イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

スポーツで鍛えた身体は美しい、銅像を立ててもいいですか?どうぞどうぞ税金で

2025年02月05日 13時22分02秒 | 日本

昨日の続きです。

船橋市の屋外アート、男性裸体像

船橋市運動公園の体育館正面の全裸男性像、「青春の詩」。

船橋市役所正面の、パンツをはいた中途半端な男性像、「初代市長」像(昨日のストックポート日報参照)とは違い、本当に全裸です。。

静かな一歩を踏み出すサムライ顔の「初代市長」像より躍動感があります。スポーツ推奨の寓意像なのでしょう。

「スポーツ健康宣言都市」標語が体育館の正面に赤字で大書してあるほどの気の入れようです。立派な心掛けなのですが「宣言」するようなことではないと思われます。

ライオンズクラブによる寄贈だそうで、市の購入(税金投入)ではなさそうですね。それはともかく…

青春の希望の表現なのか力強く天に振り上げた右腕と見上げる視線が、隣の時計の方向を向いているせいで「今、2時47分」と言っているように見えて滑稽です。時計の位置を考えて設置すればよかったのに…!

像を囲む盛りを少し過ぎたきれいなサザンカの植え込みはいいとして、周りの環境が本当にがっかりです。

強烈な色彩の駐車場の遮断機、船橋市が大の得意とする目に煩い注意書き、お願い、警告看板の林立(お願い池に入ったり魚を取ってはいけません、駐車場内の事故盗難等は一切責任負いません、アイドリングストップ、自転車バイクでお越しのお客様へ、車路歩行禁止…等々)屋外古典アートの周囲がここまで視覚的にごちゃごちゃしていていいわけがありません。

この像の彫りの深い顔立ちはステキですが、チャラい長髪はスポーツマンらしくありません。像が建造された1970年代の流行りのスタイルだったのでしょう。

それよりもやはり気になるのは古代ギリシャのオリンピア競技者のように全裸にしたのはいいものの、股間の表現が少し雑、なことです。

やっぱり、精密に詳細に表現することがはばかられるのでしょうか。

「初代市長」のパンツ着用よりはいいでしょう。

 

この広大な市営運動公園にはもう1体、古典的な男性立像が設置されています。

陸上競技場のわき、ちょうど観客席のトラックを挟んだ反対側の…

「新風」。

これは、いいですね。

レトロなランニングショーツをはいたスポーツ青年像でしょう。

履いてないことにしたそうな市役所前の「初代市長像」とは違い腰回りや踏み出した脚にまとわりつく布の表現もしっかりしています。

新風をはらむスポーツタオルを手に、走り終わった後の達成感を表現したのではないかと解釈しました。目の前の陸上競技場のトラックを見下ろす趣向です。

スポーツタオルではなく、「歓び」の竪琴のような古典的表現の演出に欠かせない小道具の布なのでしょうけど

陸上競技場と像のある植え込みエリアの間は1.1㎞のジョギング・コースになっていて、多くの人がすぐ横を走って通っていきました。

茂みの奥の少し高い場所にあるこの力強く、立派な像に気が付く人はあまりいなそうなのが少し残念です。

ここでもまた、古典屋外アートのもったいない扱いです。

…これは、税金を投じた購入ですよね。予算が余っていたバブル経済の絶頂以前の、1971年作でした。

 

もうひとつ。

市役所前のパンツ裸像に「初代市長」と命名した友人が撮った写真です。

西葛西駅(東京都江戸川区)の外にあるという女性立像「躍」。裸婦像ではありません。レオタードを着て、決めポーズをとる体操選手の像ですね。

日本の各地で人気絶頂の女性の裸像は、どうやら市民の鑑賞に堪える崇高な主題として認識されているはずなのに、なぜこの女性像はレオタードを着ているのか…?

均整の取れた身体の線を美しく表現したこの像が駅前に設置される必然性は?

これもスポーツ女性像ですよね?これこそ、体育館前にでも設置するべき像なのでは?

とにかく、税金を投入した区の購入品ですよね?

お金が余っていたバブルの頃に設置されたにせよ、満足に食事がとれない子供が大勢いるという今の日本で、アート狂いの独裁者がガンガン設置したようなアート作品が林立しているのに関して誰も何も思わないのでしょうか。

英国ではここ30年以上の間、消費税はずっと20%、所得税も高いのですが税金で公共の場所に設置する裸像アートの購入をすすめる市町村は知る限りありません。

…食品には消費税がかからないので、肉や野菜などの食材は日本よりずうっと安いということも付け加えておきます。

 

 

 

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知らなかった、男性裸像もあり!日本でおなじみの公共アート

2025年02月04日 08時00分00秒 | 日本

久しぶりの投稿は日本の町の公共(屋外)アートの話題、ふたたび。前回の記事のリンクです↓

定番は子供と裸婦?地方都市の公共アートの必然性

「裸婦像はこの地域に限らず日本中の屋外に多数あるようなのに、古代ギリシャ彫刻のような男性裸体像がなさそう…」などとよく知りもしないで書いたものですが…

同じ千葉県船橋市内の駅周辺の、なんと市役所正面に堂々と立つ男性裸像がありました。

 

同行の友人の発言、「初代市長だったりして」が個人的にウケたので以後、この像を「初代市長と呼ぶことにします。

市役所正面の植え込みに立つ男性ヌード、やっぱり「必然性」が気になります。よくある裸婦像ではなく男性裸像。

しかも気になるのは…パンツをはいていること。

友人いわく「日本では公共の場所に全裸の男性像はさすがにマズいでしょう?美術館の展示ならともかく」とのことなのですが。どうやら、必ずしもそういうわけではなかったようです(後述)

「初代市長」像、ストックポートにいる英国人の夫にウケました。私は撮った写真をたびたび夫に送ります。

日本国外の人に突っ込まれるポイントは、パンツをはいた裸像の陳腐さと、やはりその場所に設置する必然性ですね。

前回に続いて繰り返しますが、英国では公共の場所に(税金を投じた)古典アート裸像を見ることはまれなものですから。

それこそ、礼装の市長や郷土の偉人がそれなりのポーズで表現される肖像がこういった場所にふさわしいと思う人が多いようです。

私は、まるではいていないことになっているかのような、体の部位の形をしっかりとなぞるぴっちりとフィットしたパンツの不自然さのほうがもっと気になります。

「前進」という題にふさわしく軽く足を踏み出した静かなポーズと、バランスの取れた日本人男性の体形、端正なサムライ顔、どれも気に入っているのですが…パンツが。

実は、同じ船橋市内の、しかも私の実家から徒歩25分ほどの場所にあると聞きました。

男性の全裸像が!

…あった!

船橋市運動公園体育館の正面…というか、ああ残念。雑然とした駐車場の真ん中にあります。

あああ、体育館の正面に「スポーツ健康宣言都市」なんて恥ずかしいことを大書しちゃってるし。

 

以下、次号に続きます。

 

前回記事の、ロータリー中央のバスターミナルから離れて鑑賞するしかない古典裸婦像「歓び」の背面です。

日本人体形の裸婦像、どっしりした安定感が美しいですね。自転車にさえぎられることなく背面全身像を見たのは週末のこの日が初めてです。

 

 

 

 

 

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