べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

小さい20坪の家

2009-09-30 12:09:42 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅
このブログもyahooやgoogleでの検索で、だいぶ上位にエントリーされる機会が多くなりました。
検索キーワードも色々なものが多く、皆さん勉強熱心で感心しております。
毎日、検索されるので多いのは、「長期優良住宅」です、(詳しくはこちらにて・・)
超長期優良住宅については情報を掲載していましたが、長期優良住宅については、まだ情報が少ないので、特集することにしましょう。

また、変わったところで、

「国産材を使用すると固定資産税評価額が高くなる」

というのがありましたが、これははじめて聞くところです。
例えば、長期優良住宅の場合は、税制面で優遇措置があります。
(長期優良住宅として登録する必要があります。)

固定資産税評価額は、固定資産税(市町村税)や不動産取得税(県税)を出すための評価基準ですが、部屋の内装や照明といった目に見える仕上げが調査対象になりますが、例えば、和室に桧の柱を使ったり、節の無い綺麗な柱を使ったりしていれば、評価額は上がると思います。
単に、県産材を使っていた場合は節だらけならば、逆に下がる要素かもしれません。
県によっては、地場の木材を使用することの優遇措置もあるかもしれません。



今回は、「小さい20坪の家」という検索キーワードがあったので、その解説をしたいと思います。

悠久町M邸は、既存住宅が新潟県中越地震により大規模半壊となり、その後の生活の場のとしての震災復興住宅として設計、施工しました。
当初は4間×4間の平屋の16坪で計画していたのですが、台所と水廻りがもう少し広くほしいというお客さんの要望で、20坪の大きさとなっています。
(和室6帖+居間8帖+DK10帖の間取りです)

二人暮らしとしては、十分の大きさで、中越地震の山古志での震災復興住宅も、この規模の高齢者用モデル住宅が建てられています。

それでも、写真のように、木組みでしっかりとした建物にしました。県産材率90%以上(土台は桧)で、県産スギ復興支援と安田瓦による補助金を使用しています。
小屋裏利用をしていて、ロフトが8帖くらい取れています。




外観


外装材:はスギ羽目板
屋根:安田瓦

詳しくは、こちらをご覧ください。




もくじへ・・
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一升もん

2008-06-03 20:57:23 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅


悠久町M邸では、引越し荷物を片付ける作業が続いています。
春に、引越しをして、建物いっぱいだったダンボールがようやく片付いてきたようです。

一升瓶に和服等のリサイクル布で作った衣装を着せて飾ったりしていました。
「いっしょうもん」と言うそうで、酒瓶も、こうなると芸術品になる。
古民家風の建物に丁度似合っています。

冬場に床板に塗ったカキシブも焼け加減が丁度よく、
「わび、さび」をかもし出しています。

私の建物は構造がそのまま見せ場になるので、内装に凝らなくても、小物で十分雰囲気作りができる。
お客さんの工夫のしどころです。
建物を存分に楽しんでください。
愛着を持って頂ければ、作った甲斐があります。


片付いたら、色々な人を呼んでくるそうで、集いの場になればと思います。

   「震災復興住宅」

その名のとおり、地震を乗り越えて新たな生活の場となり、震災前よりも楽しく暮らせることを願っています。

越後杉と木組みに守られながら・・
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完成写真

2008-02-20 14:29:31 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅


久しぶりの晴れ間が広がっています。
昨日までの積雪は70センチ(圧雪)になっています。
また、明日からも冬型が強まるとのこと・・
まだ2月ですから・・

悠久町M邸の完成写真をプロのカメラマンに撮っておいてもらいました。
もうすぐお客さんも荷物を運ぼうというところです。
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悠久町M邸 床ワックス塗り

2008-02-04 13:39:20 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅


本日は、曇ベースのようです。
最近は、雪が降っても、あまり積もらず、逆に曇って気温が低くなる傾向があります。
路面が凍結し、事故につながるケースもあるので、夕方は要注意です。

悠久町M邸では、床の仕上げに天然ワックスを塗りこむ作業がすすんでいます。
杉フロアーにカキシブを塗って、適度に赤みがついてきました。
構造材や羽目板等も、焼けて落ち着いた色になってきた。

このワックスはオスモワックスで浸透性で、少量をウエスに染み込ませ、なすりつけるように塗っていきます。

作業は力が要り、根気を要するので、塗装屋さんや掃除屋さんは嫌がる素材なので、大工がやることにしています。

お客さんも、
「これなら手間がかかるはずだ」
と、納得していますが・・

大変です。でも仕上がりは落ち着いたいい色になっています。
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悠久町M邸 床カキシブ塗り

2007-12-29 00:55:52 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅
床板の色にもこだわっています。

腰の羽目板は、いつもの濃い褐色ではなく、若干薄い色を「ノンロット」を使って塗っています。
床板は、ちょっと待っていました。

というか、コーヒーをカウンターに塗ったりして、いろいろと試していたのですが、最終的にカキシブを塗ろうということになりました。

写真は、杉板にカキシブを1回塗った状態です。
白い部分との差でわかります。

カキシブを塗ると、木が焼けて、若干赤みをおびた感じになります。
紫外線に当てる時間で焼け方が変わると言いますが、その辺は「適当」です。
ちょっと薄ければ、もう一度塗ればいいという具合です。

でも、カキシブが渋い感じを出して、味のある感じに仕上がってきました。

引渡し後で、時間はたっぷりあるので、楽しくできます。
お客さんも楽しんでいます。
こういう、じっくりとした工事が好きです。
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悠久町M邸 外観

2007-12-29 00:47:00 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅
悠久町M邸の引渡しも終了しました。

雪の季節となったので、引越しは暖かくなってからとのこと・・

外観は、切り妻の瓦屋根と杉羽目板の竪張りが美しく映えています。
このあたりで、象徴的な家となりました。
坪数は20坪の平屋建てと小さいながらも、その存在は堂々たるものです。

羽目板の色もお客さんがこだわった分だけ、輝いて見えます。
ノンロットの「ナチュラル・オーク」の2回塗り+(薄いようなので)レッド・オークの1回塗りで微妙な色の濃さを実現。
レッドオークの2度塗りだと濃すぎるし・・

まさにベストな色となりました。
次もこれで行くか!!塗装屋さんは泣くかも知れないけれど・・
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宙吊りの階段

2007-12-20 13:52:16 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅


本日は、中島町H邸の上棟式です。
H邸の建て方も無事終了し、屋根下地の工事に取り掛かっています。

同時に悠久町M邸の引渡しも迫っていました。
杉の床板は、まだ色が決まらず、どう仕上げるかお客さんと念入りな打ち合わせをしています。
コーヒーを混ぜたらどうかとか・・天然素材と色にこだわって下駄箱のカウンターを塗って試したりしながら思考錯誤の状態です。

時間はかかりますが、楽しいやりかたです。

中2階のロフトに上がる階段も、奥さんが高所恐怖症ということで、梯子ではなく、ある程度の緩やかな「階段」にしてほしいとのこと・・
でも、階段をかけるスペースもない。しかも、本格的な階段は、かなりの重量となってしまいます。

そこで、タラップをロープと滑車(かっしゃ)で天井に吊るして、必要な時に下ろすようにしてみました。
滑車も2重の「動滑車」を使って、ロープを引くときに軽くする工夫をしてみました。

お客さんと、あーだこーだ言い合いながらようやく、この形に決まりました。
お互い、中学校に戻ったような感じで、滑車の原理に頭を悩ませながら・・

こうして造る家は、とてもおもしろいものになると思います。
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渡りアゴの角

2007-10-22 20:17:07 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅


本日は、カラッと秋晴れですがすがしい一日でした。
でも、明日は雨模様のようです。
週間予報では今週はずっと晴れの予報でしたが、晴れ間がほとんど続かない・・

晴れているうちに外部を進めていく以外に方法は無い・・

写真は、構造材が外部に突き出している様子です。
伝統構法の「渡りあご」や「打ち出しホゾ」は外部に24センチから30センチ突き出します。
突き出す長さが長いほど丈夫になりますが、これがぎりぎりの長さでしょう。

昔の「蔵」等はこんな感じで中の梁が外部に突き出ている様子がわかると思います。

どうしても、雨仕舞いが悪い場所になります。
下地ボードと梁との隙間にコーキングを打ち、ブチルテープや防水テープを防水紙(タイベック)との際に貼り、さらに外壁を張ったらコーキングを打って、ここから水が浸入しないように努力しています。
当然、これに防水塗装も施しますが・・


また、屋根の直下ならば雨が当たる心配も少なく、それよりも低くなって雨が入りやすいようだったら、この上に小屋根をつけたり庇で覆ってしまう工夫をします。


この、木口を木の枝側(根と反対)にすると、木が植わった状態の時、水を送り出す側となるので、水が浸入しずらいと聞いたこともあります。逆に根の方向を向けると水を吸い込みやすいとか・・
でも、雪国の場合、根曲がりの強い部分を外側に向ける習慣があります。
強度を取るか、防水性を取るか悩むところでもありますが・・

鉄板を直に張ると、蒸れて腐ってしまいます。
ボードか下地を張って、縁を切って(隙間を空けて)鉄板を張ればよい。
わざと腐らせて、取り替える部分を作るとか・・
いろいろな工夫が考えられます。

伝統構法ならではの悩みであり、楽しみですが・・
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悠久町M邸 屋根瓦工事

2007-10-19 21:26:06 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅


なんだか急に肌寒くなってきました。
昨日までは、秋晴れが続いていましたが、今日、明日と雨の予報です。

もう10月も下旬になろうとしています。
わずかな晴れ間に外部工事をすすめていきます。

悠久町M邸は、安田瓦を葺きます。
県の被災者制度で1/2の補助金(最大85万円)を使いました。

耐震瓦施工で棟串瓦に鉄筋を入れ、針金で瓦を固定します。
また、平瓦は2つの穴全てに釘を打ちます。

先日、この状態で震度3の地震がきましたが、びくともしませんでした。
当然、瓦も落ちてきませんでした。(まあ、3程度なら当たり前か・・)

早めに、ダイライトで外部を囲んでしまいたいところです。

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上棟式

2007-10-16 22:22:18 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅


先週の土曜日に悠久町M邸の上棟式を行いました。

20坪程度の小さな家ですが、本格的な伝統構法の家にお客さんも喜んでいたようです。

夏の間に基礎工事を済ませ、建て方まで3ヶ月。
長らくお待たせしましたが、それに見合うだけの家となり、周囲の方々も納得というところでしょうか・・
通りがかりの人たちも、皆、注目しているようです。

屋根に安田瓦を乗せ、外壁は杉の羽目板を貼ります。

「外観とマッチするような内部仕上げにしたい」

と、奥さんもはりきっております。
そういう意気込みこそ、私の張り合いの原動力であります・・

楽しみ。
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建て方終了

2007-10-11 21:12:56 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅


悠久町M邸の建て方が終了しました。
難所は一段落しました。
一服の時間に職人たちも余裕の表情となっています。


昨日からはじめた木組みも本屋の母屋が終了し、屋根の下地にとりかかっています。

レッカーも3日くらいかかるかと思っていましたが、意外に早かった。
天候にも恵まれたし・・

13日の上棟式には余裕で間に合いそうです。
雨が降る前に、屋根を掛けたいところですが・・(だんだん欲が出てくる)
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悠久町M邸 建て方

2007-10-10 20:04:27 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅


10月10日 晴れ

旧「体育の日」は晴れるのか?特異日だそうですが、週間予報では雨だったのですが見事晴れました。
お客さんの精進がよほど良いのでしょう。
今週は晴れるようです。

悠久町M邸の建て方を行っていますが、本日はとても工事が順調に進みました。

20坪程の小さな家なのですが、通し柱は9本。それを中間でつなぐ「差鴨居」(さしかもい)の数は6本。
全て組み上げてから土台を下げます。

写真では、普通に組んでいるようですが、通し柱の根っこの部分は木材をかませてあり、空中に浮いています。

土台の通してある通し柱を下ろしてアンカーで固定するため、固定した後は全く動きません。
筋交い無しで自立します。

この作業が今日、出来るかどうか心配でしたが、3時前に無事終了しました。
夕方、お客さんが観に来られましたが、下げる工程を見れなかったのが残念そうでした。
13日の上棟には十分間に合いそうです。
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ただいま 刻み中

2007-10-06 19:46:29 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅


かなり涼しくなりました。
つい2週間前は暑い盛りだったのに、急に涼しくなって、日の暮れるのも6時前となり、暗くなるのも早くなりました。

すっかり秋となりました。

深沢町W邸の引渡しを来週にひかえ、建具も入り、ハウスクリーンを入れる準備をしています。

悠久町M邸は来週の上棟に向け、着々と刻みが進んでいます。
小屋組みの丸太で見えるところを仕上げています。

伝統木組みの刻みはなかなか終わらない・・
ほんの20坪くらいの家なのですが、本格的な木組みなので、組むのも時間がかかりそうです。

通し柱は全部で9本。深沢W邸で12本(60坪)、栄町T邸で11本(80坪)に比較すると通し柱の量が多いのが特徴です。40坪クラスに匹敵します。

その通し柱を差鴨居(さしがもい)で結び、その上に丸太の小屋組みとなります。
20坪と言えど、それ以上の耐震性、耐久性を求めています。

長岡市の中山間地型モデル住宅を伝統木組みで作るとこうなるという見本となるでしょう。もちろん、県産材率99%!今回は土台も地元産!
(床柱が花梨で、何処の産地かわからない)
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天然乾燥材 運搬

2007-07-07 12:46:06 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅


九州地方では、梅雨前線が活発化し、大雨による被害が懸念されているようです。
ここ新潟県では、先日の岩室地域での大雨洪水注意報が局地的に発令されたほかは、降雨もほとんどなく、今日からは晴れた日が続くとのこと・・

来週の火曜日まで、曇りベースのようなので、外部を進めておきたいところです。

晴れ間を見て、悠久町M邸の材料も、村松のマルユーより運搬しました。
昨年の冬から発注していた構造材で、乾燥もすすんでいました。

でも、まだ30%前後でしょうか?今年は天候が悪く、乾きが悪いようです。
墨付けも小屋裏からはじめて、重要な部分は夏になるように調整。
建ててからも、しばらくは乾燥させないといけないようです。

大断面の材料はなかなか乾きずらいので、杉ブランドとしては不十分なところもあります。
工場や加工時にも水分を抜くような工夫が必要でしょう。
県の基準を満たすには、下地材(間柱、野縁、胴縁)や造作材でカバーするのがベストのようです。
構造材は、杉の弱さをカバーするのに、どうしても断面が大きくなるので、杉ブランド材の適応は難しいでしょう。
だからといって、米松でいいかといえば、それも許せないところで、建っている間に乾燥させるやりかたを選択します。
99%地元産材がモットーですから・・


マルユーでは、乾燥収縮を予想して、仕上がり寸法よりも5ミリほど大きくして発注しました。
これを長岡の志田材木の4面プレーナーによって、カネの手(直角)と寸法を決めてもらい、それから墨付けの工程に入ります。

  また、延々と苦しい日々が続く・・
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栗石地業

2007-07-04 20:20:49 | 悠久町M邸 木組みの震災復興住宅


半日天気がもってくれたおかげで、材木の運搬等の外部作業ができました。
入梅しているので、わずかな晴れ間が貴重です。

悠久町のM邸でも基礎工事がはじまっています。
表土を掘削して、直径12センチくらいの割栗石(わりぐりいし)を全面に敷き詰めます。
一個一個地盤に突き刺すように立てていく作業が延々続くのです。
この上に捨てコンクリートを打ち、鉄筋を並べてベタ基礎にします。
左官屋さんも慣れてきたようで、安心してまかせておけるようになりました。


地盤改良も何もしないのですが、長岡よりも信濃川の下流側の軟弱地盤で行っている方法なので、どんな場所でも施工が可能です。
バランスの良い家の形に設計しているので、不等沈下も起しずらくなります。
この上の建物は、基礎に頼らない上屋だけでももつ木組みなのですが、昔からこの方法なので捨てきれません。
本当は、伝統的な石の上に柱を立てるやり方もしてみたいところです・・


最近は、砕石を重機で敷き詰めて終わりみたいな基礎が未だ行われているようですが、そういうのを見る度に、

  「地震がきたら、砂利が崩れるぞ」

と、注意したい気分です。
表層改良している基礎で、その上に単に布基礎だったりして、

  「地震が来たら割れるぞ」

と、お客さんに言いたいのですが仕方が無い。
地震を経験してもそのありさまです。
だいたい、地盤調査をすれば殆どが、改良が必要な結果が出るのは目に見えています。
基礎に自信のない会社ほど、地盤改良をしたがる・・
上屋に自信のない会社ほど、基礎に頼りたがる・・

地震を経験したのなら、それに対応する術も考えられるはずなのに・・
いったい、何を見てきたのやら。




6月20日より、建築基準法令が改正され、違法行為ができない体制に移行したようです。
行政側もまだ対応に慣れていないようですが、伝統構法の家づくりにとってはやりずらくなってきました。

伝統的な構造はまさに経験上の上に成り立っていますが、数値的に現すのが難しく、科学がまだそこまで至っていないのが現状です。
何百年も建っている古民家は何度も大地震を経験していますが、現在の耐震診断や構造計算では、

「倒壊に至る」

と診断されます。でも、実際には大丈夫なのです。
多くの計算や実験で解明しようとしているようですが、学派や企業間の争いがあり、なかなか進まない。

         総持ち(そうもち)理論

は、大工の伝統的な考え方ですが、家の木組み全体で耐震に備えるというものです。(最近の技術の無い大工が軽々しく用いるものではない。建ててしまえば全体で効くみたいないい加減なものではない!)

昔ながらの技法、設計法があり、部材や継ぎ手、仕口に至るまで経験や試行錯誤が延々繰り返されてきた集大成なのです。

そこにメスを入れようというところなのですが、法改正によって全てが否定されようとしている・・
たとえば、小屋裏の火打ちです。
あんなもの、地震の時には応力が集中して桁が折れてしまう。
しかも、何本入れていいのかのマニュアルも無い。
ただ隅にいてれいれば基準法としては通るのでしょうが、実際には無数に入れない限りは小屋裏の水平合成が確保できないでしょう。
四隅、中心部等の少なくとも9箇所(全20箇所)は最低必要だと思いますが、実際には少ないでしょう。
その最低基準も定めていないのに、ただ入れればいいというのも納得いきません。

伝統構法の場合は、梁、桁を全て折り置きにして、渡りあごによって接合し、柱の重ホゾによって貫いて固定します。さらに、桁方向に背骨とでも言うべき「中引き(なかびき)」をやはり渡りあごによって接合、大栓を打って固定します。
そして、小屋筋交いの替わりに妻天秤を組み、小屋組み全体で水平合成を確保します。
火打ちなど、要らないのですが、その計算方法がまだ確立されていない。
立体として対応しているのですが、計算するとたいへんなのでしょう。
コンピューターでマトリクスシュミレーションみたいのでしないと結果は出ないのかもしれません。

そういう、個の数値で表す西洋的な方法ではなく、全体で表す東洋的な方法が必要だと思います。
実際、水平力に対する耐震計算はできるのでしょうが、下からの突き上げによる計算は、現在の建築基準法では定められていません。
伝統構法には、経験上、その下からの突き上げに対しても有効な組み方が仕込まれています。
それは、中越地震を経験して、実感できました。

それを、どう、数値に表していくか、今後の課題となっていくでしょう。
また、今後起るであろう関東、東海地震では、突き上げが予想されています。
現況の耐震計算では、突き上げまで考慮されていません。

基礎に関しても、支持地盤に杭等が到達していた方が強いという見解が一般的ですが、中越地震を経験したわたしから見ると、そうとは思えません。
むしろ、支持地盤に到達するのは避けたほうが良いという結論です。
これは、鉄骨屋さんも同じことを言っていました。
公共工事ほど、支持地盤に頼っているため、むしろ被害が大きいと・・

最近の、免震構造に代表されるように、揺れる地盤の力をどこかで縁を切ってやり、上の小屋組みでもたせたほうが合理的です。
支持地盤の突き上げを、もろに建物に受けてしまうと、それに対応する強度がないと、建物がもたないのです。
一般の住宅に支持地盤のエネルギーが伝わると多大な被害が出てきます。

田んぼを埋め立てたようなぶよぶよな場所のほうが、地震のエネルギーを吸収してくれます。
その上にバランスの良い建物をたてたほうが、よっぽど被害が少ない。
多少の地盤沈下が起っても、修正できるような基礎との緊結方法をとったほうが、後々楽だと思います。


そんなことを考えながら、割栗石を並べる左官屋さんを見ているのですが・・
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