大きなお屋敷の中に立派な米蔵があり、そこに二匹のネズミが住んでいました。
太ッチョネズミは何時も俵から米を引きずり出し腹いっぱい食べるのですが細ッチョネズミは太ッチョが意地悪くするので食べ残し程度しか食べられず太ることが出来ませんでした。しかし人の良い細ッチョネズミは自分が意地悪されている事に余り気にしませんでした。
ある日、 お屋敷の主人は米がネズミに食べられている事に気づき猫の「トラ」を蔵にほりこみ、「お前も食べてばかりおらず猫らしくネズミでも捕れ」と云って出ていきました。お腹のふくれているトラは二日ほど蔵で寝ていましたがだんだんお腹も空いて何故か腹立たしくなってきました。するとネズミが二匹、俵から米を出して食べているではありませんか。トラは腹が立っていたのでネズミを猛烈に追いかけましたが、細ッチョネズミは素早く穴から逃げ出したのですが太ッチョネズミは太り過ぎているので穴に首を突っ込んだまま動けません。人の良い細ッチョネズミは何とか太ッチョネズミを助けようと思いましたがどうすればよいか判りません。フト、細ッチョネズミはヒラメキを感じ、思いきり太ッチョネズミの鼻頭に噛みつきました。ビックリしたのは太ッチョです、しかしそのお陰で首が抜けました。
首の抜けた太ッチョネズミは蔵の床にひっくり返りましたが今度は目の前にトラ猫が睨みつけているので又またビックリです。我を忘れた太ッチョネズミは思いきりトラの鼻頭に噛付きました。まさかネズミに噛付かれる思わなかったトラはもんどりうって逃げ出しました。
丁度その時、蔵の戸が開いてお屋敷の主人が入ってきました。何を思ったのかトラは主人の足に思いきり噛みつきました。主人はビックリです「痛い、バカ野郎、役立たずの猫め」とトラにば声を浴びせましたがトラは一目散に逃げた行きました。
その後の二匹のネズミたちは
細ッチヨネズミ 「太ッチョのお陰で穴からスムースに逃げられて助かったよ」と感謝です。
太ッチヨネズミ 「細ッチヨのお陰で首が抜けて助かったよ」と感謝です。
その後も太ッチヨネズミは腹いっぱい蔵の米を食べ、細ッチョネズミは太ッチョの食べ残しの米を食べて仲良く暮らした。