イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

善男善女の浄財を子供たちの支援に使う地域の取り組みと小銭の始末

2025年01月19日 09時29分38秒 | 日本

船橋駅周辺の公共アートについて記事にした前回につづいて、駅構内の「公共アート」もご紹介します。

ローカルな話題で恐縮ですが、後半、何とか英国の話題につなげることに成功しました!

「さざんかさっちゃん」像。

写実的な半身像と、かわいらしいマンガキャラクター像の変わった組み合わせが謎めいたブロンズ像です。

JR船橋駅と建物を共有する東武鉄道の敷地内にあります。

管理するのは、設置にもかかわった東武デパートだそうです。

さっちゃん像は長年、待ち合わせスポットとして親しまれています。

さざんかさっちゃんって誰?昔から気になっていました。調べました!

渋谷のハチ公のようにこの場所に関係のある実在の人物ではなく、進学困難なおもにひとり親家庭の子供の進学を支援する地域独自の募金活動のマスコットとして作り出された架空の女の子、みたいです。(現在、さざんか募金活動基金は教育支援に限らず、公益性の高い複数のチャリティ活動に使われているようです)

像が募金箱になっています。

設置は1980年。

2010年に設置30周年記念式典が行われ、9歳の時に「さっちゃんのモデルになった」女性もかけつけた、という新聞記事を見つけました。今年は45周年目ですね。

えっ!って言うか、さっちゃんって船橋市の市章(市花)であるサザンカをつけた野球帽の子(小さいほう)じゃないの?!

モデルになったのはどう考えても写実的な半身像(大きいほう)ですよね?

「さざんかさっちゃん」で検索すると上記の新聞記事ふくめ、混乱する記述いくつかにヒットします。いわく前に座っているのはさっちゃんではなく弟の「福太郎君」とだとか(それは誤情報です。この子はスカートをはいています)

さっちゃんは間違いなく野球帽の子です。じゃあ、9歳の少女がモデルをつとめた後ろの写実的な半身像は誰?

大きさの比率や伏し目がちの落ち着いた表情から、写実的な半身像はさっちゃんのお母さんだとずっと思っていました!

育英金募金運動なんだから「あしながおばさん」ってこともありうる…。とにかく、さっちゃんを温かく見守る大人の女性だと思っていたのですが、モデルが9歳!ふたりとも女の子だったんですね!じゃあ、なぜ2人…?

写実的な少女像を後ろに配したのは、漫画キャラクターだけだとアートとして軽んじられるんじゃないかという懸念でもあったのでしょうか?

 

2020年3月の時点で、さっちゃん像の募金箱には通算 724万円の募金が集まったという記事を見つけました。その額は40年間で、多いのか少ないのか? 

そう言えば、お金を入れている人を見かけたことが1度もありません。

財布の中でジャラジャラ重い小銭を通りがかりに入れていってもいいな、と思っても立ち止まってバッグから財布を出してお金を入れるのはちょっと手間だし、人目を惹きます。

募金箱って、小銭の受け渡しをする会計カウンターなんかにあったほうが入れやすいのですが…日本には、募金箱がある会計カウンターがあまりありませんよね。

英国では、思いつく限りすべての会計カウンターに、地域や全国規模の慈善活動の基金を募るプラスチックの筒状かアクリル板の箱型の募金箱が置かれています。

日本よりずっと早く2,010年頃には「キャッシュレス化」が普及していたた英国では現在、募金箱設置による基金集めに苦戦しているはずですが。

それでも、大半の買い物客は、現金払いでお釣りを受け取ったら少額の小銭は募金箱に入れていくのを習慣にしています。

 

今回の来日で気づいたことがあります。私を含め、現金払いの人たちは小銭を使い切ることに熱心ですよね。(日本で銀行口座を持たない私は日本滞在中はいつも現金払いです)

支払金額が1,543円であれば、2,043円払って5百円玉1枚のお釣りをもらうのはごく普通です。

英国では、15ポンド43ペンスの支払い金額に、20ポンド札に財布から掻き出した小銭43ペンスを添えて支払う人はほとんどいません。20ポンド紙幣のみをぺらっと手から手へ渡すのが普通です。

上記の例では、ほとんどの人が受け取った 4ポンド57ペンス(ジャラジャラ)の釣銭のうち4ポンドは財布に入れ 57ペンス(か、少なくとも7ペンス)を募金箱に入れていきます。

途上国支援のチャリティ団体、オックスファムでボランティアをはじめて以来、6年間の会計カウンター経験談です。釣銭がすぐになくなって厄介です。

日本でも、募金箱をすべての会計カウンターに設置すれば財布でかさばる小銭を減らす努力をする人が減るのではないでしょうか。お店は小銭不足に悩むかもしれませんが。

ガザ攻撃が始まった最初の10日間で「ガザ支援」と書かれたオックスファムの募金箱に浄財700ポンド(13万3千343円)以上も集まったのには驚きました。

支払い時の釣銭のみならず、5ポンド紙幣、10ポンド紙幣もぎゅうぎゅう詰まっていました!(昨日の停戦ニュースは、とりあえず喜ばしいです!)

 

船橋市内のいたるところでサザンカの花が今、満開です。

 

 

 

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定番は子供と裸婦?地方都市の公共アートの必然性

2025年01月16日 13時01分56秒 | 日本

JR船橋駅北口前の巨大な石彫アート作品です。

ハトと幼児。「にらめっこ」という題がついています。

子供を性的な対象としてみることにつながるかも…と幼児の裸体像を見て居心地の悪い思いをする神経質な欧米人はけっこういるかもしれません。ヨーロッパでは見かけない対象です。

雰囲気がほほえましく、写実性が低く漫画っぽい表現、むきだしなのはかわいいお尻だけのこの作品はぜんぜん問題なさそうです。ただ…そう言われてみると子供の裸の必然性が気になる人も出てくるのではないでしょうか。

もしかすると問題視する人がいるかもしれない「アート」を無邪気に駅前広場に設置する日本人はちょっと…のんきなのかもしれません。

それに、なぜここにアート性は低そうな、それでもかわいいと思う人も一定数いそうな裸の子供たちの像が…?

そもそもヨーロッパには私の知る限り、少なくとも英国には、アーティストとのコミッション契約で購入される、屋外の高価な公共アートがあまりありません。

日本には、本当に多いですよね。

地元住人の美意識の向上、地域の化意識の高さをアピールするなど、いろいろな思惑があってのアート投資なのでしょう。

同じロータリーに面したブロンズ像、「歓び」。

思いっきり古典的です。作品名に反して表情が楽しそうではありません。

親しみやすい日本人体形なのに、日本では見慣れない竪琴を持つこの裸婦像、寓意的な意図があるのかもしれません。

でも惜しい、駅前ロータリーに広場を有する大掛かりな陸橋が設けられて以来、ブロンズ像の前の歩道はなくなり歩いて通ることができません。

陸橋から下のバスターミナルに降りて、バスが頻繁に通る幅の広い道路ごしに遠くから鑑賞するしかありません。スマートフォンのカメラで撮ったピントの緩い望遠写真ではじめて作品名を知ることができました。

ブロンズ像の設置は、30年以上前に始まった駅北口前の再開発以前です。背面も二階建ての駐輪設備にかこまれ、そばで見ることができません。

(おそらく税金で購入された)立派な公共のアートを大切に扱っていないようなのが残念です。

 

駅前広場から300メートルぐらい離れた、大通りに面した公園入口には造形的に美しい裸婦ブロンズ像「希望」があります。

やはり安心感をもたらす日本人体形ですが顔の造作は国籍不明。

古典的裸婦像も、言ってみれば公園や(しかも人が通れない)ロータリーに設置する必然性が低そうです…

裸婦像はこの地域に限らず日本中の屋外に多数あるようなのに、古代ギリシャ彫刻のような男性裸体像がなさそうなのはなぜ?

この、やはり子供の石像も同じ駅前ロータリーの目立たない反対側に置かれています。

「交通安全の像」。

これには、交通安全意識を高めてもらう啓蒙的意図がある…のかもしれません。

なんだか旧ソビエト連邦衛星諸国で製作されたような作風ですね。

 

英国の町の公共アートといえば、建築物を部分的に取り壊した後の大きな壁面や仮囲いなどにプロのアーティストによって描かれたミューラル mural(壁画)など、ポップで安価で親しみやすい一過性のアートが主流です。

それと、多くが20世紀以前に設置された国王や郷土の名士や英雄(軍人)のブロンズ像…

加えて、最近ではポップカルチャーやフェミニズム、公民権運動、スポーツなどで知られた地元出身の有名人の像、それに慰霊のための兵士の像なども各地で見かけます。

 

海外ではお金のかかった永久設置の屋外「アート作品」が少なく、日本にとても多い要因の一つに、日本と海外の公共心の違いを挙げる人がいます。

…たしかに海外では名前やスローガンを独自の書体で壁面に書きつける「タギング tagging 」という落書きが日本より圧倒的に多いです。高名なアーティストの作品を破壊したりタギングしたりされては設置に投じたお金をどぶに捨てるようなものですし、地元の評判に傷がつく…なんて思惑もあるのかもしれません。

とは言え…!

英国ではそこら中にある英雄偉人の銅像、ブロンズ像への破壊行為は知る限りほぼ、ありません。

よくあるのは(ストックポート日報でもたびたびしつこく取り上げてきたように)偉人像の頭の上にトラフィック・コーンをのっけたり、手にビールの缶やブラジャーやコンドームを持たせたり、とにかく郷土の英雄がまぬけに見えるようなイタズラ行為!

迷惑行為ではありますが、破壊行為ではありません。

 

私の考えですが…ヨーロッパ(少なくとも英国)では、日本より税金の使い道に関する意識がシビアだからだと言えるかもしれません。公共の福祉につながらない出費をヨーロッパ(少なくとも英国)の有権者はひどく嫌がりますから。

そういえば、船橋駅周辺の古典的な2体の裸婦像は1,980年代に設置されています。

いわゆるバブルの頃なのでした。ありあまる税金の使い道に苦慮していたのかもしれません。

バブル崩壊後には公共アートの購入を各自治体も控えはじめたのではないでしょうか。

 

市内各所にある遊歩道の、自転車から降りるように促すボラードにとまる…

かわいらしい金属製の小鳥は大量生産でしょうね。気が利いています。

 

子供への性犯罪は日本でも長いあいだ懸念されているはずです。

 

 

 

 

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久しぶりのお気に入りバーガーショップ、思いのほかの高級感

2025年01月11日 22時14分28秒 | 日本

都内の大学街のハンバーガーチェーン店、モスバーガーで友人と昼食を食べました。

数ある日本のファーストフード・チェーンの中でもおいしさで群を抜く(私個人の感想)モスバーガーの懐かしい特徴は…

注文が入ってから調理すること、食材を提供する生産農家の氏名が明記されていることなどのほか…バーガーが紙袋に入って出てくること! モスバーガーだけのことではないのかもしれませんが。

ガサガサ音のする張りのある紙です。

40年近く前はお総菜屋さんでコロッケを入れてもらうような柔らかい紙の袋だった記憶があります。そして「袋から出さずにおめしあがりください」と印刷されていました。

「袋から出さずにどうやって食べるのー」と、当時1人でウケていましたっけ。

そう、袋の中に入って(顔を袋に突っ込んで)食べるのです。

手がトロトロあふれ出るソースで汚れない、食べ物に触らないので手を洗わなくてよい、こぼさない、そして何よりも大口をあけてバーガーにかぶりつくみっともない顔を紙で隠して食べられます!素晴らしい、袋入りバーガー!!!

「一頭買い黒毛和牛バーガー山わさび醤油仕立て」おいしかったです。

 

インパクトのあるキャンペーン名とビジュアルのポスター。

ベジタリアン向きのオプションがないのが、英国ではまず考えられないのですが、べジタリアニズムが市民権を得ているとはいいがたい日本では「バーガー店なんだからあるわけないじゃん」という意見が大勢でしょう。

ベジタリアンもミートイーター meat eater (肉を食べる人)に同行してバーガー店でベジタリアンメニューを注文する英国では、「肉肉肉」という直接的な表現は避けるはず。

(日本的な感覚でも表現が直接的なのは承知の上での、狙ったコピーかもしれませんが)

「え、肉を食べに来るべきバーガー店で?!」と思うでしょう?はい。価値観と社会意識の違いでしょう。

英国ではとても人数が多い(私の夫も含む)ベジタリアンと「黒毛和牛」のおいしさを共有できないのが残念です。

 

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日本のネコ、英国のネコ社会に根差した保護活動

2025年01月09日 21時01分06秒 | うちのネコ、よそのネコ

「うちのネコ、よそのネコ」番外編。

「猫カフェ」に行きました。

飲食の提供はなく、雑種ネコたちとのふれあいの場所を提供する有料のくつろぎスペースのような「保護ネコ」施設です。

 

15年ほど前に世界的に有名になった、主に純血種のネコたちを侍らせて飲食できる日本のもともとの「猫カフェ」も、今でもあるようですね。かつてほど話題にはなっていないみたいですが。

マンチェスターでも10年ほど前に鳴り物入りで開店した「キャット・カフェ」、数年後にひっそりと廃業しています。

 

ところで、日本にはノラネコとノラネコたちにエサをやる優しい人たちが多いですね。

実家から徒歩15分ほどの広大な公園は、20年ほど前にはノラネコがいっぱい。ネコ好きがネコを見に来る地域の名所的存在でした。(ネコの捨て場としても知られた負の一面もありました)

しばらくして、耳に「去勢避妊手術済み」のあかしであるキップのような切り込みの入ったネコたちがちらほら目につき始めてからは、あっという間に数が激減。ここ数年、その公園で見かけるのは数匹の常連、キップ耳の高齢ネコばかりになりました。

ボランティアが捕獲して去勢避妊手術を施した後元の場所にもどす、ノラの子ネコを増やさないキャンぺーン、大成功です。

現在は近所の小さな橋の上で、地域非公認のエサやり活動が展開されています。よく太って毛並みのいい血縁関係にあるらしい5匹のノラネコをよく見かけます。

 

英国では、皆無ではないもののノラネコ feral cats の数は極端に少ないですよ。

日本に比べて、動物愛護活動の歴史の長さと圧倒的な組織力の違いがあることと、人々の意識の違いもあるでしょうか。

去勢避妊手術は日本より徹底しています。

飼いイヌ、飼いネコは全て獣医師による認証チップ ID microchip の埋め込みが義務付けられている現在、行方不明になったり盗まれたりしたペットも、獣医師や認定保護センターなどでスキャンすれば元の飼い主がたどれる仕組みです。盗んだペットの転売も不可能になるはずです。

ネコの場合、正式に法制化されたのは、あら、ごく最近ですね。2024年の6月だそうです。ただ10年近く前から、保護ネコセンターやブリーダーは引き渡しの際のチップの埋め込みが義務づけけられていたはずです。

(獣医の診察を受ければ違反がばれて500ポンド以下の罰金です!通常21日間の猶予が与えられます)

イヌやネコを保護した人には、身元確認のために獣医師や保護センターに連絡する義務があります。

迷い込んできた身元不明のイヌやネコを家に入れてエサをやったりすれば「盗難」の疑いがかかってちょっとした面倒ごとになるのは必須です。

言い換えれば、認証チップが埋め込まれていない身元不明のイヌやネコを黙って飼い始めても問題にはならない…はずです。

認証チップの義務を怠れば飼い主の権利を放棄したとも言えるのですから。

 

とにかく、ノラネコを見かけない英国では「地域ネコ」の概念がありません。

 

「猫カフェ」で主催者の女性と話す機会がありました。

エサはもらっているとはいえ、この寒空の下、夜を超すネコたちの存在は大いに気にかかります。「エサをやる以外にできることはあるのか、保護センターに保護を要請するとか?」と聞いてみました。

保護センターでも引き取れないことのほうが多いので健康なネコは捕獲して避妊去勢手術をした後、元の場所に戻し、「地域ネコ」として地域で見守っていくのがベスト…だというのが答えでした。

ノラネコが多い日本…納得の答えです。

「捕獲して獣医師、保護センターに連絡」すれば、(原則的に)飼い主のたどれるシステムを確立した英国とはまったく違うのでした。

 

ああ、ストックポートにいるときに書いた、ネコの保護センターでの「ネコに話しかける」ボランティア体験の記事(数本)を読んでください。

英国でも昨今の保護要請が許容量オーバーの悲しい現実があったのです。主に獣医の診療費の高騰のため、ネコ(そしてイヌも)を手放さざるを得なくなる人の激増のためです(悲しい…)

↓(こんなにたくさんあったかと、びっくりの記事数)

うちのネコ2匹を見つけた懐かしの保護センターと手放さざるを得ない昨今の驚きのペット事情

ネコの幸福にわずかながらも貢献...ネコを愛する人たちが作り上げたネコの天国(見た目はちょっとゴミ屋敷)

ネコとの会話のボランティア、やりがいがあって楽しそうなネコ保護活動の悲しい一面

寒すぎて、外でネコと座るのはあきらめた終日霜の残る美しい冬の日にネコと過ごした数時間

日本の事情に即した「地域ネコ」のシステムは決して悪くはありません。

橋の上でネコにおやつをやって写真を撮っている若い女性や、ネコが出てくるのを待つ小さい女の子とお母さんを見かけました。地域の人々に見守られているんですね。

エサやり常連の女性は「来週から帰省するのでよろしく」とエサやり隊仲間に声をかけていくそうでした。

ネコを介した地域の優しい人たちのコミュニティ、すばらしいです。

英国人にも暖かい旅行先として人気の、トルコやギリシャの多くの町にも「地域ネコ」のノラネコがいっぱい、観光資源にもなっているようです。

保護活動に使われるという入場料を払って「猫カフェ」に足を運んだ理由は…1か月以上触っていないネコを思う存分さわりたかったから。

ホカホカと暖房のきいたネコ部屋に入ったとたん押し寄せる、動物園のような尖った獣臭とは違い温かみのあるネコの体臭を胸いっぱいに吸い込み、ネコの滑らかな被毛を撫でれば幸せな気分になりました。

 

 

 

 

 

 

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お正月が終わった週末明けに思う日本の祝祭日の多いこと…

2025年01月06日 08時06分27秒 | 日本

キリスト教圏の「年末年始」は昨日6日、エピファニーで終了です。

写真はそれと無関係、昨日友人と待ち合わせした、あの国際観光地、浅草界隈のスカイツリーのある風景…他です。

今年は週明けと重なり、日本でも仕事始めの人が多かったでしょう。

年末に、高齢の父につきそって行ったデパートのダイアリー、カレンダー売り場です。

用途に応じて種類が豊富、機能性がすぐれていてしかもお手頃!買うつもりがなかった私も欲しくなりました。でも、「祝祭日」の日付がで記されている日本のカレンダー、ダイアリーは日本国外で生活する私には不都合すぎて…けっきょく買いませんでした。

大安や仏滅など私には不要な情報の記載は気になりませんし、日本の祝祭日を知っておくのも何かの役に立つかもしれませんが、とにかく赤い日付は混乱のもとです。

日本には祝祭日がめちゃくちゃ多い気がします。私が日本に住んでいた頃より、増えた気もします。

…調べました。年間16日、多いです。増えていました。

実は私が住むイングランドの「法定休日 bank holiday」が年に何日あるのか知りませんでした(スコットランド、ウェールズ、北アイルランドと日数が異なります)

…調べました。年間8日、日本の半分でした。

その内訳は

元日 New Year`s Day(1月1日)

グッド・フライデー Good Friday(イースター前の金曜日、イースター当日は日曜日)

イースター・マンデイ Easter Monday(イースターの翌日の月曜日)

メイ・バンクホリデイ May Bank Holiday(5月最初の月曜日)

スプリング・バンクホリデイ Spring Bank Holiday(5月最後の月曜日)

サマー・バンクホリデイ Summer Bank Holiday(8月最後の月曜日)

クリスマス・デイ Christmas Day(12月25日)

ボクシング・デイ Boxing Day(12月26日)…以上

日が定まらない「移動休日」が多いですね。

立憲君主制である英国で国王の誕生日が公休日でないことに驚かれた方もいるかもしれません。

bank holiday の和訳「銀行休日」は間違いです。正しくは「公休日」「法定休日」です。もともとは「(銀行が閉まって)経済活動が停止する日」のような意味だったようですが。

「祝祭日」という名称を使わないのは、祝ったり記念したりするわけではない日が多いためでしょう。

グッド・フライデー Good Friday なんて、キリストが処刑された忌まわしい日もありますしね(その2日後には復活しますが)

月曜休みが多いことから、週末を取り込んで連休を増やそうという意図があきらかです。

記念することもない月曜の休みを点在させることに疑問を持つ人はいません!

 

それよりも日本の、名前からは何を記念する日だか判別のつかない「祝祭日」の存在が疑問です…「海の日」とか…

フルタイム勤務者の場合、年に最低28日間の有給休暇が与えられることを法律で保障されていて、しかも全員が有給を使い切る英国では休暇が取りにくい日本と違い、個性的な祝祭日を創設して国民を休ませるための工夫をしなくてもよいのは確かです。

 

日本に来る前に買って持参した小型のカレンダーです。

今年からはダイヤリー手帳の代わりにスマートフォンのカレンダー機能を活用することにしました。代わりに、私専用のカレンダーをキッチンにおいて、家族が見られるようにします。

共有スペースに置くために、夫の意見も取り入れて選んだ「ナマケモノ・カレンダー」、いいでしょう?

英国で市販されているカレンダー、ダイアリーの大半は、主要な英語圏の国すべて(英国4国、アイルランド、合衆国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)対応です。

細かい字で各国すべての公休日のほか、主要な宗教の祭事、二十四節気(例;春分の日)新月満月などの情報が書き込まれています。

(コモンウェルスの一国であるニュージーランドでは英国王チャールズIII世の誕生日が公休日だということを知り、驚きましたっ!)

もちろん各国の公共日の日付も同じ色ですから、混乱することもなく自分に必要な情報だけを丸で囲うなりして利用すればよいわけです。

日本の美しいカレンダーやダイアリーも赤字表記さえなければ海外の人も買って帰って使えたのになぁ…ちょっと残念。なぜか、Sunday, Monday …と英語で曜日表記してあるカレンダーやダイアリーはとっても多かったのですが。

 

《ホンモノ》和服の正装のお嬢さんたちを国際観光地、アサクサで目にしました。

さすがに多いな、着物姿の女性たち...と思ってよく見たらほぼすべてが、スニーカーやブーツにも合うレースの帯揚げ、ビーズの帯締め、明白なつけ帯...が特徴の貸し着物屋さんで着付けてもらった外国人観光客でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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久しぶりの日本のお正月、期待はしていなかったものの特別感はあまりなし

2025年01月05日 01時00分00秒 | 日本

20数年ぶりの日本のお正月が、あっけなく終わりました。

写真は、英国では珍しい「パイロン pylon (高架線鉄塔)のある住宅街の風景」です。

林立するパイロンは電線が極端に少ない英国に住む私には珍しく、青空や夕日に映えて美しく思われます。英国では現在、より安定した電力供給のためシンプルな純白の「Tの字」型パイロンを海岸沿いや丘陵地などに建設する計画がたちあがり、環境/景観保護団体の反発を買っています…都市近郊の住宅街にパイロン…手つかずの自然の風景を脅かすよりずっといいと思います。

お勤めの人にはこの週末も三が日の延長感覚かもしれませんね。

英国の年末年始の公休日はクリスマス(12月25日)と翌日のボクシングデイ Boxing Day、そして元日 New Years Day のみ、1月2日からすでに通常運行ですが、クリスマス前から1月2日、3日と有給休暇を取り週末とつなげてまとめて休んだ人も多いはずです。

前回、夫と娘を連れて来日した時(小学生だった息子は実の父親とクリスマス休暇をすごしました)は私の母が健在でしたので実家でお重詰めしたおせち料理とお屠蘇で祝いましたが、今回は私と高齢の父の2人ですので、略式です。

事前に注文してあった京風のおせち料理の詰め合わせ、それぞれ1食分とパックに入ったお雑煮を温めてお昼に食べました。

(おせち料理が詰まっていた、しっかりした美しい紙の箱は捨てるに惜しく、引き出しの中で文房具を整理するのに使うことにしました…日本では捨てるに惜しい美しい箱がやたらに多いですね!?すべて取っておけばどこの家庭も紙箱だらけになるはずです)

20数年前もそう言えば、デパートで買った出来合いを母の手作りのお節料理とほぼ半々でお重に詰めていましたっけ。私が子供のころ、そして日本に住んでいた30数年前まではほかの多くの家庭と同様、私の実家でもおせちの大半を手作りしていましたっけ。私も手伝いました。

お餅と日持ちするお節料理を3が日いっぱい食べながらお店が開くのを待ったのは、私が高校生の頃までだったかな。当時少しずつ一般的になってきていたコンビニエンス・ストアは元日にも営業していましたし、デパートも2日に開くのが普通になっていた記憶があります。

今回、近所のショッピングモールも大型スーパーマーケットも、大手チェーンのドラッグストアも元日から営業していたのには驚きませんでした。

私が子供の頃、初商いのデパートで振袖姿の女性店員を多く見かけたものですが3日にとおりかかった駅ビルのデパートは全くの通常営業でした。(初売りの2日に行ったらもう少し華やぎが見られたのかもしれませんが)

1月1日にドラッグストアでは筝曲「春の海」がかかっていたのと、ショッピングモールの暮れからの立派な門松…、私が目にしたお正月らしい雰囲気と言えばそのぐらいでした。

新興住宅地の実家周辺では、一般家庭の門松もほぼ皆無、あっても略式の松の緑を左右に1本ずつが標準のようでした。

凧揚げ、羽根つきをしていた子供はもちろん、和服の人も皆無。

私たちが子供のころ、女の子は晴れ着といわずともウールのアンサンブルの着物を着せてもらって出かけたものなのですが。凧揚げ、羽根つきはさすがにもう一般的ではなかったものの、学習雑誌の付録の「ドラえもん福笑い」で友達と遊んだ記憶があります。

昨日行ったショッピング・モールでは、そう、これこれ!日本のお正月になくてはならない「福袋」をほとんどすべての店舗で見かけました!

日本に住んでいた30数年前からすでに福袋には疑問がいっぱい…初商いのデパート前の福袋目当ての長蛇の列は毎年の正月恒例ニュースでした。縁起物で値段以上の値打ち物が詰まっているらしいとは言うものの、「何が入っているかわからないものによく1万円も払えるものだ」とひそかに思っていたものです。

…なんだ、びっくり!今どきの「福袋」って、中に何が入っているのかわかるようになっているんですね、合理的です。

スポーツ衣料店ではブランドのロゴがプリントされた巾着袋にサイズが書かれた札がついていて、ハンガーにかかった中身の実物見本が添えられていました。

楽器屋さんではピアノの上にそれぞれカラの福袋が。福袋にお金をはらったらピアノが自宅に届くみたい。持ち帰ることができるマリンバや「オタマトーン」が入った福袋もありました。

電気屋さんにはテレビや食洗器、空気清浄機などの写真が貼られた無駄に大きい福袋が、眼鏡屋さんには「眼鏡ケアセット」が詰まった透明の福袋がそれぞれ少数…売れ残っていました。

それらは私に言わせれば「福袋」ではありませんっ。おめでたい袋に入った(おめでたい袋に入っていないものもあり)ただの「バーゲン品」ではありませんかっ!?

シーズン末まで待てば、半額近くまで値下げする現在(しかもファーストファッションのシーズン周期は週単位!)福袋のありがたみってずいぶん薄れてきているのではないでしょうか。それでもやっぱり恒例の客寄せ目玉として用意しておく店が多いってことは需要は絶えないのでしょうね。

 

昨日のニュースで「故郷で正月休みをすごした人たちの帰宅ラッシュ」が報じられていました。ああ、懐かしい。

「おじいちゃんおばあちゃんちで凧揚げをした」とインタビューを受けた子供が言ったのをきいて、「おお、田舎では日本の伝統のお正月の遊びが引き継がれているのだ!」と一瞬思ったのは…たぶん違いますね。祖父母は自分たちもリアルタイムで体験したわけではない、お正月伝統の遊びを、孫のためにわざわざ用意してくれていたのでは。

英国ではクリスマスに家族や親せきとすごすのが大勢ですが帰宅はクリスマス後から、新年まで、(今年は今週末まで)期間的に余裕があるので帰宅が集中することは、あまりありません。

晴天続きの日本で、「暮れの大掃除」をきちんとしなかった言い訳が見つかりません…

冬に雨が多い英国では、年に一度の大掃除 spring cleaning は春にするものと決まっています。(クリスマスに人をよぶ家庭では片づけぐらいはするでしょうが)

晴天の日に窓を開けて空気を入れ替えるのも「新生」を意味する春にふさわしいことらしいのです。

 

 

 

 

 

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