ニュールンベルク裁判の基本法である国際軍事裁判所憲章で初めて規定された
「人道に対する罪」
が南京事件について適用されたと誤解されている方が少なくないと思います。
南京事件について連合国は交戦法違反として問責し、訴因のうち第二類「殺人」(訴因45-50)で扱われました。
国際軍事裁判所条例とも呼ばれロンドン憲章またはニュルンベルク憲章とも呼ばれる上記の罪の他「平和に対する罪」も規定されています。
人道に対する罪とは国家もしくは集団によって一般の国民に対してなされた謀殺、絶滅を目的とした大量殺人、奴隷化、追放その他の非人道的行為」と規定される犯罪概念であり、
平和に対する罪とは不法に戦争を起こす行為のことをいいます。
東京裁判では平和に対する罪はa項と規定され、これに問われた戦争犯罪人はA級戦犯と呼ばれており、人道に対する罪はドイツと違い日本では使われる事がなかった訳です。
つまり、ドイツではユダヤ人虐殺が行われたが、南京事件はそれと明らかに異質である事が、同じ特殊な裁判(事後法)で証明されていることとなり、日本軍による大虐殺はなかったと東京裁判自体が認めている事になる訳です。
南京事件に関して、中国が人数にしか触れないのはそれが人数の問題ではないからに他なりません。
要するに東京裁判の認める殺人は確実に存在した訳ですから、それが戦闘行為によるものなのか、一般市民を虐殺したかのディテールは初めから必要が無い訳です。
ですから30万人であろうが40万人であろうが、初めから数を問題にしてはいないということで、あったのか、無かったのかが東京裁判によって確定している訳ですから初めから議論せずとも歴史戦として日本を相手にせずに、戦勝国や国連を相手にロビー活動をするだけ、記念館を作り記憶に刻むだけで良いのです。
パル判事の言葉
「東京裁判の影響は原爆の被害より甚大だ」
の言葉が思い出されますが、あれは碑文の過ちの主語が日本人となっていることからの言葉でした。
ここでは中国のプロパガンダを日本人が広めてしまうという村上春樹に対しての絶望感として引用しました。