2020年12月24日 イブ礼拝宣教
「見えないものに目を注ぐ」 コリントの信徒への手紙二4章18節
昨日(12月23日)の朝日新聞の夕刊に、アメリカでは有名な話である「サンタクロースはいるのですか?」という幼い少女の新聞投稿に対して、「“Yes,Virginia,There is a Santa Claus (そうです、ヴァージニア、サンタクロースはいるのです)”」という返事を社説で書いた話が紹介されていた。そこで思い出した。10年前に週報の「牧師室だより」にそのことを紹介した文章を。以下、再録する。
おじさん、わたしは8才です。お友だちの中に、サンタ・クロースなんかいないっていう子がいるのです。パパはこう言いました。「『ザ・サン』にそう書いてあればそうだろう」。どうか本当のことを教えてください。サンタさんはいるのですか。 ヴァージニア・オーハンローン
これは、1897年9月にニューヨークの新聞『ザ・サン』にあてられた8歳の少女の手紙である。返事は新聞の社説に掲載された。執筆したのは論説委員のフランシス・チャーチである。チャーチは「この世には、愛や思いやりといった、目には見えないけれども確かに存在するものがある。それと同じように、サンタクロースだって確かに存在する」という内容の社説を書いて答えた。“Yes,Virginia,There is a Santa Claus (そうです、ヴァージニア、サンタクロースはいるのです)”という一節のあるこの社説は大きな反響を呼び、以後、『ザ・サン』は毎年クリスマスが近づくとこの社説を掲載したほか、この文章は様々なところで取り上げられ、クリスマスについて書かれた名文の一つとなった。日本でも翻訳され、偕成社から1977年に出版されている。書き出しの一部を紹介しよう。
ヴァージニア、あなたの友だちはまちがっています。その子たちは疑い深い時代の疑いに影響されているのです。その子たちは見えるものしか信じないのです。その小さな心で分からないことは存在しないと思うのです。ヴァージニア、大人の心も、子どもの心もちっぽけなものです。この大きな宇宙の中にあって、人間はほんの虫けらか、アリンコのようなものです。まわりの果てしない世界に比べれば、その知恵においても、また真理や知識の全体をつかみとる知性においてもそうなのです。
以上ですが、その時、私が思い起したのは次の聖句であった。「わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです」(第二コリント4: 18)。本当に大事なものは見えない。「愛」「心」「命」など、皆さん見えますか?見えないからって、「命」なんかないと言えますか?生きているのに。見えないものにこそ目を注ぎたいものです。