「自由におすわり下さい」自宅前にベンチ、京都の大工男性の思い

2018-09-21 20:24:07 | 民 people

 京都府向日市森本町の歩道に面して置かれたベンチが、地域の憩いの場となっている。大工として文化財の修復工事などを手掛けてきた宮下潔さん(75)が制作し、自宅の敷地内に置いた木製の腰掛けで、「これからも、ほっと一息つける場所であってほしい」と温かいまなざしを向ける。

 ベンチは長さ120センチ、高さ45センチのヒノキ製で3人が座れる。背後に「自由におすわり下さい」と記した木の板やサボテンなどの観葉植物が置かれ、ゆっくりとくつろげる場所を演出している。

 宮下さんは中学卒業後から大工として修業し、30歳で独立して同市森本町で工務店を営んできた。この間、民家などの建築のほか、南真経寺(鶏冠井町)の大屋根の大改修なども担ってきた。

 ベンチの制作のきっかけになったのは、自身の通院だった。最寄りの駅まで歩くが休憩するところがない。「そこではっと気が付いた。休める場所がほしい、と思っている人は多いはず」と2年前、ヒノキの丸太からベンチを制作し、大通りに面した自宅の敷地に置いた。

 以来、近隣住民たちの談笑の場になった。通院途中に腰掛けるという女性は「最近は喫茶店もなくなって、休憩するところがないので助かる。井戸端会議をする場所としてもちょうどいい」と笑顔を見せる。

 宮下さんは「ベンチに座る人たちが『おおきに』と声を掛けてくれるのが、ほんまにうれしい。いい仕事ができたなあ、と思って喜んでます」と話している。

【 2018年09月10日 09時04分 】



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