鉄筋コンクリート造の建物にどういう影響を及ぼすのか?
新潟県中越地震では、山古志村や川口町で起きた直下型の本震の際に下から突き上げられる現象が起きました。
能登半島地震でもそうでしたが、地震の直後に海岸線が後退し陸地が隆起したのを見ると、大地震を繰り返して山が形成され、日本列島を形作ってきたのだと実感します。
「横揺れ」も激しいものでしたが、「縦方向の突き上げ」も大きなエネルギーを持っていると思われます。
エネルギーは質量に比例するので、重量のあるものほど突き上げのエネルギーも大きくなります。
木造もコンクリート造も例外はありません。
鉄筋コンクリート造の構造
長岡市街の鉄筋コンクリート建築物は、建物の重量を支える為に、安定した硬い地盤まで杭を打ち込んでいます。
昔は、鋼管杭を打ち重ねているだけで、杭と杭同士は固定されず、上からの重量を押さえるだけの構造となっています。
長岡市街地の地盤は4~10mで、比較的浅い場所まで杭を打てばよいことになります。
3mの鋼管杭ならば2~4本で到達できます。
ただし、硬い地盤は地震の振動を直接伝える為、コンクリートの弱い部分に被害が集中することとなります。
1.本震による突き上げ効果(予想)
一回目の突き上げにより、重い物ほど上へ向かうエネルギーがかかります。
コンクリートの建物自体が空中に飛び上がる可能性が出てきます。(数センチから数十センチか?)
鋼管杭の場合、土中の杭同士は固定されていないので、コンクリート部分と鋼管杭の間に隙間ができます。
2.余震による横揺れ
度重なる余震により、まわりの土や砂が液状化を起こし、基礎や杭の隙間に入り込んでいきます。
また、建物の周囲の土間などの隙間から液状化した砂が噴き出してきます。
最終的には建物の周りの土間の下に空洞が出来て、陥没していきます。
ここにガスや水道の配管があった場合、破損してライフラインが止まってしまいます。
〇建物周辺の陥没
一般にコンクリートの基礎はしっかりしていると言われています。
建物周辺の地盤が液状化を起こし、地盤が下がったと言われていますが、砂地でない場所では液状化は起こりにくいと考えられます。
基礎自体が浮き上がり、空洞化した部分に土砂が入り込んで、周辺の土間が陥没したと見ています。
ベタ基礎の場合
小千谷市内のベタ基礎コンクリート建築物で、その重量を支えきれずに不等沈下を起こし、斜めに傾いているものが見られました。
田んぼを埋め立てた場所なので、砂質土の土壌が液状化を起こして傾いたと考えています。
外観
震源地に比較的近い小千谷市の集合住宅です。
外見は何もないように見えます。
〇基礎の周辺
建物の近くに来ると、基礎の周りが極端に沈下していることがわかります。
この建物は一方向に倒れていて、住民も生活に支障があるとのことでした。
ベタ基礎は重量のある建物で背が高くなると重心が上になる為、傾きだすと支えきれなくなります。2階建てくらいだったらよかったかもしれません。
高床木造住宅の場合、上部の構造が軽い為、背が高くても重心が下になります。
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