バーミンガム博物館・美術館 Birmingham Museum &Art Gallery についての話題です(昨日の続きです)
後期ラファエロ前派の代表的画家、 エドワード バーン⁼ジョーンズ Edward Burne-Jones はバーミンガム出身だそうです。知りませんでした。
「バーン⁼ジョーンズの間」なるものもあって...地元の英雄扱いですね。
私はあまり好きではありません。
古代風の衣装を身に着けた細身の女性がぼーっとした表情で優雅なポーズをとる耽美的な画風....画集か何かで見たことのある有名な作品が展示室の壁いっぱいにぎっしりかかっています。
ロイヤル・コレクション(王室所有)のレオナルド・ダ・ヴィンチの素描特別展をやっていました。
入退室した人数を数えていて、2人出たら2人いれる入場制限がありました。貴重な展示品の保護と、入館者への配慮のためのようです。
バーン⁼ジョーンズの間で20分ほど並びました。
待っている間、ダ・ヴィンチのテクニックについての学術ビデオを見られるようになっています。
アイデアスケッチのような簡単なものから解剖学図像のような精密なものまでダ・ヴィンチ直筆の素描がいっぱい見られて感激です!
入場制限のおかげで 人の頭に邪魔されたりすることなく、快適にゆったりと見学できました。
両面にびっちり描きこまれた紙の展示品もけっこうたくさんありました。
ガラス板に挟まれ両側から観賞できるようになっています。
めったに写真を撮らないうちの夫が気に入って撮影していたこの一枚....
夫はスマートフォンのホーム画面を船橋市内のデパートで撮ったふなっしーの立て看板から、このダ・ヴィンチの素描の写真に変えました。
新館への渡り廊下にあるカフェで一休みした時に撮った写真です。
Too Cute! 可愛すぎ!という現代作家による、妙に意欲的過ぎて意図不明のインスタレーション特別展に一室割いてありました。
展示場への誘導に、狭い通路の壁両側に表現を思いっきり大げさに豊かにした新「エモジ」デザインの展示がありました。
丸いホールのわきの売店を抜けると...
博物館部門です。
建物が圧巻です。
一階部分のガラスケースの中の展示物を丁寧にみて回りました。バーミンガムを中心にした産業、工芸関係の展示エリアの中二階はパス。
時間があれば、あるいはたびたび来られる場所であればゆっくり見て回ってもよかったかもしれません。
一階の展示物で私の興味を引いた、ラブ・トークン love token のスプーンの傑作例。
ラブ・トークンというのは男性が女性に愛の証におくる品物のことです。婚約指輪も現代に残るその一つの例ですね。
フォークロア・アートでは木彫りのものが多いのです。ひと塊の木を彫りぬいてつながった鎖やみつあみにした綱などを表現する、飾りつきのスプーンが一般的です。
ウェールズでは民芸品として現在でも制作、販売されています。
☝の写真のぶらぶら下がった小さなスプーンも伝統にのっとって、すべて一枚板からの彫り抜き、だと思います。ちょっと、やりすぎ。ひけらかしではないでしょうか。木彫りの技術が高いのはじゅうぶんにわかりました。
バーミンガム美術館/博物館は、今回の特別企画展であるロイヤルコレクションのダ・ヴィンチ素描展を含め、入場無料です。
近くだったらたびたび行きたい充実した美術館です。
(ラファエロ前派の有名な作品がドカッと戻ってきたらまた見にいかなきゃ!)
近頃ご無沙汰の、同規模の市民美術館、マンチェスター美術館 Mancester Art Gallery にも久しぶりに行きたくなりました。
マンチェスター美術館も同時期(19世紀中ごろ)にファッショナブルだったラファエロ前派の充実したコレクションで世界的に有名です。
バーミンガム Birmingham 、続きです。
バーミンガム博物館/美術館 Birmingham Museum & Aet Gallery に行きました。
入り口はバーミンガム・カウンシル Birmingham Council 評議会堂(?上の写真)の左横にあります。
入り口正面写真を撮るのを忘れました。
入り口ホールから外の写真を撮りまあした。
階段を上がって.....
丸い部屋を通り抜けて....
各展示室を順番にめぐる配置になっています。
暑がりの私は屋内で上着(綿のコートですが)を着たまま歩き回ることができません。
有料ロッカーに荷物と上着を置いてから見学を開始しました。
投入した1ポンド硬貨が使用後戻ってくる「デポジット」システムではなく、有料というのは珍しいです。
イギリスの他のほとんどの公立美術館や博物館と同様、入館は無料です。
まあ、ロッカー使用料は維持費の寄付と考えれば納得です。
ひとつの展示室を抜けて次の展示室へ移るようになったレイアウトです。
(どちらかというと国際的にはマイナーな)イギリス美術が好きな人たちにとってバーミンガム美術館といえば.....
19世紀半ばイギリスに発生した独自のアート、ラファエロ前派同盟 Pre-Raphaelite Brotherhood の作品の収集で知られる、いわば巡礼の聖地ともいうべき場所なのです。
バーミンガムのラファエロ前派のコレクションは マンチェスター、リバプール、(それともちろんロンドンのテート美術館)と並ぶ充実ぶりです。
いずれも新興の近代工業都市。近代産業ビジネスで蓄積した資産で買い集めた個人のコレクションが美術館の収集のもとになっています。
ビクトリア時代の革新的でおしゃれな美術作品、お金持ちが買い集めて居間などに飾るにはうってつけだったんでしょうね。
当時の画壇の主流であるアカデミズムに反した革新的な作風と、詩や文芸作品の物語をテーマにしたロマンチックな主題で知られています。
日本で書いた卒論にかなりのスペースを割いたラファエロ前派。
バーミンガムのそばに来たからには見ていかなきゃ!...期待にワクワクです。
ラファエロ前派の展示室にあった印象的な作品、みたことがありません。
ジョン・バイアム・ショー作、「Boer War ボーア戦争」。
ショーはラファエロ前派が廃れた後にも画風を継承し続けたただの「フォロアー」で、厳密にはラファエロ前派のメンバーではなかったはずです。
「後期ラファエロ前派」にすら属さなかったはずですが....
戦争未亡人を美しい風景画の中にとらえた感傷的な作品です。
テーマといい、どこもかしこも ちまちま繊細に描きこんである技法といいラファエロ前派そのもの!
ラファエロ前派発生から50年以上たった1901年にはさぞ古臭く見えたことでしょう。
ラファエロ前派のちまちま繊細技法をすぐそばでじっと見るチャンスでした。
展示されていた、もっとも有名なラファエロ前派作品がこれです。
「Last of England (よく知られたこの和訳はどうかと思うのですが...)英国の見納め」。
マンチェスターにゆかりの深いフォード・マードックス・ブラウン Ford Madox Brown のアメリカに移民する若い夫婦の悲哀と誇りを描いた傑作といわれている作品です。
スケッチや小品を含むとラファエロ前派の作品を3,000点ほど所有しているらしい!バーミンガムコレクションの「見ておきたかった!」という高名な作品が見当たりません!!
何ごとか!?と販売されている絵葉書を示して売店の店員にききました。
めぼしい作品はすべて!現在アメリカを巡回しているのだそうです。
バーミンガム美術館は間もなく大改装のため2年間 閉館するとのこと、再開館を待って帰国するらしいです。
う!う~ん、
開館時間等を調べるためにアクセスしたウェッブサイトにはそんなこと書かれていなかった(と思います、確かではありません)!!
イギリスに住んでいて、見に行こうと思えば行けたにもかかわらず、機会を作る努力を怠って30年近く!
重い腰を上げてとうとう行ったら めぼしい作品の大半が消えていました。(とほほ)
2年後戻ってきてみることにします。
他にも(それほど有名ではないにしろ)十分見ごたえのあるラファエロ前派作品がありましたよ。
「この日見たベスト」私も夫も意見が一致したのがこれ。
「The Rest on the Flight into Egypt エジプトへの逃避途上の休息」。
オラッツイオ・ジェンティールッチ Orazio Gentileschi という16~17世紀のイタリアの画家の大作です。
ベツレヘムの嬰児虐殺を逃れた幼子キリスト、聖母マリアと聖ヨゼフの聖家族トリオ(とロバ)がくつろいでいるのんきな光景なのですが....
登場人物の服装が作品が描かれた当時のものなのは昔の絵画の常識なので まあ いいとして.....
聖ヨセフのこのお疲れぶり!
生後数日の幼子キリストがめちゃめちゃ大きい!首もちゃんと座っているし。
聖母マリアのいさぎよくないおっぱいの出し方...包帯のようなうすもののショールで隠して授乳。
ロバが塀の向こうにいるのはなぜ?(ロバの体を描くのがめんどくさかったのでしょうか)
....背景もぞっとするほどショボい。
なんだか何もかも変な作品!
何が描きたかったんだろう?
思わぬ出会いのあるアート体験!
「マニュエリスム」という当時主流だったアート分野にはあまり興味がなかったのですがこれはウケました。
バーミンガム博物館/美術館、続きます。
先週末、イギリス中部の大都市、バーミンガム Birmingham に行きました。
月曜日がバンク・ホリデー(法定休日)の3連休週末に、例によってテルフォード Telford のホテルで開催されたチェスの国際試合に出場する夫に同行しました。
今回、夫の出番は最終日の月曜日のみ。そのほかの日は「補欠」扱いだったのですが、私と観光する予定で思い切って土曜日から二泊しました。
到着した土曜日の午後は私と一緒に電車で20分のシュルーズベリー Shrewsbery を見物(私は実に4回目!でしたが)、ゆっくりできる日曜日に電車で30分以上かかるバーミンガムまで足を延ばしました。
目的は、バーミンガム美術/博物館 Birmingham Museum & Art Gallery。
終点のバーミンガム・ニューストリート Birmingham New Street 駅についてびっくり。
新築のモダン建築、国際空港か何かと見間違うような立派さに。
外に出てまたびっくり。
一番上の写真は駅舎の広大なフット・ブリッジ(渡り廊下)から撮影したグランド・セントラルという広大なショッピング・モールです。
正面の画面にコマーシャルの映像とコンピューターグラフィックの黄金の雄牛のイメージが交互に映し出されていました。
これが有名なバーミンガム・ブル Birmingham Bull(雄牛)。
たくさんの人が記念撮影していました。
ウシ好きの私ももちろん一緒に撮ってもらいました。
あらあら、ウシだけの正面写真がありません。
実は20年以上前、バーミンガムに来たことがあるのです。
ウェールズとの国境の町に住む友人の実家を訪ねた際、乗り換え駅のバーミンガム・ニューストリートを降りてほんのちょっと町の中を見渡したのです。(当時、駅の出入りに改札はなかったので、乗り降りは自由、違法ではなかったはずです)
日本の都市や都市近郊の大き目の駅はたいてい「駅ビル」の中にあり、改札口を出たらすぐにショッピングセンター、あるいは私鉄なら系列のデパートまで直結の連絡口があるのが当たり前ですが、イギリスではそんな例はほとんどありません。
ロンドンやマンチェスターの終着駅には駅構内にチェーン店の小さな店舗ブースがいくつか並んでいることはあったものの、駅は町のちょっとはずれにあるのが普通で、駅とショッピングセンターが直結、というのはまず考えられなかったそのころ.....
バーミンガムの主要駅のホームの外がショッピングセンターの中!というのは大変な驚きでした。
「おおおぉ!まるで日本みたい!」というのがその時の強烈な印象です。
上の写真のバーミンガム・ブルを見た記憶が確かにあります!
感激の再会です!
その時の町の、コンクリートブロックの高層駐車場やすすけた外観のバスターミナルといったショボい印象の街並みとともに記憶に残っていたバーミンガム・ブル。
それがまあ、どうでしょう!この町のおしゃれな変容ぶり!
個性的でモダンな建物のショッピング・モールがいくつも!
バーミンガムはショッピング天国です!
メインの、駅が入っているショッピング・センターはその名もずばり、ブル・リング Bull Ring といいます。
この場所に有名なブル・バイティング bull biting のリング(競技場)があったからなのだそうです。
ブル・バイティングというのは食肉用の雄牛を杭につなぎたくさんの犬に死ぬまで噛みつかせるのを見物する野蛮極まりない「スポーツ」です。
19世紀の初め頃までは雄牛を苦しませ、興奮させると肉の質が良くなると信じられていたとか。
美術館を目指して、古い建物の多く残る、古くからのショッピング街であるメインストリートを5分ほど歩きました。
おしゃれで人気のあるハイ・ストリートショップ(チェーン店、ブランド店)はほとんど駅周辺のモダンなショッピングモールに吸収されちゃってますね。
それでも古くからのメインストリートで「ムージー(Muji 無印良品)」を見つけたので入って靴下を3足買いました。
19世紀に発達した新興工業都市によくある立派なビクトリア建築に混ざって、アールデコ様式(1920~30年代)の興味深い建物がいくつかありました。
映画館と隣のビル....
私が一番気に入ったのがこれ。
ホテルのようです。
一階は貸店舗でした。とても立派なつくりなのですが表面が薄汚くすすけてもの悲しさたっぷり。
道の終わりが堂々たるビクトリア建築のバーミンガム・カウンシル Birmingham Council 評議会堂(?)。
美術館/博物館はこの同じ建物の中にあります。
横手のパルテノン神殿風は市庁舎 Birmingham Town Hall です。
周りが工事中で仮塀に囲い込まれて遠くからしか見られませんでした。
スフィンクス、ですよね?
1930年代調の彫刻の謎の神話生物が4体。
ビクトリア・スクエア Victria Square を見下ろす 晩年のビクトリア女王の堂々たる銅像。
美術館入り口。横から見たところです。
続きは次回に....
イギリス中部の、古い建物がみっちり建ち並ぶ奇跡のように美しいシュルーズベリーを訪問した時(それも2回目です!)の写真がまだあったので載せちゃいます!
表通りに向いた間口はけっこう狭くて....
奥に長い、ガタガタした形態のホンモノのチューダー建築(16世紀のイギリスの建築様式)!です。
表通りに面した一階店舗は宝石店で奥に長い側から階段を上がって入る2階、3階部分はタイ料理のレストランのようです。
奥に長い側の外壁に、漆喰を盛ってレリーフ状にあらわしたフルール・ド・リ(フランス王朝の紋章、ユリ)と奥に小さく見えているチューダー・ローズ(イギリス王室の紋章、ランカスター家の赤バラの中にヨーク家の白バラ)が飾りつけてあります。
すごくいいかげんな位置に!
漆喰のハチまで!
それに3、2って何?!
どんな由来でこんな場所に紋章の飾りがあるのか、チューダー建築をめぐるガイド・リーフレットには書かれていません!
建物が建てられた時からあるオリジナルなのかどうかも書かれていません。
チューダー建築があまりにもありすぎて、ガイド・リーフレットには載りきらない物件多数!
これも謎の物件です。
カドのチューダー建築から張り出している木彫りのドラゴン(ですよね?)
オリジナルなのか中世の雰囲気を考慮して後から付け加えたのか、それともコンピューター・ゲームか何かからインスピレーションを得たモダンな創作なのか?
1990年に修復されたとき、木肌をむき出しにして中世、チューダー朝のオリジナルな建築技法を復活させた例、だそうです。
コスタ・コーヒー Costa Coffee というイギリス最大のコーヒー・ショップチェーンが間借りしています。
ちなみに隣(足場が組まれている修復工事中のチューダー建築)との間の狭い小道はグロープ・レイン(Grope Lane、 gropeというのは痴漢行為という意味です)という名前の中世の頃からのいかがわしい名前の抜け道です。
木肌むき出しの茶色い梁を主に19世紀に黒く塗りたくっちゃったのが現在「典型的なチューダー建築の特徴」として知れ渡ってしまっています。
最近のちゃんとした修復ではできるだけオリジナルな外観を取り戻すよう細心の注意が払われているということですが.....
当時の首相、マーガレット・サッチャーと国防相のマイケル・ヘーゼルタイン男爵の横顔とPOLL TAX (評判の悪い人頭税、1993年に廃止)と1990年の年号の表示.....
いいのかな?ずっと残るでしょうに。
裏通り、面白いと思ったので写真を撮りました。
この建物のどこがおもしろいのかって?
戸口の上のふさいだ窓に黒いペンキで窓ガラス部分が塗られています。
ね、おもしろいでしょう?
時々、思い出したように登場するイギリス中部の古い町、シュルーズベリー Sherewsburry の、シャット shut についての記事です。
シュルーズベリーの知る人ぞ知る観光名物「シャット」について書いた以前の記事のリンクを一番下に貼りました。
よかったら開けて読んでみてください。
シャットはシュルーズベリー近辺の方言で抜け道、路地のことだそうです。
普通のイギリス英語ではallyway アリウェイということが多いです。
シュルーズベリーに限らず、イギリスのどこの町にも無数にあります。
建物が立て込んだ商店街のみならず住宅街にも、目立たないものも多いのですが、とてもたくさん残っています。
さて、シュルーズベリーのシャットです。
一番上の写真は有名なセイント・メアリーズ・シャット Saint Mary's Shut。
駅前から続き、シュルーズベリー・カースル Shrewsbury Castle やシュルーズベリー図書館 Shrewsbury Library の前を通るカースル・ストリート Castle Streetにあります。
古い建物が残るカースル・ストリートの目立たない、比較的新しく見えるレストランのわきに見つけました。
あまりにもパッとしないので、遠景を撮るのを忘れました。
シャットそのものも大して見栄えもしないのですが....
ガイド・リーフレットによれば....とにかく入ってみます。
シュルーズベリーのシャットで一番 屋内部分が長いのだそうです。
イギリス中の屋内抜け道(公道)の中でも上位にランクされる長さのなのだそうです。
確かに長いです。しかも途中から両側の建物がやけに古くなってきているのがわかります。
出たところで後ろを振り返ってみた写真です。
通ってきた建物ががっかりするほど新しくて(ぼろいけど)がっかり!味気ない終わり.....
中から見て古そうだった部分は何だったんだ?
....新しい部分を建て増ししたのでしょうか。
「これで終わりではない」のはガイド・リーフレットを読んできたのでわかっています。
いったんショボい駐車場に出たあと、セント・メアリーズ・シャットの締めともいうべき部分に続くのですが....
すぐ目の前の これが!
あ、上の写真の右側の建物横の意味のないアーチ入り口が、です。
連合王国で一番幅の狭い公道!!なのだそうです。
巻き尺を持参してはかったわけではありませんが、一番狭い部分は70cmぐらいしか幅がなかったような。
ちょっと太っている人は通れませんね。
横に無意味な公道をくっつけたこの古い建物は一般の民家のようです。
出たら目の前は中世の教会、セント・メアリーズ・チャーチ でした。
(以下、2枚は前回行った時の写真です)
セント・メアリーズ・シャットが設置された当時はこの、現在駐車場として使われている空き地はびっしり建物がたて込んでいたと思われるのですが、どうでしょうか。
大通りからの教会への近道はさぞ重宝したことでしょう。
探せばどこにでも顔があるカテゴリーに分類したいような見事なにやけ顔の建物前面。
シャットに関するリンクです☟
シュルーズベリーのてんてん犬, 招き犬転じて閉店後は人恋しそうなフレンドリーな番犬
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シュルーズベリー駅のすぐそばにある市民図書館 Shrewsburry Library、前回2月に行った時、予備知識なしで入ってみて、建物の歴史の深さにたまげた物件です。
☟にその時の記事のリンクを貼りました。
歴史に残る名門校、パブリックスクールの16世紀の校舎が市民図書館として使われる驚きのシュルーズベリー
上の貼付記事を読んでいただけばわかるように、16世紀から19世紀まで伝統ある超名門パブリック・スクールだった建物です。
「種の起源」で有名な自然科学者、チャールズ・ダーウィン Charles Darwin (1809~1882)の出身校です。
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地元出身の偉人です。
シュルーズベリーの町中、どこもかしこも工事中だったのはちょっと前までの連載に載せた写真でお気づきのことと思います。
一番上の写真の、ダーウィン像の背後の立派なゲートハウスのアーチをくぐり、黄色いウレタンで包まれた鉄パイプが組んである下をくぐると...
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狭い中庭です。
入り口は上の写真には写っていない古い建物部分の右側....小さいです。
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中で堂々とした外観の石造りの本校舎(だった)建物と連結されています。
そうそう、前回写真を撮らなかった「名物」の卒業生の落書きが彫り付けられた500年物の黒ずんだ木製の窓敷居をじっくり見てきました。
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四角く囲ったI.Vauchan くんの署名が彫られた1789年はフランス革命の勃発した年です。 その右のC.J. Gredbyくん (?)の署名は1868年のもの...明治維新の年ですよね。
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ずいぶん年代がとんでませんか。
イギリスの古い保存された建物を見物していると実にたくさんの古い落書きを見かけます。
古いものは「建物の個性」として珍重されているのですが、その当時にもじゅうぶん古かった校舎に彫りつけた落書き!これはかなりまずいんじゃないかと思うのですが....ちょっとした破壊行為です。
学校の生徒でしょう?!しかも堂々と名前をなのっています。
罰せられなかったのか?
観光客が今自分の名前を掘りつけていったら、やっぱりまずいですよね。やろうとする人はいないのか...?
学校の生徒だったからいいのか....??
たくさんの地元の人らしい図書館利用者が読書や調べものをしていました。
その人たちが落書きを一つ加えてみたい、あるいは古い落書きをちょこっと改ざんしたい、と思っても不思議ではありません。
覆いも何もされてないのです。
古いお城や名物パブなどにも数百年にわたっての記念の署名が残っているのが観光の呼び物にもなっていることが多いイギリスです。
今、やったら大問題になるのに。
非常に疑問の残る行為です。
古い建築物に傷をつけた自分の名前を残していくって....考えられませんよね?
昔の人の公共心って今よりずうっと低かったのかもしれません。
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シュルーズベリー Shrewsburry の、どうやら知る人ぞ知る名物らしい、古い建物と建物の間にある「シャット shut 」(シュルーズベリーあたりの古い言葉で抜け道や路地のことです)をめぐる観光ガイド・リーフレットおすすめの順路をたどりました。
古い建物がわんさか残るマードル Mardolという、これまたおかしな名前の通りです。
建物の途切れたすぐ先(写真左)は増水したセヴァン川 River Severn です。
上の写真の右側、PAWS CAFE というのはネコカフェ!でした。
マンチェスターに、ロンドンの外では初めて、というネコカフェがオープンしてから2年以上たちます。(ストックポート日報にも探訪記をのせました)
それにしても、シュルーズベリーにまで、ネコカフェが!しかも日曜日の朝にあいていて、すでにカップルの客がいる!
町に着いたときは晴天だったシュルーズベリーですが、 ちょうどこのあたりに差し掛かった時 一時的に霧雨が降ってきたのです。
ネコカフェに入ってひとやすみするか....という考えが頭をかすめたのですが、お支払いがややこしそうです。10分単位で料金が加算され、最低30分いなければならないと書かれていました。30分いなくても30分いた分の料金が発生するとか。
どこもそうなのでしょうか。
日本で大ブームだったずいぶん前に一度だけ行ったことがあるのですがやはり時間制で支払ったおぼえがあります。
時間制料金は低めに設定、飲み物や食べ物が割高だった記憶があります。
マンチェスターのネコカフェに私が行った時はカフェに出てきているネコの数が少なくてがっかりしたものでした。
高額な時間制料金で飲み放題の飲み物は無料でした。
......結局、旅先で一人でネコカフェに入るのもなんだかわびしい気がして、やめました。
ネコカフェ脇にあるフィーニックス・プレイス Phenix Place というシャットを通り抜けてみます。
ネコカフェでは茶トラネコが接客中なのが見えました。
ちなみに表通りの大きなガラス窓と、シャットに面した2面のガラス窓からのぞいた限り、カフェのなかにはこの一匹しか見えませんでした。
私が行ったマンチェスターのネコカフェは、本家 日本のネコカフェと違って、ネコが店に出てきたかったら出てこられるようになっている仕組みです。
ネコの気分次第で、プライベートな奥に引っ込んでしまうこともあるのです。
この Paws Cafe も同じ方式でネコの待遇優先なのではないかと思うのですが。
paw というのは動物の足(先)のことです。ポーズ・カフェというのは ポーズ pause (一休み)にかけたシャレだと思います。
オヤジギャグですが、気が利いていると思います。
抜けたらこんな小さなスクエアに出ました。
振り返ってみたところです。
ネコカフェの上階は住居になっているようです。
一戸専用の鉄階段が二階に続きます。
部屋割りや床の高さなど内部がどうなっているのか興味津々.....外から窓の配置などを見た限り床にひどく段差がありそう、部屋の間を通る廊下などもなさそうなのですが.....
この小さなスクエアを出るには私の目の高さより少し上に意味なく張り出している梁の下をくぐります。
よそ見をして歩いていると危ないです!
ハトよけの針がさしてあります。
小さな駐車場を抜けると湾曲した屋外の細道を川岸の見える通りに出ます。
ガイド・リーフレットの順路では、反対側の川岸の見える通りから入ってネコカフェ脇へ出ることになっていたのですが、反対側の入り口は深い大きな水たまりが広がっていて通れなかったので、断念しました。
水たまりそばまで行ってみて、またネコカフェ脇まで戻りました。
2軒先は中世から営業している、キングス・ヘッド King's Head という名物パブです。
木材の年輪から1404年建造だということが判明しています。
朝なので閉まっていました。ぜひ入ってみたかった!
このパブわきにもパブの開店と同じころから公道として使われているその名もキングス・ヘッド・パッセージ King's Head Passege というシャットがあります。
建物を抜けたらすぐ両側はレンガ塀(中は駐車場と、ビアガーデンになっているパブの裏側のようです)やはり大きく湾曲した屋外の長い細道です。
フィーニックス・パッセージほど興味深い見ものはありませんでした。
(実は入り口が水浸しのフィーニックス・プレイスの川岸側から入るのをあきらめ、順路と逆にすぐそばのこのキングスヘッドパッセージの川岸側から入りました)
ガイド・リーフレットによると、この通りにいくつもあったシャットすべては大水の時に通りから川に水を流すための臨時の水路として使われていたそうです。
もう10日前にもなる、イギリス中部の古い美しい町、シュルーズベリー Shrewsbury に行った時の話の続きです。
シャット(古い路地、抜け道)巡りをした2日目の日曜日は晴天、駅から出発地点に向かって川沿いに歩いてみました。
あららー、洪水。
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上の写真は、道路に面した入り口があるリバーサイド・ティー・ガーデン Riverside Tea Garden という名のカフェの、川に面した庭側です。
川の両側には、石だたみの 広いリバーサイド・ウォークという遊歩道があるのですが、増水した川の水底深~く沈んで全く見えませんでした。
カフェオレ色の泥水は泥のにおいがしていました。
道路と川を越えて向こう岸の公園までのびる歩道橋の階段部分が半分ほど冠水していました。
(橋を渡って階段の水際ぎりぎりまで下りてみようかまよったのですが実行しませんでした)
写真を撮る人も(私以外)川を見下ろす人も誰もいませんし、町は普通に機能していました。
あまり大ごとのようには思えなかったのが不思議です。
上の写真のカフェの経営者にとっては さぞ大ごとだったでしょう。
シュルーズベリーの町はセヴァン川 River Severn が馬蹄形にひずんだ小さな「ループ」のなかにちんまり収まっているのです。
陸地の中の半島のような、お堀に(半分)囲まれた要塞のようなロマンチックなロケーションです。
ループの上の部分(ちょうど馬蹄が分かれたあたり。駅があります)つまり「半島」の付け根の部分はとても狭く、地図で見てみると川から川まで歩いて5,6分というところです。
前回のシャット巡り記事に出てきたへんてこりんな名前の通り、ウィル・コップ Wyle Copから続くこのイングリッシュ・ブリッジ English Bridge は18世紀建造の古い橋です。
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ウィル・コップの通りが見えています。
川が町の中心のすぐ近くに流れているのがわかります。
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土曜日、小雨が降ったりやんだりの濡れそぼった日に撮った写真です。
傘をさす人があまりいないイギリスです。私も街を歩く多くの人たちもフードをかぶったり髪を濡らしたり傘なしで、歩いていました。
私は十分雨よけになるフェルトのベレー帽で一日しのぎました。
橋から見下ろした風景です。
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増水してるな、というのはその時に気が付いたのですが、翌日 日曜日に完全に水没している町の反対側のカフェ庭部分、川べりの遊歩道と公園スペース(通常の公園を見たことがないのでどこからどこまでかはわかりませんが樹木の水に浸り方や半分水没した歩道橋の階段などで増水部分の水深は十分推察できます!)を見るまで、どのぐらい増水しているのか見当もつきませんでした。
後でこれらの土曜日に撮った写真をじっくり見てみたら納得!
上の写真の連続住宅を囲むレンガ塀の下もかなり広いグリーンベルトを擁する遊歩道だったみたいなのです。(地図で確認!)
一番上の全滅ティー・ガーデンの写真にちょこっとだけ水面からのぞいている鉄柵のてっぺんのフィニアル(ギボシ)....と同じようなものがティー・ガーデンの外のよりももうちょっと深く潜って並んでいるらしいのが何となくわかります。
...ともかく鉄柵がすっかり水没しているのがわかりますよね。
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公園の木も水に浸っているし、洪水ですよね?
土曜日の夜と翌朝、宿泊したホテルのあるテルフォードのホテルで見たニュースでは各地で洪水、冠水の映像を流していました。
運河や川の水があふれ、道路の高さまで水位が上昇、それでも家屋の浸水、倒壊、住民の退避といった大ごとにはなっていないようでした。
運河に住むカモやハクチョウが道路の真ん中で列になって浮かぶのんびりしたシーンが何度も放送されていました。
電車の運休や道路の閉鎖は十分大ごとかもしれませんが。
小雨の降っていた当日土曜日の午後早く、テルフォードから電車でシュルーズベリーに向かう途中、窓の外の景色はずっと緑の平原でした。
私が住むストックポートの周りの高低差のある丘陵地と違って平らで視界の開けた田舎の景観を楽しんでいたら突然電車が一面見渡す限りの水面の上を走りだしたのでたまげました!
ほんの一瞬、10秒ほどだったと思うのですが。
映画、「千と千尋の神隠し」に出てくる水面を走る路面電車に乗った夢の中のような体験でした。
イギリスの冬の風物詩(?)洪水/増水 flooding だったのです。
水はけが悪い場所のいくつもの大きな水たまりが一つにまとまっただけなのだろうと思います。
線路は少し高くなったところを通っていましたので冠水していなかったようなのです。
よく晴れた翌日にはいくつもの水溜りに分かれて前日のような壮観な光景は消滅していました。
たくさんの乗客はみな手元のスマートフォンから眼を離さず、だれも気が付いてないようでした。
イギリス人は、毎年毎年冬になると各地で水が出て大騒ぎをしている印象です。
地震や津波や台風や竜巻と違って治水の管理ぐらい人間の知恵で何とかなりそうなのに......といつも思ってしまいます。
ついでです。
昨日までの連載;シュルーズベリーの抜け道、路地、シャット shut の写真をいくつか...
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シャットの話を明日も少し続けます。
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上の写真の、ウィル・コップ Wyle Cop (道の名前)はチューダー様式(16世紀)、17、18、19世紀の建物がごっちゃごちゃと立ち並ぶ、曲がりくねった大通り、壮観です。(前回、2月にシュルーズベリーに行った時の写真です)
上の写真の、ターコイズブルーの看板のチャリティ―・ショップ(週末中閉まっていました)の左側の狭いシャットの入り口です。
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コンパスィズ・パッセージ Compasse's Passege という名前があります。
非常に古い壁なので自転車を立てかけないで、という小さなサインがありました。
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ほかのいくつもの古くて狭いシャットにも同様のサインがありました。
シャットの途中の昔からあったと思われる古い住居入り口....戸口がとても低いし狭いし、引っ越しの時に細い通路を通って家具を運び込むのに難儀したことでしょう。
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建物を抜けたら、古い住宅の裏庭に挟まれた細い路地....
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振り返ったところです。
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このシャットにとりわけ興味を持ったのは案内のリーフレットにマーケットに連れていかれる途中で逃げ出した雄牛がこのシャットの一番幅が狭い部分につっかえて動けなくなった記録がある、と書いてあったからです。
いつのことかは書かれていませんでしたが....
この小さな塔は階ごとにとても小さなフラット(集合住宅)になっているようです。外にドアのブザーがいくつもありました。
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つっかえたのは、ここらへんか.....?
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出たところを振り返ってみました。
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実は上のコンパスィズ・パッセージに表通りの広い通りから入る前に、表通りと平行に走る石だたみの裏通りから別の有名なシャットを抜けて表通りに出たのです。
以下がその写真です。
バラックス・パッセージ Barrack's Passage の裏通りからの入り口です。
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バラックというのは兵舎のことです。中世の頃に連隊がこのシャット沿いにあった建物に駐屯したことがあるのだそうです。
写真には写っていませんが、坂を下に数歩降りると、壁続きにコンパスィズ・パッセージ の入り口があります。
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木の梁がむき出しのハーフ・チンバーの立派なたてものには1426年に伐採された材木が使われているそうです。
やっぱり年輪から年代を割り出したのでしょうか。
この建物はヘンリー・チューダーというレストラン、カフェ・バーとして使われています。
昼間から、カラオケ?のような音声が聞こえてきました。
いえ、のぞいてみたわけではないのですが下手さから勝手にカラオケと判断しました。
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出たところです。
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右手の黒い車の奥が表通りのバラックス・パッセージの入り口です。
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わかりやすい古建築の特徴「ハーフ・チンバー 」ではありませんが、ガタつき度からかなり古いと思われるパブ、ナグス・ヘッドNag's Head。
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ナグ nag というのはウマのことです。
ナグス・ヘッド は中世の頃からパブ(当時はイン inn といいました)の名前としてよく使われています。
となりの緑のサインの下のゴミ置き場はもしかしたら昔は公道の抜け道だったのかもしれませんが、今は私有のスペースみたいですね。
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あいているので勝手に入ってみました。ほんの数歩です。
ナグス・ヘッドの裏の壁が抜けたようなハーフ・チンバー!
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ビア・ガーデンになっているみたいです。
屋内禁煙法が徹底しているイギリスでは喫煙者のための屋外の席がパブやレストランにとって不可欠です。
パブは営業中でしたが外で飲んでいる人はこの時いませんでした。
この大通り、ウィル・コップ の下の方に位置する わざとらしいほど堂々としたハーフ・チンバーのたてものの.....
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あいているところに入ってみました。
シャットではありません。私有地のようです。
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奥は駐車場、抜けられません。
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ほかにもガイド・リーフレットには書かれていない「抜けられない路地裏」が多数ありました。
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住宅の入り口が集結している路地裏のスクエア。
もちろん立ち入り禁止ではありませんが私有地だと思います。公道ではありません。観光客が用もないのに出入りして写真を撮って回るべきところじゃなさそうです。
明日に続きます。
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2月の訪問の時も私の興味を強く引いた路地、通常 アリウェイallyway といいます。地域によっていろいろな呼び名があるようです。
シュルーズベリーの路地は、シャットshut とよばれ...今回知りました!どうやらこの町の、知る人ぞ知る名物らしいのです。
中世そのままの都市計画と古い建物が完璧な状態で異常なほど多く残るシュルーズベリーに これまた かなりたくさん残るシャットをめぐって町中を「徘徊」するルート案内のリーフレットをシュルーズベリー図書館で見つけて買いました。
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その名も「The Shuts A Stroll around Shrewsbury シュルーズベリーのシャット(路地)めぐり(意訳)」。
もう一部は「The Tudor Town of Shrewsbury チューダー建築の宝庫シュルーズベリー (意訳)」
それでは☝一番上の写真を見て下さい。
建物に空いた抜け道がみえるでしょう?駐車禁止の標識の後ろです。
入って、振り返ったところです。
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解説によると、この場所にあった写真右の戸口にちょっとむき出しになっている石壁は、中世にこの場所にあった大邸宅の土台なのだそうです。
ゴミ置き場.....
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表通りのレストランの従業員がゴミ袋をもって入ってきました。
(ちゃんとゴミを入れる物置が階段下にあるようです)
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出たら反対側はこんなかんじです。
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路地というのはイギリスに限らず、どこの町にもありますね。
公道です。
抜けられます。
建物と建物のせまいすき間、あるいは切れ目なく続く建物にくぐり門を開けて歩行者を通すようになっている、要するに並行する奥の道路に出る近道の抜け道です。
昔は無数にあったのです。
このリーフレットには、私道などを除く今に残る多数のうちの、見ておくべき、あるいは順路上の便利さなどで選ばれた19のシャットが紹介されています。
前回、ガイド・リーフレットなしに行き当たりばったり入って抜けてみたシャットも含め全部、3時間かかって歩いてみました。
ジョージア建築(18世紀)風の白い建物に細くあいた入り口を抜けると.....
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明らかに18世紀以前から ここにあるような古風なシャットです。
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ガイド・リーフレットがなければ見落としていた頭上のビーム。
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1577という年号とGPというイニシャルが見えますね。
建物を抜けたら こんな小さな路地裏の中庭に出ました。
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表がわはしゃれた店舗の並ぶ広い道、裏に回れば情緒たっぷりの不規則に並ぶ集合住宅…
中がどうなっているのか興味津々です。
このシャットは Coffee House Passege といいます。
言い忘れましたが、すべてのシャットには名前があります。公道ですから。すべての道路に名前があるのと同じです。
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このレンガの建物の左わきがシャットです。
ここから、反対側のこの道に出ました。
この建物に小さく Coffee House という標識がありました。
この小さくて目立たない建物の歴史がしりたい!
コーヒーハウス・シャットを挟んで、四角いレンガの建物のとなりの三角破風付きの大きいのは、現在観光案内所と美術館、カフェとして開放されている町の中心ともいえる堂々たる古代ギリシャ風の柱のある建物(通称ミュージック・ホール Music Hall) なのですが、(ちゃんとした写真を撮りませんでした。シャット入り口の写真を見てください。ちょこっと立派な前面が写っています)裏側、しょぼいですね。
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狭い石畳の両側に古い建物がぎっしり並ぶ、中世の薫り高いフィッシュ・ストリート Fish Street の....
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ああ!これも路地入り口の写真を撮り忘れました!
☝上の写真、右手前の砂色のたてものと、その隣の白い建物の間に狭い急な坂のシャットがあります。
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Groupe Lane という、中世からの通り名が正式名として今も残っています。
グロウプというのは、痴漢行為をする、女性の体をいじりまわすという意味の動詞。
グロウピングという言葉は痴漢行為という意味でセクハラ関連のニュースなどで耳にします。
すごい名前です。
中世には 多くの町に「グロウプ・レーン」なる通り名の いかがわしい通りがあったらしいのですが近代的な都市計画が進むにつれて次々と撤廃。
案内のリーフレットにそう書いてあります.....歴史を誇るシュルーズベリー、なんか得意そうです。
工事中。
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ショッピング客でにぎわうハイ・ストリート High Street に出ます。
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角のチューダー建築はカフェのチェーン店、コスタが入っています。
買い物客で大賑わいでした。
ほかにも興味深いシャットの写真をいくつか撮りました。
明日に続きます。
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先週の土曜日から日曜日にかけて、イギリス中部の町、バーミンガム郊外のテルフォード Telford に一泊しました。
はい、2度目です。
たった一か月前にも、テルフォードから電車で20分ほどで行ける古い建物が見事に残る中世の町、シュルーズベリー Shrewsbury を訪れました。
かなり長きにわたってストックポート日報にも連載しました。ご記憶でしょうか。
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また!?
そう、今回も突然出場の決まった夫のチェスの試合に同行です。
テルフォードのホテルのコンフェランス・センターを会場にチェスの国際試合が開催されました。
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今回はその事情を少しお話します。
(写真は順不同に印象に残った建物を中心に撮った町の風景を掲載します。前回載せた建物の写真はできるだけ重複しないように気をつけました)
私はどうしてもまた!美しいシュルーズベリーに行きたかったのです。
前回はご存知のように、土曜日の午後2時間ほど、駆け足で回っただけでした。
段取りも悪く、行き当たりばったりの観光だったのです。
今回は、電車の時刻を前もって確認、早めに到着。
シュルーズベリー図書館でテーマ別、町案内のリーフレット(1ポンド払いました!)を購入、2日にわたって案内通りに丁寧にみて歩きました。
ご安心ください。
順路に沿って解説をだらだら載せたりしませんから!
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宿泊したテルフォードのホテルは豪華とは言えませんが、「ビジネス・クラス」の立派な施設です。
利用しませんでしたが、室内プールやサウナ、スポーツ・ジムがあります。
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今回、チェスの出場者のシングル(一人部屋)宿泊費は朝食付きで一泊70ポンド(10、348円)でした。格安です。
ダブルにして私を加えると12ポンド増しになります。やはり朝食付き税込み。
ホテルは空き部屋が出ることをおそれ、チェスの試合やビジネス・コンフェランスなどに会場を提供し、出席者に客室を格安で提供するのだそうです。
各チームのオーガナイザーが出場者の人数分客室を押さえ、割り振りします。
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☝この傾いたダイナミックなチューダー建築には前面に1998年という年号があります。
どうやら修復した年のようです。
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とてもたくさんのニセ・チューダー建築(なんちゃってチューダー)を今回確認しました。正直に建築年代が正面の目立つ場所に漆喰細工や木彫りで表示してあります。
出場者は圧倒的に男性が多いみたいですね。
同じチームのメンバーはツインルームに二人で泊まることが多いようです。
夫のチームには夫婦でプレイする強豪カップルがいますが、プレイしない妻や夫がくっついてきて試合中電車にのって観光する夫婦は私たちしかいなかったのではないでしょうか。
未成年者のプレイヤーには保護者が付き添って一緒に宿泊します。
車で往復したので、私が加わる金銭的な負担はほとんどありません。
行かなきゃソン!です。
400ぐらいあるホテルの客室はチェス関係者でほぼ貸し切り状態でした。
ホテル内で見かけるチェス関係者は頭のよさそうな容貌でかんたんに見分けがつきます。
オタク風な風采の人もかなり多いようです。(全員ではありませんが)
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☝左側のキングス・ヘッド・インという現在も営業を続けるパブは1404年の建造です。
チューダー建築どころか、中世ですね。
建物の年代は使用された木材の年輪から最新技術で特定されたそうです。
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☝この建物はイタリアレストランなのですがものすごい数の古建築が取り壊された1960年代に修復された特筆すべきチューダー物件なのだそうです。
この建物の修復を機に街並み保存の機運が高まったということです。
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☝この建物は16世紀の典型的なチューダー建築なのですが、18世紀の都市計画に沿って右側がちょん切られ、「モダンな」ジョージア建築のファサードがくっつけられて生き残った、好例だそうです。
今回は、2日ありました。
案内リーフレットを確認しながら添付の地図の通りに歩きましたので、位置関係を明確に覚えています。
1日目、土曜日は「The Tudor Town of Shrewsbury チューダー建築の宝庫、シュルーズベリー」というテーマの案内リーフレットに沿ってあるきました。
2日目のテーマは何かというと....それはまたそのうち....
何しろ、ものすごい数のチューダー建築です。
案内リーフレットに載っている見どころ建築はたったの13軒。
それ以外のたくさんの建築物について一つ一つ話が聞きたいところです。
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なんか、工事中が多くない?とおもわれたことでしょう。
私も思いました!
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いろいろな場所で工事用の足場が組まれていましたし、道路の掘り返しもそこらじゅうでやってました。
古い建物を保存するには絶え間ない修復工事が欠かせないんですね。
観光シーズンオフだからでしょうか。
道路工事は交通に支障をきたしてビジネスに影響が出ないよう週末に集中してやるようです。
それと、月曜日にゴミの回収でもあったのでしょうか、前日お店の営業中に出しておくらしい業務ゴミもいっぱい見ましたよ!写真にも写っています。
話をチェスに戻して......チェスの試合会場です。
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今回はのぞきませんでしたがホテルには恒例の記念グッズ(有名なプレイヤーの肖像入りマグカップ!やマグネット、マウスマット、カレンダーやチェスの駒モチーフの飾りや文具!!)売り場、チェス関係の書籍売り場が店開きしていました。
部屋ごとにバラバラにとる朝食の席ではそこらじゅうでみんなチェス界の噂話でもちきりでした。
といっても下世話な話ではなく、戦略とかスコアの話です。私にはちんぷんかんぷん。夫は聞き耳を立てていたようです。
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ユネスコ世界遺産指定のアイアンブリッジ渓谷 Ironbridge Gorge にある、小さな集落、アイアンブリッジ Ironbridge の町名のもとになった世界的に有名な、世界で最初に建造された鉄製の橋です!
昨日のストックポート日報を見てください。リンクを貼りました。☟
ちょっと寄ってみた世界的に有名なユネスコ世界遺産、小さな集落がイギリスと世界の歴史を変えた産業革命の発祥地!?
橋を渡ります。ワクワク(ってこともなかったのですが...)
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日曜日の朝10時ごろ、けっこうな数の観光客です。
橋の高くなった場所でみんな記念撮影をしていました。
一人で来ていた観光客はどうやら私だけ....? ちょっとさびしい....。
一人で一枚セルフィー撮影をしました。
橋の真ん中に建築年代(1779年)が刻まれた四つ葉のクローバー紋のロゼットがありました。
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渡り切って後ろ(アイアンブリッジの町側)を振り返ってみたところです。
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渓谷の集落です。
教会はじめ 町の住宅は主に急な崖に張り付いてたっているように見えます。
渡り切ったところにあるトールハウス Iron Bridge Tollhouse。
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昔の橋の通行料金徴収所です。
今は入場無料の資料館/インフォメーションセンターとして使われています。
橋を渡ったこちら側(町の反対側)には大きな駐車場、林の中の遊歩道、陶器博物館やタイル博物館があるようです。
また橋を渡って、町のある側に戻り、とりあえず川上にある渓谷博物館まで歩いてみることにしました。
なかなか趣のある川沿いの家々や町を通って徒歩10分足らずで...
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ついたのが渓谷博物館 Museum of the Gorge 。
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真夏に撮られたらしい観光写真を見ると、家族連れが澄んだ水をたたえる岸の水辺で憩う場面が紹介されていました。
前夜の大雨で水量が増し、泥色の泥臭いよどんだ水が護岸工事をして掘り下げた岩面ぎりぎりまで迫っていました。
川 の主のようなふてぶてしい水鳥がいました。
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博物の入場料は4ポンド50ペンス。入りませんでした。
産業郷土博物館のような展示らしいですね。
売店で地元産の鉄を使った鋳型で固めた安っぽいカエルの文鎮を買いました。
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驚きの1ポンド(147円)。ほかにもいろいろな形がありました。ベルとか蹄鉄、ウマ、アヒル、ネコ、ネズミなど。
カエルの好きな夫へのお土産にしました。
ビクトリア時代の鋳型を使って、すぐそばの Blists Hill Victorian Town という、有名な観光名所の鍜治場で実演製作している特産品だとか。
うーん、トカゲじゃあるまいし、あごを床におろしてダレダレの姿勢のカエル、あり得ませんよね!
博物館の周りにはスーパーと共有の大きな駐車場がありました。
観光客の観光の拠点はこの駐車場のようです。
にわか雨が降ってきたので、駐車場の片隅にあるアンティーク・ヴィレッジ(品揃えは今一つ)をひやかし、中に設けられていた私好みのインテリアセンスが心地よくダサいティールームで紅茶を飲んで一休みしました。
雨が上がり、川とアイアン・ブリッジを見下ろす高台にあがってみました。
高台を通り、川沿いに最初にタクシーを降りた橋のたもとまで戻ることにしたのです。
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ものすごく急な坂です。両側に家が建っているのが信じられないような急こう配!
セイント・リュークス教会 St Luke's Church のあるあたりが、この坂道の頂点らしかったので....
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境内に入り込んで念願の「橋を上から」景観が楽しめました。
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観光客は知らないこの絶景!(というほどでもありませんが)
私が歩いてきた急な坂道からはいくつも左側に、さらに上の道に続く枝道が伸びているのです。道沿いにはやはりかなり高いところにまで家がびっしり建っていました。
一番上まで行ってみたい気持ちを抑えて川と平行に歩き続けました。
教会を過ぎると下り坂(振り返ったところです)
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このすぐ下に降りて、川沿いのメインストリートに出ると....
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タクシーを降りた戦没者慰霊像のある橋のたもとです。
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タクシーは呼んで5分もたたないうちに来ましたが、狭い道で引き返すことができないので、また川沿いの道をそのまま渓谷博物館とアンティークビレッジのある方角に戻り、山の裏を回り込むようにテルフォードの町に戻りました。タクシー代は行きかえり 同じでした。
私が買った「這いつくばりカエル」を作っているというブリスツヒル・ビクトリアン・タウン Blists Hill Victorian Town というのはイギリス中に名前が知られている評判の高い生活史博物館なのです。
小さな町規模の屋外の敷地に修復保存されているビクトリア時代の建物と正確に再建されたニセビクトリア建築を開放して、19世紀の生活体験ができるようにしてある、かなり面白そうなアトラクションです。
19世紀の扮装をしたスタッフが当時の生活を再現してくれているのが売り物ですが、今回小姑のように写真をよーく見てみたら、衣装も小道具も髪形なども細かいところが時代の特定できないいい加減さで....それでも目的は十分果たしていると思われるのですが、....うーん、時間がたっぷりあっても17ポンド50ペンスの入場料を払ってはいりたいかな~と考えさせられるところです。
日本から来た人を案内するとか子供が一緒だとかなら、行ってみてもいいと思います。
この渓谷エリア一帯アトラクションすべてに入場できる「お得な」年間パスポートなるものが大人25ポンドで購入できるということです。
夫のチェスの試合が終わるまでにホテルに帰りつくつもりだったので、あまりゆっくりはできませんでしたが、2時間でじゅうぶん橋とその周りの景色は堪能できました。
折よく、ホテルについてほぼ数分後に夫のチェスが終了しました。(引き分けです)
もし試合が長引くようなら、ホテルのプールに行って時間をつぶすつもりでした。
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「アイアン・ブリッジ」という名前の(!)鉄製の橋です。
アイアンブリッジ Ironbridge という名前の町(!)にあります。
ショロプシャーの新興都市、テルフォード telford から車で10分ちょっとの場所にある、世界有数の観光地なのです。
バーミンガムの郊外、テルフォードで開催されたチェスの国際試合に出場した夫と一緒にホテルに滞在して一日目(2月9日=到着した日)に一人でシュールズベリー Shrewsbery 観光した顛末は長々とストックポート日報に載せました。
(この記事の一番最後に連載記事のリンクを貼りました。よかったら開けてみてくださいな)
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滞在2日目の2月10日、帰宅日でもある試合最終日、私は今度は一人でタクシーに乗って有名なアイアン・ブリッジ見物に行きました。タクシー代は片道12ポンド(1780円、チップを含む)ちょっと。
この鉄の橋、アイアン・ブリッジとアイアンブリッジという町のある緑豊かなアイアンブリッジ渓谷 Ironbridge Gorge はユネスコ世界遺産に指定されています。
アイアンブリッジ、アイアンブリッジってなんだよ、と思われた方もあると思います。
1781年に世界で初めて完成、開通した鉄の橋なのです!
このものすごく有名な文化・歴史遺産がある場所なので地名に取り入れられたわけなのです。
鉄(アイアン)でできた橋なのでアイアン・ブリッジ.....鉄でできた橋だということがものすごく重要なので建てられたその時からこの名前が付けられました。
アートスクールに留学中、「デザイン史」でこの橋のことを習いました。
写真を見てスケッチしろと言われたのでしました。
近代建築史の嚆矢となった画期的なデザインで、産業革命生誕のシンボルで....イギリスのアートスクールのみならず、日本で習った世界史でも出てきたはずです。
とにかくすっごい能書き!
行ってみたら、小さーい!第一、世界の産業革命の生誕地の(ということになっている)この「町」もきれいだけどバスも電車も走ってない寂しい集落.....
去年修復され、もともとの色、赤に塗りなおされたようですね。
長いこと観光資料や教科書で目にしていた写真のアイアン・ブリッジは真っ黒でした。
橋のふもとについたタクシーから降りて「え、これが!?」とちょっと当惑しました。
まあ、小さいながらも観光地ですから、歴史あるパブ、カフェ、レストラン、こぎれいなギフトショップなどちらほらありました。
何も買わなかったのですが、この古本屋でかなりの時間を過ごしてしまいました。
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念願のアイアンブリッジ見物、これがかの世界的に有名な.....!!
中近東風の人、ロシア人、フランス人、スペイン語らしい言葉を話す南米人風の家族、と早朝にもかかわらず国際色豊かな観光地であることを示すたくさんの観光客が写真を撮っていました。見学順路のようなものもなく、川沿いの散歩道に降りて行ったり来たり...私も同行しました。
中国人も日本人もいませんでした。
遠くから見ると繊細なデザインの鉄の構造が近くで見ると驚くほどがっしりしているのがわかります。
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前夜の大雨でセヴァン川が両側にあふれ、あまり先まではいけませんでした。
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この地域は古来から鉄の産地だったそうです。バーミンガムを中心としたイギリス中部一帯にブラック・カントリー Black Country という愛称があるのはそのためです。
18世紀にコークスを用いた近代的な製鉄技術が開発され、この地に工場が建てられ18世紀に大産業地域になり、名産の鉄を使った画期的な橋までかけられたそうなのですが、そのうち工場は閉鎖。
製鉄業は19世紀には重要度が下がったらしく町は瞬く間に寂れ歴史的な建築物なども倒壊寸前に。
20世紀になってから、橋を中心に観光地として復興。「産業革命の発祥地 the Birthplace of Industrial revolition 」という観光用キャッチフレーズが使われるようになったのだそうです。
製鉄技術は鉄道開発など産業革命の推進に大きく貢献したはずですが、イギリスの産業の主流はマンチェスター、ストックポートを中心にした綿織物業。
近代製鉄業発祥の地を「産業革命発祥の地」と呼ぶことに抵抗のある歴史関係者も多数いるそうですよ。
写真が多いので、久しぶりに観光の話題で引っ張ってみます!
続きは明日。橋を渡ります。道路に上がって川を少し下ります。町の中もちょっぴりうろついてみます。
1;また同伴、夫のチェスの試合のお付き合い、短時間で見てきたチューダー様式の街並みが見事にのこるシュルーズベリー
2;チューダー様式の街並みが見事にのこるシュルーズベリーの街並み見ごたえのあるショッピングエリアの表側
3;裏道へ入りタイムトリップした気分、時間が足りない観光地ではなさそうなシュルーズベリー観光
4;歴史に残る名門校、パブリックスクールの16世紀の校舎が市民図書館として使われる驚きのシュルーズベリー
5;客寄せ効果抜群!シュルーズベリーの駅そばの八百屋さんの店の奥で控えめに客寄せをするバターナッツスクオッシュ
6;全国規模か!?ショーウィンドゥの職人人形、組織の全容が少しずつあきらかに!?シュルーズベリーにも兄弟の存在を確認
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駅前からのびる急な坂道を登りきったところにある、堂々とした建物、シュルーズベリー市民図書館 Shrewsbery Town Library 。
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表から見ただけでは古いのか実は見かけだけでそうではないのか今一つ判断がつかないわざとらしいほどの威風堂々。
とりあえず素通りして、表通りをそのまま歩き続け、興味深い裏通りに迷い込んだら結局、いつの間にかこの建物の横手に回り込んでいました。
(ガイドブックも持たず下調べもせず、ただ古い建築物が異常に多く残る街という前評判だけきいてシュルーズベリーに行ってみたのです。)
わかりました。相当古いようです。
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普通の市民図書館のようですが。
図書館の中に入って建物についての能書きを読む。
ひゃー、第一級保存指定建築。
1552年から1882年まで、名門校パブリックスクールの中でもトップクラスの6校に含まれるシュルーズベリー・スクール Shrewsbery School の校舎だった建物だったそうです。
上の写真の「ハーフチンバー」部分は創立当時の1552年に建てられた古い建物の現存する一部。
メインの堂々とした石造りの建物のゲートをくぐると小さな中庭に古い部分と立派な「新しい」石造りの部分が密着してたっていました。
「新しい」ほうといっても建造は1594年、増改築は1630年まで続きました。
(建物に関する詳しい記述は帰宅してグーグルして調べました)
古い方の一部は1980年代の増築部分に飲み込まれています。
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二階、もと教室、現在はフィクション(小説)書架閲覧コーナー(だったかな)
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三階、もと講堂は専門書のコーナーになっていて、静かに閲覧しながらメモを取る人が何人かいました。
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ランセット窓に切り取られた外の風景がびっくりするほど美しくて、写真を撮りました。
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500年ものの黒ずんだ木の窓敷居にはびっしりと刃物で彫り付けた落書きがしてありました。
代々、在校生が記念に自分の名前を彫って残したみたいです。
1700年代、1800年代の年号とサイン、昔の落書きってなぜかきちんとレタリングがしてあってすごく達筆なんですよね。
シュルーズベリー・スクールは超有名校なので偉人有名人を多数輩出したことで知られているそうです。
地元の有名人、進化論のチャールズ・ダーウィンもその一人。
落書き署名の中には有名人のものもあるらしいのです。
ちゃんと見て写真を撮っておかなかったのがちょっと悔やまれる。
図書館利用者や私のような観光客が勝手に落書きを彫って行っちゃったら困るでしょうに....覆いも何もしてありませんでしたよ。
狭い階段は昔風な石造りのものでしたが新しく作りつけられたのだというのが一目でわかりました。
これも写真が不十分ですが、コピー機がちんまり収まるアルコーブ(くぼみ)のある階段室。
真ん中(写真の左端にちょこっとうつっている部分)はエレベーターです。
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段差を完全に撤廃、アクセシビリティ対応が完璧です。
周りをびっしりと古い建物に取り囲まれた図書館...
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「ニセ・チューダー(モック・チューダー mock・Tuder)」らしい建物の後ろに12世紀の城塞、シュルーズベリー・カースルが見えています。
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その隣、左手奥に突き出ている4本の煙突のある建物は、シュルーズベリー駅です。
図書館の向かいの人目を惹く建物群。
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葉の落ちた立木の向こうに少し見えているのが「本物チューダー」のゲートハウス。
連載2回目の記事を読んでください。
番外編も含め、昨日までのシュルーズベリー記事のリンクを貼りました。☟☟☟
1;また同伴、夫のチェスの試合のお付き合い、短時間で見てきたチューダー様式の街並みが見事にのこるシュルーズベリー
2;チューダー様式の街並みが見事にのこるシュルーズベリーの街並み見ごたえのあるショッピングエリアの表側
3;裏道へ入りタイムトリップした気分、時間が足りない観光地ではなさそうなシュルーズベリー観光
4;客寄せ効果抜群!シュルーズベリーの駅そばの八百屋さんの店の奥で控えめに客寄せをするバターナッツスクオッシュ
ちなみに、シュルーズベリーの広報ウェッブサイトによると、図書館員をはじめシュルーズベリーの市民対応職員は全員、自閉症スペクトラムのサービス利用者に対応できるように研修を受けて習熟度に応じて検定試験の修了書を持っているのだそうです。
自閉症の方も図書館をどんどんご利用ください!ということみたいです。
↓↓↓画像をクリックしてください。はい、ありがとう。
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中世の都市計画と16世紀以降の古い建物が驚くほど高密度で残る街、しかし特に名高い観光地ではありません。
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大聖堂やモニュメントのような特に有名な歴史的遺産や観光アトラクションもないようです。
駅の上の丘の12世紀の城塞は連隊博物館(軍事資料館)として公開されています。
12世紀の城塞には興味津々、たっぷり時間があれば入ってみる価値があったかもしれませんが、かなりマニアックな趣味の展示物のようで誰もが行きたがる観光スポットとはいいがたいようです。
町はずれに進化論で有名な科学者チャールス・ダーウィンの生家が保存されているそうですが、今のところ一般公開はされていないようです。
とにかく私を夢中にさせたのは街並みと町計画!
商店の立ち並ぶ表通りからのびる小道を入ると...
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....すぐ裏に小さな石畳の広場があって、背面を別の建物に囲まれた昔ながらの集合住宅があります。
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19世紀ごろまではイギリス中わんさかあった街なかの古い住宅のスタイルらしいのですが、採光とか、間取りとか(部屋が横並びで寝室を抜けなければ次の部屋に行けないとか)の点で近代的でないという理由で戦後次々と取り壊されています。
今となってはロマンチックでおしゃれ!
チューダー建築の黄色い背面がのぞく駐車場に面した古い建物群。
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古い建物が取り壊された跡地が駐車場になったのでしょうか。
建物が取り壊されていなければ周りを建物に囲まれたコートヤードとして残っていたかもしれません。
....表側はこんな風。
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この、たてものの表側ですら、広い通りを横に入った小道沿いにあるのです。
メインのショッピングエリアの建物と建物の間の本当に狭いすき間道にレストランが2軒。
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一軒はお寿司屋さんでした。
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日本にもある路地の立ち飲み居酒屋のような趣ですが中はけっこう明るくて広そうでした。
表通りの店舗スペースより家賃は安いのかもしれません。横丁に入らなければ入り口が見つからないけっこうちゃんとした店が裏側にいくつもあるのが驚きです。
ちゃんと「路地」に向いてちゃんとした窓がいくつもあります。
2階以上が張り出している建物の作りが中世のムードたっぷり!
メインのショッピングエリアの立派なホンモノ チューダー建築が路地へ抜ける「ゲートハウス」になっています。
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抜けたら....
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こんな狭いところに立派な長いハーフ・チンバーの建物が...
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古い建物と古い建物の間をぬけたら.....
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やっぱり古い建物の続く細い小道が長く続きます。
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.....誇張ではなく、きりがありません。
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月並みな表現で恐縮ですが、「タイムスリップ」した感覚です。
いくらでも横道にそれて迷ってみたい誘惑にかられる中世そのままの都市計画。
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日が少しずつのびているとはいえ、暗くなるまでに駅に帰りたい。
日が暮れかかる5時にはお店が一斉に閉まり始め、地元の買い物客が帰路につきます。
週末の夜遊び客がにぎやかに繰り出す時刻でもあり....2時間ちょっとで散策を打ち切り。
たとえ朝から見て回っても時間が足りなかったことでしょう。それほど見どころたっぷりの町でした!
坂の途中の地味な本物古建築(チューダー様式の特徴のハーフ・チンバーではありません)
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ニセモノ疑惑(とてもたくさんあったうちでもかわいらしさが目を引いたので写真を撮りました)
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調和がとれてなくていろんな建築スタイルごっちゃまぜでここまで美しい街並みが実現!
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ガタ具合からホンモノと断定。
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前回2回のシュルーズベリーの記事リンクです。☟
また同伴、夫のチェスの試合のお付き合い、短時間で見てきたチューダー様式の街並みが見事にのこるシュルーズベリー
チューダー様式の街並みが見事にのこるシュルーズベリーの街並み見ごたえのあるショッピングエリアの表側
いくらでも引っ張れそうなのですが、次回でおしまい、シュルーズベリー。
↓↓↓画像をクリックしてください。はい、ありがとう。