

チャールズ20ポンド札を受け取った時「あ、キング」とつぶやいた私に、手渡したお客さんは「えっ、どれ、見せて!」と驚いて、返されたお札をしげしげと眺めていました。気がつかなかったようです。

新しい肖像の紙幣の導入はできるだけスムースに、混乱は避ける...という紙幣発行元のイングランド銀行の目的は達成されているようです。もちろん、現金を日常使いまわしているその年配の女性はカード決済ー辺倒の私と違って以前にもたびたび目にしているはずですが...よく見ないと気がつかないようですね。

紙幣を受け取る店側はニセ札排除のため、慎重に細部をチェックするためイヤでも気がつきます。

...日本では受け取った紙幣のニセ札チェック、失礼すぎてお客さんの前でやりませんよね。英国では必須です。(オックスファム各店には妖しく蛍光文字がボウっと浮かび上がるハイテク・ニセ札探知機があります...ニセ札探知機について書いたずいぶん前の記事です☟)

ニセ札天国のイギリス!セカンドハンド品を売るチャリティ・ショップにまで導入された最新探知機、50ポンド札事情!

これが、おなじみ女王版、同じでしょ?

裏側は19世紀の画家、ターナーの若い頃の(実物よりも二枚目に描かれているという)自画像です。チャールズ紙幣の裏側も肖像のホログラムを除いてまったく同じです。

 

プラスチックの新発行(当時)の20ポンド札について書いた記事のリンクです☟

久しぶりにイギリスで手にした現金、おなじみハイテク技能を駆使した偽造不能なプラスチックの新紙幣、20ポンドが登場

日本では最近紙幣のデザインがー新したそうですね。流通の進度はいかがでしょうか。

「日本で新デザインの紙幣が発行された」と言ったら夫が慌てました。日本から持ち帰った数万円相当の紙幣がそのうち無効になるなら今のうちに両替しておかなくては!とのこと。「日本では新紙幣が発行されても旧紙幣は無効にならないはずだけど」と私は言ったのですが、もちろん夫はインターネットで調べました。

やっぱり、日本では無効になりませんね。

英国4国(=連合王国)のうち、ウェールズを除く3国(イングランド、スコットランド、北アイルランド)が相互流通が可能な独自の紙幣を発行していますが、どの国も新デザインの紙幣が発行されて通常1年後には旧デザインの額面が無効になります。まあ、どうせその頃には旧デザインの紙幣はどこかで回収されて目にすることはなくなっているはずですが。「タンス預金」にしている人たちはビクビクものでしょう。

このチャールズ紙幣は、「新紙幣」扱いではないようです。オモテ面の君主の肖像が女王から国王にすり替わっただけで何ごともなかったようにしずかに流通が始まりましたから。だから、女王紙幣が無効になることはないそうです。チャールズ紙幣が出回るころには回収されて姿を消すことも考えられますが、それにしても破れない、へたらない永久に新品状態のプラスチック製の紙幣をいつ、どういうきっかけで廃棄するのかが気になるところです。

日本では「諭吉1枚でおつりがくる」のような言い方があるそうですね。もうすでに「渋沢栄ーでお支払い」などと言われているとか、新紙幣の肖像の人物認識が浸透しているらしくてビックリです。私が日本にいた頃はそんな言い方はー際ありませんでしたが。

英国では20ポンド札はターナー、10ポンド札はオースティン、5ポンド札はチャーチル...だなんて知っている人はあまりいないと思います。私は紙幣について何回もストックポート日報に書いたので知っていますが!

...ただ、スコットランドや北アイルランドでは、国王/女王ではなく、日本のように偉人や文化人の肖像をオモテ面に、ウラ面は動物や建造物のイメージをつかっているため、もしかしたらイングランドより額面と人物をセットでおぼえる人はあんがい多いかもしれません。

ちなみに...信じがたい話ですが、スコットランドではイングランドの国王/女王紙幣の他に、3つの銀行が独自に発行した3セットの紙幣が流通しています。

現物写真入りの記事のリンクです☟

スコットランドの10ポンド札、ズラッと並んだ3種類揃い踏み!

見慣れないスコットランドの紙幣の奇抜なデザイン、クモの巣!角数拡大続き番号!他

 

先週、オックスファムに寄付された、タイムリーな王室本。

 

ー緒に店の本棚に並ぶ、チャールズの伝記(らしい)です。

フランス人に夏目漱石の千円札を見せたら、「これ、日本の天皇?ハンサムだね」と言われたことがあります。

 

 

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ドラマや映画の撮影場所を提供して観光客を呼び寄せるつもりらしい、街並み自慢のストックポート

2024年07月14日 04時14分40秒 | ストックポートとその周辺

水曜日に、ストックポート、タウンセンターのオールドタウン the Old Town で、テレビドラマの撮影をしていました。

実は、ぐうぜん行き当たったわけではなく、前々日(月曜日)に夫と散策に来てロケーションの準備をしていたのを通りがかりに見かけたのです。その時の写真です☟

現代的なミューラル(ラクガキ風アート)の下の部分を19世紀風の広告ビラが貼り付けられた板で隠してあります。

 

こちらは建物を取り壊したあとの工事現場を、けっこう安っぽい貼りぼて「石アーチとレンガ塀」が隠しています。Manchester Evening News紙 (後述)に載った写真を見ると、このあと壁いっぱいにやはり19世紀風の広告ビラをペタペタ貼り付けたようです。

 

制作には全く関係していなかったらしい警備の男性から「水曜日にここで1日中ドラマの撮影をする」とききだして、物見高い私は見物のため、またタウンセンターに戻ってきたのです!

18世紀から20世紀にかけて建造された古い建物が数多く残るリトル・アンダーバンク Little Underbank という細い通りです。

10年前、「観光ブログ」のはずだった創刊第1号で紹介したストックポート日報の原点ともいうべき通りです。

リトル・アンダーバンクをまたぐ古い橋、セント・ピーターズ・ブリッジ Saint Peter's Bridge の下から先100mぐらいの短い距離が撮影に使われたようです。

ここで終わり☟。エキストラの人たちが休憩していました。私は背景の坂の上からリトル・アンダーバンクに下りてきました。リトル・アンダーバンクの撮影スポットを通りさえしなければハイビズ・ジャケットの付き添い(後述)なしに現場の反対側に来ることが可能です。

そのエリアは、カメラがとらえるアングルに限ってでしょうが19世紀の通りに見えるようていねいにボロ隠しされていました。

グーグルしたら、Manchester Evening News 紙のその日の 記事にすぐヒットしました。

Netflix オリジナルの新連続ドラマ、House of Guinness というビール製造会社「ギネス」の創立者ー家の物語だそうです、配役、配信日などは未発表だそうです。

コスチュームのスカートのふくらみ具合などを見ると1870年代が舞台の設定だということがわかります。

 

 

橋の下で撮影の見物をしようと立ち止まると、何人もいた黄色いハイビズ・ジャケット(安全ベスト)を着た係の人が「通り抜けたいんですか」とていねいに聞いてきました。「いいえ、でもここで見物してもいい?」と聞くと「どうぞどうぞ」とにこやかに応じてくれました。

通り抜けたい人は、ハイビズ・ジャケットの誘導で撮影現場を通り抜けられるのがびっくりです。撮影の合間をぬって何人かの人が通り抜けていました。撮影現場の始まりと終わりのあちら側とこちら側の店は通常通り営業していたのもちょっと驚きです。

極力、地元に負担をかけまい、撮影協力地とうまくやっていきたいという方針なようです。感心しました。

マイクロフォンが追いかけてセリフを拾っていた(エキストラではなく)俳優らしい男性が2人いました。残念、見たことのない顔でした。

NetFlix のイングランド、合衆国制作の質の良いドラマには主役級の配役にテレビや映画ではあまり知られていない実力派の俳優が起用されることが多いように思います。

 

橋の横の階段を上って上のマーケット・スクエア Market Square のある丘の上にいってみたら...

 

撮影見物の特等席、セント・ピーターズ・ゲートの橋の上にはやじ馬が鈴なり...私も人のことは言えませんが、ヒマな人が多いですね。

消防車から長く伸びたホースが橋の脇の階段を通して下に降り、撮影現場の石だたみを濡らすための水を供給していました。

「ガス灯」に見える古風な街灯は、ストックポートが景観保持(と言えば聞こえがいいですが...実際は観光目的で...あざといですよね)のためにそなえつけた電灯です。どっちにしてもこのドラマの小道具には時代背景が合わないような...ガス灯は19世紀末(シャーロック・ホームズの頃)に導入されたはずですから。

 

「古い街並み保存」のためにパンデミックのさなかにていねいに敷かれた敷石とは違い、本物の(たぶん)18世紀のガタガタボコボコした敷石が残る、知る人ぞ知るこ汚い裏通りが実はあります。

月曜日の準備中の写真です☟赤い器材カートの裏手が...

...橋の上から見下ろせます。

リトル・アンダーバンクの「19世紀の商店街風景」とは別の「裏ダナのびんぼったらしい生活描写」の撮影準備が進んでいるのが橋の上から一望できました。

橋の上、こちら側は歴史ある市のたつマーケット・スクエアです。

ロケーション用のトラックがずらあっと止まっていました。

マーケット・スクエアにあるガラス張りのマーケット・ホール Stockport Market Square とその周りの古い建造物群、第ー級保存指定建築のセント・メアリーズ・チャーチ St Mary's Church, Stockport、坂下の、撮影に使われていたリトルアンダーバンク、と交差するグレート・アンダーバンク Great Underbank、マーケットスクエアと坂下のアンダーバンク2本を結ぶ、いくつもの brow と呼ばれる急な坂...それらが「オールド・タウン」と呼ばれるユニークなストックポート観光の要...らしいです。

Manchester Evening News 紙やストックポートの産業振興ウェッブサイトによると最近、ストックポートは観光地、商業地としてのPRの他、映画やテレビのロケ地としての誘致にひじょうに熱心なのだそうです。

世界的な大ヒットドラマ、20世紀初頭のバーミンガムを舞台にしたピーキー・ブラインダーズ Peakey Blinders の撮影に使われた場所を訪ね歩くいわゆる(日本で言う)「聖地巡り」の人々がストックポートにも足を運ぶという観光効果が表れているそうですし。

実際、ドラマや映画またコマーシャルでも「あ、これストックポートだ!」とわかる映像がたびたび目につきます。

 

ドラマの設定として人気の1950~80年代のレトロなドラマ、また今回のような19世紀が舞台のドラマでもじゅうぶん使える街並みがしっかりと残っています。

「イングランド北西部のハリウッドを目指す」とわけのわからないことを言っているよう(大手の映画製作会社がないだろう!?)ですが、それ、たしかハリーポッター映画のロケに使われたというリバプールも言っていましたよ!

古い街並みの壮大さと都市規模と知名度などで比較をすればリバプールとはスケールの点でドッカーンと格が下がるのストックポートですが、健闘しているとおもいます!

ただ...

リトル・アンダーバンクの橋のこちら側(メインのショッピングセンターに近い側)のサビれぶり...。

アンダーバンクの始まり(左に入ると橋があります)の...

上の写真中央空き店舗の表面に、「レンガ壁」と古風なサッシ窓(上下に上げ下げする窓)が取り付けられていることに気が付きました。

中途半端にモダンなショボいコンクリートの建物だったのですが、表面を飾り付けたみたいですね。いやもしかして、取り壊してたてなおした...?!

なんだか...ディズニーランドみたいなことをしていいのかなぁ。不正直な気がします。

街並みがステキに時代がかって見栄えがしても商店や飲食店が苦戦しているのはどこも同じです。まず空き家問題を何とかしなくては。

この件に関してまたいずれ書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

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珍しい花が咲いた!うちのヘビちゃんの強烈な芳香

2024年07月12日 09時45分00秒 | 英国の木々と草花

スネーク・プラントの花がはじめて咲きました。

 

10年近く育てている古い株です。

1か月前に撮ったつぼみの状態です。

スネークプラントの花は珍しいそうです。

日本では「サンスベリア」と呼ばれることが多いそうですね。英国では mother- in law's-tongue (姑の舌)という非常に興味深い通名でも呼ばれます。

夜間、強烈な芳香を放ちます。日暮れが遅い夏の英国では深夜にゆっくりと香りはじめます。甘~い、ユリの香りをとがらせたような...それとなぜか(!)人工の芳香剤というか消臭剤の匂いにも似ています。要するにキツい香りです。

しぼみはじめ、下のほうから茶色くなり始めた今でも近寄ればほのかに...「芳香剤」の匂いがします。

咲き始め☟

 

完全に開花した状態です☟

私は、鉢植え(観葉植物)の世話をするのが得意です。過去にいくつか枯らした経験はありますが株分けと大きく茂らせることには自信があります。特に「コツ」があるわけではありませんがあえて言えば「あまり水をやらないこと」でしょうか。

この鉢はちょっと密集状態...そろそろ株分けを、とここ1~2年思っていたところですが、ついつい億劫で先延ばしにしていたことが花を咲かせる結果になって、むやみにいじくりまわさなかったのがよかったのかも、と今、思います。

うちで育つ観葉植物やサボテン、多肉植物の多くは花も咲かせています。

今現在、開花中...このパープル・ハート(ツユクサの一種)の開花は珍しくありません。季節を問わずたびたび花をつけます。

家庭で実をつけさせるのは難しいと言われているクンクアット kumcuat(金橘の中国語読みだそうです)の乾燥してそのまま残っている去年の実に可愛らしい今年の花が加わりました。

 

毎年花をつけ、しかも子だくさんのこのスパイダー・プラントは、こまめに株分けしてやらないと親株がヒョロヒョロに弱ってきてしまいます。

 

花が咲かないことも多いらしい観葉植物に花を咲かせるコツは...全く分かりません。観葉植物を長生きさせることができたらそのうち咲くことが期待できますよ...ぐらいのことは言えるかもしれません。

「観葉植物の世話が得意」これ、じつは自慢です。

またそのうち、観葉植物の花自慢の記事を載せるかもしれません。お付き合いください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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保守党が大敗、総選挙の結果、新内閣に英国の希望

2024年07月09日 07時00分00秒 | 英国の、生活のひとコマ

総選挙 General Election、続きです。

写真は「自然保護キャンペーン」No Mow May, Knee High June (芝刈りしない5月、6月には膝の高さにのびた芝) を実行した結果、だらしなく雑草が生い茂るにまかせていたうちの庭の草刈り前後です。刈ったあとの短くなった草は日光が根元ちかくまでまで届かなかったためか意外にも色がうすく庭の緑が映えません。

投票日(もう5日も前です)の夜、午前3時ごろまで開票速報を見てさすがに眠くなったので寝ました。

夫は、別の部屋でパブに行って大勢で観て盛り上がるサッカー中継のようにインターネットゲーム仲間と最後まで開票速報を楽しんでいました。

保守党は議席を実に244も失い大敗、209議席増やした労働党の圧勝です。(日本でも詳しく報道されたことでしょう)

 

ー連の総選挙に関する記事はこれでおしまいです。

以下、以前の記事に「そのうち書くつもり」と約束したいくつかの事項です。

副首相 deputy prime minister のアンジェラ・レイナー Angela Rayner は、弱冠44歳、ストックポート出身です。

赤い服を着た写真を意図的に選びました。この人は、労働党の党カラー、赤のスーツやワンピースをとてもたくさん持っています。女性の労働党議員や候補者は政権討論会や初登院など人目につく政治イベントでは赤いスーツを着る決まりがあります。男性は赤いネクタイを着用します。保守党は、青。

 

「副首相」は、国王に任命される国家の政権上2番目に重要な権限を持つ役職ですが、正式な役職ではないそうです。今回のー連のニュースではじめて知りました。「副首相」には俸給がありません!

首相次第で、任命されないこともあるそうです。と言っても、首相不在の際には首相の任務を代行する重要な権限もあるそうなのです(特に国会での首相答弁)...よくわかりません。

このレイナーの正式な役職は「大臣 Secretary of State 」です。Secretary of State for Leveling up、Housing and Communities...地域活性化、住宅、コミュニティ大臣(?)。

弁が立つレイナーは、労働者階級の圧倒的な支持をあつめる大人気閣僚です。地元の(私がよく行くスイミングプールのとなりの)公立総合学校 comprehensive school 在学中に16歳で妊娠、義務教育資格認定試験 GCSE をうけることなく退学して未婚の母として出産。数年後、資格を取り介護士として働くあいだに活動を始めた労働組合の組織に押されて政治の道に入りました。レイナー姓の組合活動家と結婚、2児をもうけて離婚。36歳でおばあちゃんになっています。30歳の時に出産後増え続けた体重を38kg(!)落とし、しぼんだ胸を整えるため5,600ポンドかけて豊胸手術をしたと公言しています。

バリバリのイングランド北部労働者階級の訛りで政見を語ります。多くの人が「ストックポート訛りがある」と指摘していますが、私には聞き取れません。

庭奥の「デッキング」の腐り始めた上板を私が独力ではがしました☟

副首相はじめ、新内閣には女性が多く登用されています。25人中、11人。ただ、非白人は2人だけ...

大蔵大臣 Chanceller に史上初めて女性が任命されました。レイチェル・リーヴス Rachel Reeves 45歳、この人は首相と同じオックスフォード大学をでて、経済学の最高峰、London School of Economics で修士号を取得しています。

レイナーのような型破りすぎる経歴の女性が政権の中核に登用される英国はまだまだ捨てたものではない...英国に永住する決意は間違っていなかったのかも...と感慨無量です。

 

外出先から帰って来たら、庭に出るドアマットの上に見つけた立派なネズミの亡骸...☟

もし、リシ・スナクの保守党が政権に居座っていたら...

日本ではあまり話題になっていないらしいルワンダ計画 Rwand Bill / Schem という悪夢の法案が実行されるところでした。

ゴムボートで政情不安な国、貧しい国からやってきて、英国に永住するために「難民申請者 asylum seeker 」になる不法入国者をまとめてアフリカのルワンダに移送するという、とんでもなく人権無視もいいところの法案です。嘘つき前首相、ボリス・ジョンソン内閣で発案され、選挙で大敗リシ・スナク内閣で実現寸前までこぎつけた国家の恥辱案。

20年ぐらい前、民族抗争で怖ろしいことになっていたルワンダ。政情は落ち着いたということですが民主国家にはなり切れていないし、インフラストラクチャーは不十分、女性に対する性的嫌がらせが横行しているという(ドキュメンタリーを見ました)ルワンダに自国を捨ててまで住みたい難民希望者は皆無、もちろんイヤガラセです。

ルワンダに連行されるために、命がけで海を渡って英国をめざす人はいなくなるだろうという狙いです。

多くの英国民は移民が増え続けることをひじょうに強く懸念しています。たしかにすべての入国希望者を永住させれば、英国の国家自体が破綻します!

本国にいれば政見や信条などのために迫害されて命があぶないと判断されたら、国連が認定する「難民」の資格を得られて希望する国に永住することが可能です。国に送還すれば危険な目にあう人を追い出すことはできません。保守党政府は、晴れて難民認定された人々を国に追い返すような非人道的なことはしない代わりにルワンダにー生住んでもらう、何なら家族もよびよせてもいい(英国へ入国はー生涯みとめない)という驚きの非人道法案をぶちあげました!...英国は近代的な民主国家ではなかったのか...!?

ルワンダ計画が実行される(かもしれない)この国に私はー生住み続けたかったのか疑問でした。

チャールズ国王も皇太子時代、この法案が通った時に憤って、激しい言葉を発したと非公式に伝えられています。

サー・キア・スターマーが首相に就任後、まっさきにした決定が、ルワンダ計画をドブに捨てることでした。(イエィ♩!)国民が「No」と言ったのです!

 

自分が所属する政党の勝利がよっぽど嬉しいらしい夫は私にも娘にもネコにも「勝った、勝ったぞ」を終日言い続けていました。

英国に住む合法的な「外国籍永住者 indefenite leave to remein」の私ももちろんうれしかったです!

フランスの国民議会の選挙結果も意外でした。フランスも右派勢力を退けてすべての人に公平な社会を作ろうとする動きがみられます。なんだかおっかないことがおこりそうだったヨーロッパに...おおげさですが...救いが見えてきた気がします。

 

夫はサッカーのヨーロッパ杯でイングランドが準決勝に勝ち進んだことにも大喜びです。

対オランダ戦の準決勝を観戦する時に飲むアルコール0%のビールを買ってきてほしいという夫に、オランダ製のビールを買ってきてやりました(イヤガラセです)

スーパーマーケットのこのはしゃぎぶり...

私も娘もネコたちも、サッカーには全く興味がありません!重要な国際戦だろうがイングランドが勝とうが負けようが全く気になりません!

 

 

 

 

 

 

 

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よくない方向に向かい始めた英国の軌道修正なるか、少し希望が見えてきた総選挙の夜

2024年07月05日 05時23分21秒 | 英国の、生活のひとコマ

7月4日(木曜日)、英国の総選挙投票日、夜、テレビの開票速報をみながら書いています。

写真は、投票所 Polling Station 2か所。午後ボランティアで行った高級住宅地の中のスカウト・ハットと、うちの近所の小学校です。

朝7時から夜10時までの投票時間が終わって、すぐに開票が始まりました。

第ー野党、労働党の圧勝がすでに確定しています。

英国籍のない私は投票権がありません。

英国に移住(移民ではありません。英国籍を申請していませんから)して以来、最も重要な総選挙の行方をかたずをのんで見守っています。まあ、これを書き終わったら私は寝るつもりですが、夫はー晩開票速報を見て明かすつもりらしいです。

私(たち)にとって何がどう「重要」かというと...

移民排斥の機運におされてフランス、ドイツ、イタリアでは右派、極右勢力が躍進しているようです。他の州先進国の多くでも同じ動きがあるらしい今、移民問題がものすごく深刻なここ英国で(少し)左寄りの中道政党しかも名前がけっこうラディカルな労働党が政権に就くのは特異なことかもしれません。

まだまだ、捨てたものではない、英国。

「移民(国外から移住して英国籍を得た者)」より立場が不安定で、しかも白人ではない私たちのような非常に微妙な存在の他国籍永住者にとってはちょっとひと安心...というか、次の内閣解散までの5年間、息がつけると言ったところです。

日本の皆さんは私のように英国人と正式に結婚して永住権を得て30年以上英国に住んでいる私のような日本人が何を不安に思っているのか不思議に思われるかもしれません。

今回の選挙で議席をのばすであろう、リフォームUK Reform UK のような、露骨に移民排斥を訴える右派勢力が政権をとれば(それでも永住権を理由なくはく奪されるようなことはまだ考えられませんが...!)、「移民(外国人)でていけ」「移民(外国人)のせいで治安が悪くなった」「移民(外国人)に仕事を取られた」など、非寛容な意見を堂々と口にする人がおおぜい出てくることは絶対に間違いありません。

私たちが排斥対象として攻撃の矢面に立たされることが今からしっかりと予想がつきます。

口にするだけではなく、態度に出す人もいるでしょう。断絶と不安定な社会の到来は予測がつきます。

娘が卒業して以来、めったに足を踏み入れることがなかった小学校の正門です。☟学校はもちろん休校です。投票所に使われているのは「ジュニア・スクール (8歳~11歳まで)」の講堂だけなんですけどね。

 

現在の英国は、30年前マンチェスターの大学に留学していた私が「ー生住みたい」と思った素晴らしい国ではなくなりつつあります。間違いなくブレクシットBrexit  (英国のEU離脱)決定の頃あたりから、英国至上主義(他の国はどうでもいい)や「移民や(たとえ英国民であっても)その子孫、ウザい」という差別主義的な意見を口に出してもいいと思うような人が増えてきたように思います。

投票所の講堂入り口に立っているこの男性は、この選挙区で優位な政党リブデムス Lib Dems (自民党 )のボランティア運動員です。日本では考えられないのですが、投票を終えた人に集計予想のために、だれに投票したか聞きだしています。

私が素晴らしいと思った英国は他民族が融合し、お互いの文化や価値観に敬意を払って共存する自由で民主的な国家だったはずなのですが...

小学校の正門から入って、裏門から出ました。ふだんは登下校時以外門が閉鎖されていて通り抜けができません。

実は排斥主義的な人々(はっきり言って人種差別主義者)は昔からけっこういたみたいですね..。

ありがたいことに私はまだ個人的に差別を経験したことはなく(少なくとも自覚はありません)、じゅうぶんに英国社会に融合していたつもりです。社会全体の排斥的な風潮は、報道や身近な人の見聞きした逸話など遠くから少しずつひたひたと忍び寄ってくるようです。

...私の周りの英国人の多くも「たしかに、誰もそんな差別的なこと言わなかったし、思っていてもバレないようにみんな気をつけていたから、自分も今まで気が付かなかっただけで...いたんだよね、そんな人たち」と言い始めています。

件のリフォームUKの選挙運動のボランティアが首相のリシ・スナクを南アジア(パキスタン、インド、バングラデッシュ)人とイスラム教徒に対する最悪の蔑称「パキ」(英語では表記と発言が禁止されている言葉です)と呼んで物議を醸しました。

私はリシ・スナクが大っ嫌いですが(!)彼に対する人種差別発言は絶対に許しません。

移民の子孫であるスナクが首相になる英国を英国民は誇りに思っていいはずなのですが...

今回の選挙と、英国の社会背景について、まだまだ日本の皆さんにお伝えしたいことはあるのですが...とりあえず、おちついて(ねむくなるまで...)開票速報を見るつもりです。

 

 

 

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