
同市物集女町の金原明保さん(71)。幼少の頃から絵を描くのが好きで、高校卒業後に浜松市から京都市に引っ越し、図案家に弟子入りして住み込みで約10年間、修業を重ねた。独立し、向日市内で型紙を用いて染色する「型友禅」の図案家として、京都市内の業者と取引している。
主に振り袖を手掛けており、鉛筆とペンで小さな花びらや草のつるなどを丁寧に描く。図案の構想から完成までは1週間ほどかかるという。
着物産業の衰退で、図案家を取り巻く環境も大きく変わってきた。仕事が減り、20年ほど前までいた弟子も結婚などを機に業界を離れてしまった。かつては長蛇の列ができていた展覧会も、今は図案を買う業者はほとんどいない。
それでも、仲間とともに開く年2回の展覧会は欠かさない。「たとえ売れなくても、図案家が作品の発表を辞めたら終わり」と熱く語る。現在は、今月下旬に古里の浜松市で開催する展覧会の図案作りに力を入れている。
「70歳になったら辞めようと思っていたが、今は仕事がある限り続けたいと思う」。業界の未来を案じながら、今日も型紙にペンを走らせる。
【 2016年06月18日 12時20分 】
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