天王山の風、涼感 大山崎・聴竹居の導風管を改修

2011-09-01 12:07:15 | 木 plants
外からの風を取り込み、室内へ導く「クールチューブ」。老朽化で外れた側面や底面の板を取り替えた(大山崎町・聴竹居) 昭和初期の名建築で「エコ住宅の先駆け」とされる京都府大山崎町大山崎の聴竹居(ちょうちくきょ)で、外からの風を屋内に取り入れる導風管「クールチューブ」がこのほど改修された。天王山に吹く風が居間に導かれ、残暑が続く中、ひとときの涼を感じさせている。管理団体は「節電が求められる折、自然の力を生かした冷房設備の先進性を多くの人に知ってほしい」としている。

 聴竹居は京都帝国大教授を務めた建築家の藤井厚二(1888~1938)が、1928年に天王山のふもとに建てた和洋折衷の実験住宅。

 クールチューブは長さ十数メートルで、地中部分は土管、屋内部分は木製となっている。庭先の谷に面した取り込み口から風が入り、地中を通る間に冷やされ、居間の床下近くから噴き出す仕組みだ。

 建築から80年余りたち、チューブの側面や底面に張られた板が老朽化で外れたため、取り換えた。取り込み口に詰まった土や落ち葉も取り除いた。

 改修後は風通しが良くなり、見学に訪れた人が室内外の温度差を体感している。地元住民でつくる管理団体「聴竹居俱楽部(くらぶ)」は、自然エネルギーで部屋を涼しくするクールチューブの意義をあらためて考えようと、今秋、聴竹居で環境工学の専門家を招いた講演会を計画している。

 聴竹居ではさらに、縁側に長いひさしがあり、戸にはすりガラスがはめられている。縁側のそばに落葉樹も植えられ、それぞれ日差しを和らげる。聴竹居俱楽部の荻野和雄事務局長(67)は「節電の夏に多くの人に訪れ、エコに涼しく過ごすためのさまざまな工夫を見てもらいたい」と話す。

 見学は事前予約制で「聴竹居」と題したホームページから申し込む。

【 2011年09月01日 10時23分 】

「聴竹居」実測図集―環境と共生する住宅
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彰国社


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