【シロアリの喰害】
地震によって被災した建物を直していると、シロアリの喰害に気づかずに、被害が広がっていた場面もあります。
シロアリによって構造材や下地材を食い荒らされていると、いざ地震に遭ったときに耐力を十分に発揮できず、倒壊に至る場合も考えられます。
本来は地震の起こる前に「耐震工事」として施工するのが望ましいのですが、復旧工事の際に直しておきたい箇所でもあります。
【シロアリの生態の特徴】
シロアリは人目の付かない場所で活動するため、見えたときはかなりの被害に遭っているケースが多いです。
床下の土中に巣を作り、そこから蟻道(ぎどう=アリの通る道)を形成しながら進んでいきます。
コンクリートも蟻酸(ぎさん)を出して溶かして穴を開けていきます。
通常は、床の下地である「根太(ねだ)」を食べていくのですが、時には「書類」などの紙製品、「畳」も餌としますので、定期的な整理整頓、掃除をしないといつの間にかシロアリに侵食されています。
シロアリは巣が出来ると半径10~15mは活動範囲となるため、お隣に巣が出来ていた場合も注意が必要となります。
シロアリの喰害と生態の特徴
【土台入替え】
シロアリの喰害に遭った場合、土台の入れ替えをお薦めします。
基礎や柱などが絡んでくるため、施工は困難ではありますが、不可能ではありません。
【工事の手順】
補強をしながら施工を進めます
壁の解体
柱も喰われていたため、入替を行います
既存の土台を撤去します
土台の入れ替え終了
檜の土台の両端を「鎌継ぎ(かまつぎ)」で設置しました。
基礎と緊結するために両側にアンカーボルトにて止めています。
構造用合板を打ち付けて耐力壁としました。
今回は地震の応急修理も兼ねているので、できる限り耐力を持たせます
構造用合板の上にラスボード(プラスター塗り用の下地)を貼りました
以降は左官工事に引き継ぎます
【土台入れ替えは知恵と根性で乗り切る】
土台が破壊されてしまい、建物が傾いていると「もう駄目だ」と諦めてしまいがちですが、そこは根性の見せどころです。
ジャッキアップやワイヤーによる屋起こしを駆使していくと、段々治ってきて、「あともうちょっとで住めるようになる」と実感します。
【施工後のケア】
床を塞がないうちにシロアリの薬剤散布による防除、予防策が必要です。
土台に腐りずらいヒノキ材を用いる事も有効ですし、床下地にも杉やヒノキを検討した方が良いと思います。
床廻りに松系の材料を使うと、どうしてもシロアリが入りやすくなってしまう。
床下に潜って定期的に点検が出来るように点検口を設ける等の工夫もご提案します。(我が社の場合は黙ってると自動で付けてる場合が多いですが・・・)
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