手水の習慣は大昔の疫病予防対策の名残と考えています
新型コロナウィルス感染症の感染が拡大しつつありますが、古来から神社や寺院の参拝の際に行う「手水舎」や「御手洗場」での手洗い、口濯ぎ(ゆすぎ)は感染症予防に効果的なのだと再認識しました。
〇「手水」の手順
1.左手を洗う
2.右手を洗う
3.口を漱ぐ(すすぐ)
という手順で行います。
柄杓が置いてある場合は、柄杓を使いながら手を洗います。
基本は1~3なので、どちらの手で柄杓を持つかは自ずと分かると思います。
1の左手を洗うときは、右手で柄杓を持つ
2の右手を洗うときは、左手に持ち替える
最後は柄杓の柄の持ち手の部分を洗い流して次の人が使いやすいように柄杓を置く
これで良いわけです。
柄杓が無い場合は、反対側の手で水をすくう作業となります。
なぜ、「左手」が先なのかというと、古来から「左」が重要な方向にあるからです。
「心臓が左にあるから」という説もあります。
「古代の中国の王様が南を向いて座っていて、太陽の登る東が左の方向だから」という説もあります。
諸説ありますが、正式な事は分かっていません。
「古事記」には「左」が重要な役割を担うポジションとしているので、形式的に「左」優先と解釈しています。
〇神社の参道を廻る方向(右側通行か左側通行か)は「手水舎」や「御手洗場」の場所によって決まります
この神社の場合は、手水舎が右側にあるので、参道の右側を通って左側から出ます。
つまり「右側通行」となります。
弥彦神社の大鳥居を入ると、橋が架けてある「左脇」に川へ入る段があります。
「御手洗場」と考えられます。ここで全身水に漬かって身を清めたのでしょう。
弥彦神社の「手水舎」は参道の左側にあります。
「御手洗場」と同様左側にあるので、弥彦神社は「左側通行」となります。
伊勢神宮の場合は、右側通行です
伊勢神宮の「五十鈴川の御手洗場(みたらしば)」は参道の右側にあります。
手水を行う場所によって、伊勢神宮は「右側通行」という事が導き出せます
本来は、全身を水に漬ける「禊払い(みそぎはらい)」が正式な身の清め方なのでしょう。
「手水」は簡易的な身の清め方法なのでしょうが、手を洗い、口を漱ぐだけでも、感染症の予防になると思われます。
結果的に病原体によって神聖な神社の境内を穢ささせない所作となっています。
外出後に家に帰ったら、まず
うがい、手洗いをするのは、現在にも通じる感染症の予防の基本です。
1.病原体である細菌やウィルスを先ず、手洗いする事で洗い流す。
2.呼吸によって口や喉に入ってしまった病原体をうがいによって体外に排出する。
この二つの動作が、外出時に体に取り付いた病原体を取り除く事が感染予防として効果的です。
遥か昔、流行り病を予防するために経験が活かされて、神社の参拝の手順に取り入れられたのだと考えています。
もくじへ・・