べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

鉄筋コンクリート造への影響 ~新潟県中越地震のまとめ

2024-01-26 15:45:16 | 新潟県中越地震
本震による下からの突き上げが
鉄筋コンクリート造の建物にどういう影響を及ぼすのか?


新潟県中越地震では、山古志村や川口町で起きた直下型の本震の際に下から突き上げられる現象が起きました。
能登半島地震でもそうでしたが、地震の直後に海岸線が後退し陸地が隆起したのを見ると、大地震を繰り返して山が形成され、日本列島を形作ってきたのだと実感します。
「横揺れ」も激しいものでしたが、「縦方向の突き上げ」も大きなエネルギーを持っていると思われます。

エネルギーは質量に比例するので、重量のあるものほど突き上げのエネルギーも大きくなります。
木造もコンクリート造も例外はありません。


    鉄筋コンクリート造の構造




長岡市街の鉄筋コンクリート建築物は、建物の重量を支える為に、安定した硬い地盤まで杭を打ち込んでいます。
昔は、鋼管杭を打ち重ねているだけで、杭と杭同士は固定されず、上からの重量を押さえるだけの構造となっています。

長岡市街地の地盤は4~10mで、比較的浅い場所まで杭を打てばよいことになります。
3mの鋼管杭ならば2~4本で到達できます。

ただし、硬い地盤は地震の振動を直接伝える為、コンクリートの弱い部分に被害が集中することとなります。




1.本震による突き上げ効果(予想)

一回目の突き上げにより、重い物ほど上へ向かうエネルギーがかかります。
コンクリートの建物自体が空中に飛び上がる可能性が出てきます。(数センチから数十センチか?)

鋼管杭の場合、土中の杭同士は固定されていないので、コンクリート部分と鋼管杭の間に隙間ができます。




2.余震による横揺れ

度重なる余震により、まわりの土や砂が液状化を起こし、基礎や杭の隙間に入り込んでいきます。
また、建物の周囲の土間などの隙間から液状化した砂が噴き出してきます。

最終的には建物の周りの土間の下に空洞が出来て、陥没していきます。
ここにガスや水道の配管があった場合、破損してライフラインが止まってしまいます。




〇建物周辺の陥没
一般にコンクリートの基礎はしっかりしていると言われています。
建物周辺の地盤が液状化を起こし、地盤が下がったと言われていますが、砂地でない場所では液状化は起こりにくいと考えられます。
基礎自体が浮き上がり、空洞化した部分に土砂が入り込んで、周辺の土間が陥没したと見ています。




 

 

    ベタ基礎の場合

小千谷市内のベタ基礎コンクリート建築物で、その重量を支えきれずに不等沈下を起こし、斜めに傾いているものが見られました。
田んぼを埋め立てた場所なので、砂質土の土壌が液状化を起こして傾いたと考えています。




外観

震源地に比較的近い小千谷市の集合住宅です。
外見は何もないように見えます。




〇基礎の周辺
建物の近くに来ると、基礎の周りが極端に沈下していることがわかります。
この建物は一方向に倒れていて、住民も生活に支障があるとのことでした。




ベタ基礎は重量のある建物で背が高くなると重心が上になる為、傾きだすと支えきれなくなります。2階建てくらいだったらよかったかもしれません。

高床木造住宅の場合、上部の構造が軽い為、背が高くても重心が下になります。




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10月23日夕方6時数分前、新潟県小千谷市を震源とする中越地震が発生しました。長岡市では震度6弱の地震が15秒間続き、相次ぐ大きな余震により被害が拡大しました。...

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瓦への影響 ~新潟県中越地震のまとめ

2024-01-26 14:45:19 | 新潟県中越地震
新潟県中越地震では、ほとんどの瓦屋根が影響を受けていました。その傾向をまとめてみます。


   瓦屋根の構造



瓦屋根は平瓦(ひらがわら)が瓦桟(かわらさん:木製)に針金で固定され、降った雨が屋根にもれていかないように、 下から上へ重ねられていきます。
平瓦の波のへこんだ部分を雨水が流れるような構造になっています。
瓦と瓦は単に重ねてあるだけで、固定は瓦桟に針金で固定しているだけです。

棟瓦(むねがわら)は、瓦を何重にも交互に重ねて、雨水の浸入防止に備えています。
雨漏りのほとんどは、この棟瓦の雨仕舞の不備で起ります。
上部は針金を交差させて固定していますが、針金の取り付け部は、モルタルで押さえつけてある場合が多いようです。



瓦がくずれるメカニズム

中越地区のあちこちで、瓦屋根への影響が出ています。
その状況を調べていくと、共通点のあることに気が付きます。




1.突き上げ

一回目の突き上げにより、重い物ほど上へと飛ばされます。
平瓦は上部の部分を瓦桟(木製)に針金で固定しているため、下の大部分が空中に飛び上がります。

棟瓦は、瓦桟に針金で結んであれば、固定されますが、モルタルのみで固定されているセメント瓦は セメント部分で縁が切れ、全体が上部に飛ばされます。



 

2.余震による横揺れ

度重なる余震により、不安定な部分が崩れていきます。
平瓦同士がこすれ合って、破損します。

棟瓦もモルタル部分で縁が切れ、横ズレしていきます。




長岡地域では山に沿って直角に揺れた為、山に対して平行の屋根は棟瓦がずれ、
山と直角な屋根は鬼瓦が落ちていたケースが多かったです。

棟瓦にすかしを入れて多重に串瓦を上げて葺いてあるものは、見た目は良かったのですが、崩れやすくなっていました。
 

一般に瓦屋根は地震に弱いという傾向がありますが、よくみてみると、葺き替え時のセメント瓦が影響を受けていました。
葺き替えたばかりの焼き瓦は、棟瓦が桟にしっかりと固定していた為、ほとんど影響を受けていませんでした。

しっかりとした施工をしていれば、被害は最小限に食い止められます。



〇風の強い地域での「土葺き」は屋根を重くして地震時には脆弱になる。
阪神淡路大震災の時は、屋根瓦の下に土を葺き、全体の重さで台風に耐えるような施工をしていたようです。
また、風の強い海岸沿いでは強風に耐えるように「土葺き」を採用していたようです。軽い鉄板を施工した場合は吹き飛ばされたり、塩害を起こすため、材料としては瓦を選択する必要があります。
耐風性を重視した瓦屋根で、更に土葺きをした場合は屋根の重量が増すため、地震時には不利に働きます。
屋根を支える下階の耐震性を高めておく必要があります。


耐震瓦
新潟県産の安田瓦の施工組合は、中越地震の教訓を活かして「耐震瓦施工」に切り替えています。
瓦を針金で固定するのではなく、瓦桟に瓦を直に釘で打ったり、棟串瓦の施工前に鉄の心棒を設置してから棟瓦を積んでいく方法が採用されています。

中越地震以降に施工した物件は、その後「中越沖地震」「東日本大震災」「能登半島地震」を受けていますが目立った被害はありませんでした。

瓦は耐久性が高い
地震に弱い印象のある瓦屋根の家ですが、能登半島地震の映像を見えていると屋根自体は損傷していない家が多かったように思えます。
2階建ての瓦屋根の家屋の1階が崩壊した家が多くみられたのは、「新潟県中越沖地震」の店舗型の建物が崩壊したケースに似ています。

1階の耐震性能を高める事で、地震に強い建物を実現できるはずです。
映像には映らなかった被害の少なかった建物を調査する必要もあると思います。

焼き瓦の屋根は一度葺いてしまえば、耐久性はほぼ永久的です。
破損した場合は、その部分を交換するだけで済むので経済的でもあります。
何と言っても日本の景観にマッチして美しい街並みを形成できるのが一番の魅力だと思います。



耐震瓦施工をしている中越地域の復興型建物




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盛土の崩壊 ~新潟県中越地震のまとめ

2024-01-26 14:00:19 | 新潟県中越地震
山沿いの道路や住宅で地割れが発生し、盛土部分の崩壊といった現象が多く見受けられました。




1.斜面の形成

 地面は普通、硬い地山部分に粘土質のやわらかい層が堆積し、 その上に植物により形成された表土が覆っています。
 斜面のままだと利用するのが困難なため、平らな部分を作ってから基礎や舗装をする必要があります。




2.斜面の開発(切土、盛土)

 山の斜面を切り開く場合、硬い地山を掘削するのは困難なので、 なるべく柔らかい粘土部分を掘削(切土)し、 出た土を下の斜面側へ盛り上げる(盛土)作業をして、 平らな面をつくります。
 この平らな面を利用して、道路や宅地、農地を作ります。




3.本震による突き上げ

 10月23日(土)午後5時58分の本震は川口町を震源とした造山運動による突き上げで、 小千谷方面(北側)で23センチ上がり、小出方面(南側)で9センチ下がりました(国土地理院発表)。
 この突き上げの効果により、硬い部分と柔らかい部分の縁が切れて、不安定な状態となったと考えています。

 盛土部分と地山との間の縁が切れて、滑りやすい状態となります。





4.余震(横揺れ)

 本震も含め、震度5を越す余震が何度も襲い、その横揺れで不安定な部分は崩壊し、 表面には地割れが発生します。
 盛土部分全体が斜面を滑って崩落に至ったところもあります。






〇地崩れの復旧

大規模な地崩れを起こした場所は、通常の造成レベルの小規模な地盤補強工事では、再び大地震が襲った場合に安全かどうかは、不安な要素があります。
崖地と同様の「アンカー工事」を行った例もあります。擁壁と土中にアンカーを横に打ち込むため、コストがかかるのが難点です。

場合によっては、被災した土地の放棄も視野に入れる必要があると思います。

高台で見晴らしの良い場所は、地山を削って盛り土をした外周の場所である可能性が高いため、土地を購入する際に昔はどんな場所だったのかを把握しておく必要があると思われます。




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マンホールが飛び出る ~新潟県中越地震のまとめ

2024-01-26 10:37:42 | 新潟県中越地震
新潟県中越地震では、道路のマンホールが飛び出る現象が多く見られました。



マンホールの構造
マンホールは下水管の中間地点にある点検口で、コンクリート製の円柱が、何重にも積み上げられ、 最後に鋳鉄製の蓋が載せてあります。
一番下部に排水の流れる水路があり、ここに横から塩ビ製の管を差し込んでいます。

配水管とマンホールの周りは砂で埋められ、道路の表面付近で、砂利が敷かれ、アスファルトで舗装してあります。




1.突き上げ(予想)

新潟県中越地震では、本震の際に上方向への強い突き上げがありました。
突き上げにより、重い物ほど上へと飛ばされる傾向にあるので、マンホールの場合は、コンクリート製の重い円柱が、上に突き上げられたと考えられます。
突き上げられた部分と、下部の部分が分離され、ここが空洞となり、周囲の土砂が入りやすくなります。





2.本震と余震による横揺れ

新潟県中越地震では、山古志村と川口町を震源とする本震が3回あり、更に余震が一晩中続きました。
度重なる横揺れにより、まわりの砂が液状化を起こしたと考えられます。
配管の隙間やコンクリートの中空部分に砂が流れ込んで行きます。

流れ込んだ分だけ、上の道路が下がります。
マンホールの周辺の道路が下がっているのはこのためと考えています。







〇排水設備がマヒする

マンホールが破損すると、各家庭や公共施設で排出される汚水が末端の処理施設へスムーズに流すことが出来ず、排水設備の使用が困難となります。
インフラ整備で最後に復旧されるのが下水道配管ですから、それまでは仮設の設備を併用する必要も出てきます。

液状化を起こして下がっている道路面は、掘削して配管を直さないと、道路内で逆勾配になって排水に支障を及ぼします。
特に、山沿いの道路や田んぼ道の下水部分が沈下しているのを見受けました。

市街地から離れた部落の場合は、配管距離的に長くなってしまい、市街地よりも復旧費用が割高になるので、農村部や山間部の下水施設は考え直す余地があると思います。
各村落で独立した処理施設を設けるか、各家庭に合併処理槽を設置した方が良いのかも知れません。

ただし、合併処理層の埋め立てには周囲に砂を使うので、地震時の液状化の問題が残ります。
施工をしっかりとするか、合併処理槽の再敷設を考慮しておくかです。






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新潟県中越地震

2010-10-22 11:45:09 | 新潟県中越地震
平成16年10月23日夕方6時数分前、新潟県小千谷市を震源とする中越地震が発生しました。
長岡市では震度6弱の地震が15秒間続き、相次ぐ大きな余震により被害が拡大しました。


中越地震の傾向
新潟県中越地震の被害傾向です。


マンホールが飛び出る
道路のマンホールが突出ている現象です。


盛土の崩壊
山沿いの道路、宅地等の崩壊のメカニズム。


瓦の被害
瓦屋根の被害のまとめです。


鉄筋コンクリート造への影響
鉄筋コンクリート造への影響のまとめです。


鉄骨造の被害
鉄骨造の被害のまとめです。


床が盛り上がる~木造
木造では不等沈下が起きます。


地震直後の様子
長岡市の地震直後の状況です。


長岡市乙吉町
山沿いの住宅地の被害。


長岡市中沢町
比較的山に近い住宅地の被害。


長岡市悠久町 仮設住宅
山沿いの被害、仮設住宅。


小千谷市桜町
小千谷市の被害。


脱線した上越新幹線
上越新幹線が脱線した被害。


地震マップ
地震の被害状況をまとめてみました。


長岡の断面と被害
長岡近辺の被害状況を断面にまとめてみました。


応援メッセージ
日本の各地から寄せられた応援メッセージです。




応急危険度判定
建物が「危険」と判定されたら






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中越地震の傾向

2010-10-22 11:32:02 | 新潟県中越地震
新潟県中越地震は、川口町を震源地とする地震で、マグニチュード6.8の本震と、マグニチュード6クラスの度重なる余震により、中越地区各地に多大な被害をもたらしました。

その傾向をまとめると、

    ○10月23日夕方5時56分に本震による突き上げ

    ○2回目以降の度重なる余震による横揺れ

による影響が全ての構造物に被害をもたらしています。


1.突き上げ

中越地区のあちこちで、突き上げの影響が出ています。



川口町
 ・大根が地面からスポンと抜けた。
 ・墓石が5m以上飛んだ。
 ・岩が山を越えて飛んできた。






長岡の山沿い
 ・寺の御本尊が飛んできた。
 ・マンホールが上がっている。




    山古志村
・作業場で「立って」作業していたら、地震の次の瞬間、気絶して寝ていた。あわてて外にあった車で逃げようとしたが、タイヤがパンクしていて、歩いていこうとしたら、前方の道路が谷底に落ちていた。

突き上げの瞬間の状態で、どれだけのショックがあったかを物語っています。

2.造山運動

震源地の川口町を境に、北側(小千谷市側)は地盤が上がり、南側(堀ノ内町側)は地盤が下がっていることが、国土地理院の観測により判明しました。
日本の本土を形成している太平洋側のプレートが日本海プレートの下に潜り込み、長岡の東山を形成している山古志、川口町北部が乗りあがって、山を形成していく構造となっています。





長岡市宮本町、小千谷市、三島郡与板町に木喰三十三観音が祭られていますが、その由来は、この一帯が200年~300年周期で地震があり、そのたびに山ができたり、谷ができたりし、その被害で多数の死者が出たために建立されたとのことです。

東山一帯は、海の生物の化石が採取されることから、昔は海だったことがわかっています。
その海が、周期的に地震が繰り返され、地盤がせり上がり、300m級の山になるまで何十万年もかかったことになります。

3.雪国の伝統構法







十日町の河岸段丘の形成も地震による隆起によるもので、中越、魚沼地区に頻繁に地震が繰り返されていたようです。
そのため、この地域につくられる住宅は、雪と地震に強い構造であることが要求され、伝統技術の中にそのノウハウが埋め込まれてきました。

雪国のせいがい造りは、小屋組みが複雑で、梁とそれに直交する中引がからみあうようなつくりになっています。
そのような、小屋組みには雪国の根曲がり材が最適でした。


また、通し柱を多用し、差鴨居(さしがもい)で中間をしっかり固定されることで、突き上げによるショックに耐える構造となっています。

差鴨居は重量のある材料で、小屋組みは比較的細くて軽い丸太を何本もからめる構造で、重心が建物の下側にくるようなっています。
重心が下にあると、横揺れに対してバランスのよい構造となります。

今回の地震でも、1回目の突き上げ、2回目以降の横揺れに対して、伝統構法で建てられた家は十分耐えていました。


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新潟県中越沖地震 避難状況

2007-07-17 19:52:00 | 新潟県中越地震
柏崎市内のお客さんの家に到着したとき、家がちゃんと建っていてホッとしました。
10年くらい前の建物ですが、なんともなく、被害は壁の表具が割れている箇所が何箇所かある程度でした。
現在の伝統構法にこだわる前は、「3×9パネル」の自社製のパネルを採用していて、このパネルに打ち付けた石膏ボードのジョイント部分が表具の割れ目になっているようです。
現在は、東日本ハウスが真似をしていますが、私達は既に構造そのものを強化することまで進化しています。
が、当時の技術でも震度6強に十分耐えうるものだったのです。
それも、そのはず・・当時は阪神淡路大震災の後で、面材が地震に効くという経験を活かして開発したパネルだったのですから・・
おそらく、震度7クラスでも大丈夫でしょう。

お客さんは、度重なる余震で一晩中眠れなかったようでした。
まだライフラインが生きておらず、電気、ガス、水道全てが使えない状態です。
水が来ないのが一番大きな問題です。
飲み水としてはもちろん、炊事、調理、洗い物、入浴、トイレが使えないのですから・・

特に、入浴、トイレができないのが一番の問題です。
給水の復旧が待たれます。

電気が無いので、照明も使えず、夜は真っ暗な状態で不安な夜を過ごします。
しかも、度重なる余震が襲う中での状態で、睡眠不足になってしまいます。
車の中で寝るのはとりあえず安心ですが、エコノミークラス症候群の事例もあるので長時間、狭い空間で過ごすのも限度があります。
座席がベット代わりに水平の形状になるタイプならばよいのですが・・

電話も不通の状態が続いています。
外部からも内部からも音信不通となっています。
携帯のメールが唯一の更新手段となっていました。
当然、インターネットの接続も困難です。
iモードでの閲覧くらいでしょう・・

車載のナビゲーションについているTVやラジオで情報を得ているようでした。
柏崎がどんな状況にあるのかは、把握できていないようで、むしろ周りの地域のほうが報道により情報が入っています。
当事者が確実な情報が得にくい状態となっています。

食料はある程度用意していたようですが、学校等の避難施設へ行かないと配給がもらえないので、時々行ってみるのも良いかもしれません。
避難施設へは全員が収容できるわけではないし、住宅に比較的被害が無い場合は、自宅にて避難している家庭が圧倒的に多いのです。
食料や物資の調達は、わずかに開いているコンビニやスーパーくらいです。
飲料水が底をついている状態でした。
わずかな配給が頼みの綱です。
水道が復旧すれば無用の長物となりますが、復旧前は必需品ナンバーワンです。
水が無ければ生きられない・・
食料も1週間もすると、配給が不要となります。

いまから、水や食料を用意して送ろうとしても遅いこともあります。
明日か明後日に水を持って行っても不要となることもあります。

今、本当に何が必要なのかを把握する必要があります。
(私は、お茶を持って行きましたが・・)

ただし、避難施設のある、ある程度まとまった市町村の話で、まわりから隔離されている部落では必要不可欠なもので、定期的に運搬する必要もあるでしょう。
全体であまっているから、不要だということではなく、まだ必要な場所は確実にあり、そこへ優先的に送る手段を確保しなければなりません。
何が必要かは復旧の段階によって異なります。

ガソリンスタンドも開いていますが、自家発電していない場合は、給油できないスタンドも見受けられます。

ライフラインの復旧優先順位は、水、電気、ガスという順番でしょうか・・
中越地震では、2~3日で復旧しましたが柏崎では給水が少し遅れているようです。
災害復旧センターも、個人からの支援物資は断りはじめたそうです。
古着等は好みの問題もあり、あまってしまって処分に困ってしまった経験があります。(7・13水害当時)

前回の経験を活かした迅速な対応をして頂きたいところです。
第3者的な視点で見るとわかることもあります。
当事者では、まったく分らないこともある。
当事者だと、意外と、「なんとかなる」と思って平気だったのですが・・
いざ、支援する立場になると、考えさせられます。

「前回はこうだった」
と、アドバイスするくらいしかできませんでしたが・・
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新潟県中越沖地震

2007-07-17 10:39:13 | 新潟県中越地震


昨日の午前10:13にM6.6の地震が新潟県中越地方沖に発生し、柏崎を中心に多大な被害をもたらしています。

今もなお、余震が続き、柏崎方面は通信が出来ない状態です。

長岡市は震度6弱、5強クラスの揺れで済みましたが、市内のスーパーマーケットの食品売り場は買い物客が殺到し、売り切れの状態です。(写真)

本日は通常に戻っているようですが、柏崎方面は未だ、ライフラインが通じていない様子で、この方面のお客さんも心配です。
午後からでも食料等を積んで、まわってみようかと思っていますが、道路がどうなっているかです。
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長岡市住宅建設等制度融資 被災住宅復興資金の延長

2006-12-09 15:02:11 | 新潟県中越地震


長岡市の融資支援制度が期間延長になりました。
35年固定金利で1.6%。建物で1000万円、土地で700万円。
家がほしいという若い人たちには、またとないチャンスです。

来年の3月までにどうしても引渡しをしなければならなかったので、震災により飽和状態の市内の工務店は手出しができなかったため、大手ハウスメーカーに流れた消費者も多かったはず・・また期限が切られてあおられていたので、営業マンの言うなりになって高い買い物をしたお客さんも多かったようです。


建設業でも、大工の応援が難しかったり、板金や足場屋がなかなか入らなかったり
、単価が上がったりといいことはありません。

こんな非常事態は今年限りと思って我慢していましたが、銀行の融資部門が間違って申し込みを受けてしまったことで、やむなく来年まで延長したとのことです。

不動産や大手メーカーの要望が強かったことも延長のひとつの要因でしょう。
売れなかった土地や建物が飛ぶように売れ、大手メーカーも住宅展示場に押し寄せる状態を保持したいという意向でしょう。

これにより、来年の3月までに申し込み者がかけこむのも必至です。
毎年、冬の時期は消費者の動きが鈍るのですが、今年は違うようです。

長岡の喜多町に進出してきた「タマホーム」も、この期を逃す手はないでしょう。
取って取って取りまくれるはず。
ついこのあいだまで、学生だったり、車を売っていたりしていた、兄ちゃん姉ちゃんたちの花舞台です。

坪単価25万円という破格の家は、他のローコスト住宅にも競争激化の火種を入れそうです。
アサヒアレックスやイシカワ、ユニバーサルホーム、アイフルホーム等・・
土地を700万円前後に設定して、建物1000万円より少し出るくらい、概ね1200万円といったところでしょう。
坪20万円台を歌っても最終的にはオプションで坪45万円くらいになるとか・・

こうしたところに出入りする大工は年間契約で1000万円、8.5棟を建てることが確実ということで、今まで孫受けだった一人親方や親子の大工が引き受けるケースが多いようです。

1棟あたり110万円。平均30坪くらいの家として坪4万円。1日手間が1.8万円として坪2人強という大出血サービスをしている大工がいるわけです。
でも実際には、年間平均であるわけもなく、1時期に集中し、高い応援を頼めば持ち出しもあります。
また、はじめの3棟分はサービスで、次の3棟が終わらないと入金も無いとのこと・・
これで、まともな施工をしているというのも信じがたいのですが・・

職人いじめをしながら利益は4割以上というのが現状で、その4割は営業や展示場の地代と消えてしまいます。
展示場の地代は1ヶ月に80万円とのことです。
テレビCMや宣伝広告も莫大な経費がかかります。

こうした経費は、家の購入費の半分近くからまかなっているのです。
坪45万円のうち25万円くらいが実際の家の建築費にあてられます。

私たち地元工務店は15%くらいの利益率です(実際は、もっと少ない)
坪45万円ならば40万円くらいの家となります。

この15万円の差は大きいと思います。
今やイメージを買う時代なので、それには逆らえないのでしょうが・・
地震を乗り越えてきた我々の技術が評価されるのは何時になることやら・・
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山沿いの蔵

2006-11-16 09:55:17 | 新潟県中越地震


昨日は択捉島沖でM8クラスの大地震が起こり、北海道で津波が発生したそうですが、国内の被害はほとんどなかったようでほっとしました。

最近は竜巻や突風、地震と北海道に自然災害が集中しています。
自然災害は何時やってくるかわからないので、注意もしようがないのですが、災害時の備えは十分したほうがよいでしょう。

写真は、中越地震の時の山沿いの蔵です。
直下型の地震と大きな余震により、土壁が全て落ちて構造がむき出しとなって傾いています。
土壁を落としながら揺れのエネルギーを吸収し、かろうじて構造が保たれていたようです。
それでも自立していたので、地震にも強い構造だと言えるでしょう。

これを元に戻すには、土壁を全て取り除き、構造を引っ張って直し、落ちた土壁を練り直して塗ればいいため、材料のリサイクルが効きます。
残材の処理費は最小限で済むので、昔のような自分達で修復するにはローコストな建物ですが、大工や左官を入れると手間がかかってしまいます。

殆どが、土壁を取って合板を打ち付けるか、取り壊しているようです。
古民家再生は、よほどの所でないとしていないのが現状です。

それでも、伝統技術を残すためと、話題性を持たせるのに貴重な財産なのですが・・
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宅地購入ピーク?

2006-05-02 12:36:28 | 新潟県中越地震


本日も、雨・・なかなか晴れない今日この頃・・
連休は晴れるそうですが、休日だけ晴れて、仕事がなかなか進まないのがつらいところです。

さて、最近、土地の動きが活発で、関原の732万円の土地もほとんど買い手が決まりそうで、めでたしめでたしというところです。
全て、他の建築屋さんやハウスメーカーが建てますが、今年度中に引き渡さないと融資ができない「長岡市住宅建設制度融資 被災住宅復興資金」を使っているようです。

新築で1,000万円、土地購入で700万円の限度額(同時利用可能)で年利がなんと1.6%!返還年数が35年(土地は25年)!

金利上昇がうわさされる中でのスーパー金利なのですが、
どうしても、来年3月に引渡しが終わらなければならないとあって、「かけこみ的」な状況となっております。

わが社の場合は、今年度の場合、冬期間の限定1件しか対応できません。
(プレカット対応となりますが、そこらのメーカーが建てるよりも性能は格段にいいです。しかも県産材仕様で最大100万円の補助プラス安田瓦で最大85万円の補助が使えます!)
五反田に788万円の土地を用意しております。
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