歌人・辰巳泰子の公式ブログ

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鬼さんノートその5

2023-03-09 15:26:28 | 月鞠の会
私はいま、差別の歴史について、思いを馳せています。

本当にながいあいだ、反体制につながる貧困や被差別部落こそが犯罪温床であるかのように、私たちの世間では、とらえられてきました。しかし、そうではない。これは、私たちがあまねく主権と人権を回復するために必要な反証です。

令和と呼ばれる時代を迎えて、公金と利権を巡る犯罪が相次いでいます。ほんとうに長いあいだ、金を巡る犯罪は、食い詰めた貧乏人や被差別部落のにんげんが引き起こすとされ、孤立し、後ろ立てのない者が、ゆえに、反社会性を帯びるとされてきたのに、果たして、そうなっておりますでしょうか。全く逆の事象があるではありませんか。

高学歴を背景に、権力におもねり、不正に資金を得て、横領によって富貴を築き、お金の匂いに集まる「お友達」なる縁故によって、利害に反する言論を封殺すらしようとします。あげく、その不正を、独立する司法によって、犯罪として暴かれてしまっているのに、それでも、自分ほどえらいものはいないかのように、詭弁をふりかざします……。

学歴は、その人自身の努力がなければ、得られないもの。しかし、その使い道を間違えて、お金にばかり目が眩み、口先では立派なことを言いながら、私腹と縁故をぶくぶくと肥やしつづけて、やがて、不正連鎖の闇に堕ちていく……。まさに、これが、令和の新時代に、反社会性なるものの実態ではありませんか。

いったい、誰がこの国の戦後の平和と秩序を支えてきたのですか。この国の戦後から現代に至るまでを支えつづけてきたのは、賃金が上がらなくとも誠実に勤労し、法律を守り、国民負担の耐え難きを忍び暴動を起こすことのなかった無辜の民の、つまりは私たちの、その道徳感情ではありませんか。

それなのに、無辜の民……貧困にあっても清らかに生きてきた、普通の人々の道徳感情を軽んじ、高学歴、富裕層の不正を糾弾する声を、富裕層への妬み、ルサンチマンからの中傷行為、ゆえに反社会性を帯びると見てとる思想は、いまだに根強いのです。その証拠に、著名な言論人ですら、SNS上で、不正を糾弾する無辜の民の道徳感情を、やっかみであると決めつけます。つまり、これが、差別です。

反社会性とは……。





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