歌人・辰巳泰子の公式ブログ

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ザクロ5月号

2013-05-12 19:35:54 | 日常
おっかさま所属の俳句誌、右脳俳句フォーラム・月刊ザクロの、購読会員になりました。



5月号表紙。
全8p、ホチキス綴じ。
代表は稲垣鷹人さん。



流し雛ふと振り向いて去りにけり
岡本とゝ女



春泥を踏み若者の自己主張
稲垣鷹人

大空へ伸びて全き木の芽かな
松木千樹

千樹さんは、篠山鳳鳴高校のご出身。
おっかさまは同級生……でも、千樹さんは、俳句では大先輩。
おっかさまは、千樹さんから、「もっと勉強を」というお手紙を、これまでにも、いただいております。

千樹さんは、馬場あき子さんの「かりん」に、もう亡くなられましたが、義兄弟がおられました。
わたしはその、義兄弟の方と、「かりん」の集まりに呼んでいただいた後、二次会にて盃を、傾けさせていただいたことがあります。
それも、十年も前のこととなってしまい、懐かしく思い出されます。

さて、5月号は、こちらの方の作品に、舌を巻きました。



白き蝶ひらりヨットに変はりけり
鈴木杏

折り紙でしょうか。
折り紙と言わずに書けば、美しい幻視の世界そのもの。
折り紙でも、折り紙とは、言わないのよ。

その一方、

濠一面の落花かきわけ行くボート

「花筏」という季語があります。
俳人の作品世界は、季語とどのように向き合うか、季語との距離の取り方に、アイデンティティのほとんどが示されるといって、過言ではないでしょう。

季語たる「花筏」を知らなければ、凡作と見えるでしょうが、これは、「季語には寄りかかりません」という句でしょう。

さて、母の句。



おっかさまの句が、たいてい無印なのは、季語とどのように向き合うか、まだそこへ、勉強が至らないからでありましょう。

若い時間は、無傷に、身勝手に過ぎてゆくもの。

とゝ女さんが、「4月号巻頭者 雑詠鑑賞」に、投句・句会の世話役、舞九さんの句をひいて、お書きです。

「一病を笑ひ飛ばして花の下
吉松舞九

この齢になっては、無病なんてあり得ない。」

人それぞれ、病を得て、みずからの病は笑い飛ばしつつ、ながれゆく雛のごとく、ときに、見返りの菩薩ともなられるのではないでしょうか。

また近いうちに、感想を書かせてくださいませ。
皆様のご健詠、しかとお祈りしております。


辰巳泰子拝
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