モスクワ空港に降り立った時の1番最初にやってきた印象は、ただただ寒いという事であった。なんだか氷点下も目の前といった気温なのである。
渋滞が凄いとの話にて、エアポートエクスプレスを乗ってモスクワ市街に出た。そしてそこからメトロに乗り継ぎ、食事の予定されているレストランへ。
地下鉄は恐ろしく深いのだ。
一つのエスカレーターで一挙に地下4Fくらいまで降りる感じ。メトロがこれだけ深いところを走るのも、きっとそれなりの理由があるのであろう。 手押しの木の扉を開けてメトロの駅に入っていく。
独特の雰囲気である。
共産圏の名残ともいうべく、愛想のない駅員たち。そこかしこにセキュリティのような制服を着たがっしりとした人を見かける。
ホテルの手抜かりで予約は自動的にキャンセルとなっており、他のホテルが取れない。結局この日は、取引先社長のマンションにヤドカリとなった。こんな経験は初めてである。
暗い街。どうも 夜の街を照らすライトが少なすぎて暗い。 寒気が余計に灰色のイメージを強調させている。
モスクワ料理のレストランにて 黒ビールを頼んだが、あまり美味いとは思えない。
イタリアから移動してきたからか、食べ物には疑問符が付く。パンも不味い。無理やり胃に貯めるような料理である。
街の女性が美しい。これは本当にそう思った。顔が小さく、みんな8頭身なのである。そしてブロンズで眼が碧いか灰色なのだ。同じ人間とは思えない。 またオトコはヒゲ男が多い。陰気な印象を受ける。
モスクワは鬼のような渋滞の街であった。BKKの渋滞にも負けないくらいである。
取引先のセキュリティ担当の方に、権力の象徴であるクレムリンと赤の広場を案内して頂いた。
この方はかつてKGBで働いていたという。なるほどクレムリンに詳しい訳である。
今回、驚いた事のひとつとして、タクシー代が無茶苦茶高いのだ。 また流しているようなタクシーが少なすぎるので、ボッタクリタクシーが当たり前のように存在するのである。
今回の出張前に痛めた右足首が痛過ぎる。どうやら、膝のお皿の下は左右とも少しずつ痛みはとれてきたようなのだが、右足首のアキレス腱の下辺りの歩くとくる痛みはなんだか治りそうにないのだ。筋を痛めたのだろうか…。
しかし、今回の出張は本当に禁煙が辛かった。
最終日、朝ホテルで目が覚めると咳が止まらない。脚も痛い。体調最悪なのであった。
帰国前、 ボルシチを食べに連れて行ってもらった。これは美味い。 ピロシキも美味い
帰国の昼、この渋滞の道の向かいの逆方向側のクルマが途絶えた。しばらくするとものすごいスピードでパトカーに四方を囲まれるようにして、VIP仕様の長いメルセデスが駆け抜けて行った。プーチン大統領のクルマだった。確かにあの速度で走れば、そうそう狙撃されるはずはないであろう。
わずか二泊三日のモスクワ滞在であったが、これまで訪れた他のどの街にもない独特の雰囲気を持った街であった。
やはり歴史の力はすごい。歴史こそが国を作り、街を作り、思想を作り、人を創るのである。
つくづくそう思う旅であった。