京都・南山城村へ移住に注目 「田舎暮らし」アクセス利点も

2018-02-27 09:41:05 | 民 people
 移住の候補地として、京都府南山城村への注目が高まっている。豊かな自然に囲まれた「田舎暮らし」が都市部へのアクセスも悪くない場所で実現できるとして、同村が立ち上げた「空き家バンク」には現在、29世帯58人が利用希望を寄せている。人口減が進む村にとって明るい兆しだが、物件不足という課題もあり、所有者への情報発信に力を入れる。

 「職場まで車で1時間半。敷地も広く、ご近所もいて安心。建てては壊すだけの家でなく、古い家をしっかり残して次につないでいきたい気持ちがある」。同村田山の一軒家に移住を検討中の会社員、館山淳さん(27)=大阪府高槻市=は、妻の奈々さん(27)の妊娠を機に家を購入しようと決意した。通勤可能な地域を見て回り、同村の空き家バンクで物件を見つけた。

 同村は2015年までの5年間で、人口が13・8%減と減少率が府内で2番目に大きい。移住者を呼び込むため、16年10月に空き家バンクを設立した。空き家を売りたい人や貸したい住民が物件を登録し、移住希望者はバンクに申し込んで登録物件を内覧できる。これまで9軒を公開し、うち5軒が成約した。

 希望者の多くはいろいろな地域と比較検討しているとみられるが、村むらづくり推進課は「田舎でありながら三重県伊賀市などへ車で近く、買い物にも困らない。『京都』という名前に引かれて連絡してこられる方もいるし、『府内唯一の村』というのも強み」と注目される理由を分析する。

 人気の半面、現在バンクで公開中の物件は4軒と需要に追いついていない。村内の空き家は把握しているだけで120軒ほどあるが、半数は修繕も困難なほど老朽化している。所有者が年1、2回ほど利用している物件もあり、登録に結びつかないケースが多い。

 一方で、高齢化がさらに進むことで空き家が増えることが予想されており、村は空き家対策の充実とバンクの周知に注力している。

 昨年12月には村全域が府移住促進特別区域の指定を受けた。改修に補助が受けられるといった移住者への支援とともに、空き家の家財撤去費用や移住受け入れを行う地域活動への補助も受けることができる。空き家所有者にもメリットがあることをアピールし、バンクの登録物件を積み上げたい考えだ。

 村内の高尾・田山、大河原、野殿・童仙房の3地区で、自治会を中心とした移住定住促進協議会が発足し、村と空き家の情報を共有する仕組み作りも進む。村むらづくり推進課は「移住の好事例を生み、村内へも、もっと情報を発信していきたい」とする。

【 2018年02月25日 11時28分 】


最新の画像もっと見る

コメントを投稿