最近、何かと話題になっていますが、ついに自殺者まででてしまった事件であります。
そもそも、構造計算書は、3階以上の木造、2階以上の鉄骨造、コンクリート造ならば、必ず作成しなければならないことになっています。
通常、構造計算書を1冊作るのに1週間から10日はかかります。設計図も含めれば更にかかってしまいます。
それでも、建築物の安全を確認するのには必修の作業ですから、手は抜けないはずです。
チェックする側が構造計算ができないシロウトでも、解らないからごまかそうなどというのはプロ失格です。
お客の安全が第一なのですから・・
元請け会社から「鉄筋を減らせ」と注文があっても、減らせないのが設計士のプロとしての仕事でしょう。
鉄筋を減らす場合は、断面を大きくすればいいことです。でもコンクリートの量が多くなってしまうので、コストダウンにはつながらないでしょう。逆に、コンクリートの量を減らして、鉄筋量を増やすのが得策だったと思います。
元請け会社は「コンクリート量を減らせ」と謳っていたらよかったのかも知れません。
「鉄筋を減らせ」という背景には、鉄製品の高騰が原因で、なるべく鉄筋を減らしたいという考えがあるのでしょう。
最近は、中国の好景気により、中国国内の開発が進み、鉄製品が値上がりしています。
更に、原油、エネルギーの高騰により、石油製品までもが値上がりしていて、メーカー側は製品の値上げを要求しています。
鉄鋼株価も急激に上昇し、鉄製品の高騰に拍車をかけています。
鉄筋工事も、原料の値上げが受注単価に上乗せしてきています。
鉄骨関連も同様です。
このような、鉄筋関連の値上げから、「鉄筋量を減らせ」という考えに至ったのではないでしょうか?
構造計算書が無事に確認を通っても、現場監督はこの不正を見逃さないはずです。
鉄筋量が極端に少ない場合、図面の段階で熟練の現場監督は直ぐに見破り、改善措置を元請け、若しくは設計士に確認するでしょう。
仮に、設計屋や元請けが承知であった場合でも、何らかの改善はしているはずです。
「そんな建物はつくれない」というのがプロの仕事です。
それすらも退ける組織なのか、よっぽど現場監督が無知なヒヨッコなのか・・
様は、建物のプロが一人もいない、責任者が不在の現場たったからこそ成せる技なのです。
この事件は・・安全よりも儲けを最優先しています。
お客に直接会って商談を進める営業マンはこの実態も知らずに売っていたかと思うと哀れでなりません。
「安い」を武器に売りさばいていたのでしょうか?
元請、営業マン > 設計士 > 現場、お客
という、力関係の構図が浮かび上がってきます。
これでは、現場やお客が軽視され、良い者は出来ないでしょう。
企業のための構造というほか無いでしょう。
一番の被害者はお客さんです。
家作りの理想は、
お客 > 元請、営業マン = 設計士 < 現場
と考えます。
現場、お客が最優先で無い限り、良い建物は作れません。
そして、こんな茶番劇は、早く終わって欲しいと思っています。
どうせ、このしわ寄せは我々建築業界に来るのだから・・
真面目にしている人たちが、一分の不正を働いた者によって規制をかけられる・・
いつもそうです。
性能保証やシックハウス、アスベスト等・・みんな規制になっています。
国の弱いものいじめもほどほどにしてほしいです。
他に重要な話題は山とあるでしょうが・・
郵政民営化とか、拉致問題とか、中国との国交とか、憲法改正とか・・