これまでも何度も書いているが、爪の話。 クラシックギターだけではなく、アコギでも爪を延ばして、爪弾きが大方のギタリストの技法だろう。 もちろん、エレキやフルアコなどでジャズなどを弾くギタリスト達はほとんど爪は延ばしていないが、ピックを使用して弾く事もほとんどであるし、フルアコで指引きするジャズギタリストもいる。 ただし、ほとんどの場合にはアンプを通して音量も音色も変化させているし、そもそも、アコギのスチール弦は爪無しでもそれなりに音量や音色はそれほどの差を感じない。
しかし、クラシックギターの場合にはナイロン弦で(4~6弦は一応はナイロン弦にスチール弦を巻いている巻き弦を使用しているが)、1~3弦の音色はギターの音量や、その特徴などもあるが、指弾きではどうしても音色は甘くなり、明瞭さに欠けるのは否めない。 さらに、音量も出しにくくなるし、そもそも、爪が無いので、それなりの音量を出すためには、指頭を弦に深く押し当てて爪弾く必要がある。 これは、誰でも同じだろう。 指頭奏法の一番の難しさはやはり音量、音色の透明感を出す事が難しい事。 それ以外のメリットも沢山あるが、音楽的なと言うのか、曲の表現とか、演奏とかのメリットはそれほど多くない・・・と私は思っている。
ただ、爪に当たる時の雑音は無くなるし、音色の強弱を表現することは優れているかもしれない。 しかし、やはり、高音のメロディーを強調するような曲などは各指毎に力加減を変える必要が出て来るし、それはしかし、かなり難しい技術になる。
しかし、爪に気を使わない事は、普段の生活を快適に過ごせることや、仮に爪が割れて、いつもの演奏が出来ないとか、爪が剥がれたりするような怪我などの心配もないのである。 ギター講座でも爪が割れて、何時も通りの演奏が出来ないとか、痛みがあるとか、などと言う人もいる。
そうした演奏以外に気を付けないといけない事などは無くなる。 さらには、衛生面でも爪の隙間にばい菌が入ったりすることも無くなるし、常に爪に気を遣うような生活をする必要もなくなる。
もちろん、ギター演奏に関しては、今でも私は爪弾きの方が音色や音量などを考慮しても、技法としては優れているのだろうと思っている。
しかし、私の爪は弱くて、すぐに割れてしまうし、薄くて爪弾くには向いていないのである。 以前は爪を延ばして弾いていた時期もあるが、爪のメンテナンスや、爪に気を遣う生活自体が面倒と言うか、嫌と言うか、出来ないと諦めたのだ。
しかし、それから指頭奏法を続けているが、今はその爪が無い音色に対してもそれなりに対応することが出来ているし、今では、指頭奏法の良さを生かした演奏を目指している。 今後さらに年齢を重ねて行くと、嫌でも爪などの衰えは否めないだろう。 しかし、最初から爪無しで弾く事は、将来変わる事が無い演奏を続けることが出来る事なのである。 そう。 今後も生涯、音色は変わることは無いし、逆に言えば、まだまだ音色は進化する事が出来る。 指頭奏法をさらに向上させて、爪無しの弱点を改善するような奏法を見つける事も出来るだろう。