天津神を「天神」天照大神などがいる高天原の神のことをさし、国津神を「地祇」(ちぎ)国土を治めていたとされる土着の神と言い、併せて「天神地祇」と呼びこの神に五穀の新穀を勧め、天皇陛下自らも食し収穫に感謝する宮中祭祀である。
宮中三殿の奥にある神嘉殿で執り行われ
「夕の儀」は午後6時から
「暁の儀」は午後11時から2時間に渡って行われる。
天皇陛下ご自身が柏の葉の皿に神饌を移し天神地祇に供える御親供。
さらに御拝禮され、天皇の祖先へ御告文を奏上。
神々に捧げられた供物と同じ米と粟との御飯、御酒を食される御直會の儀(おんなおらいのぎ)。
2時間も板の間に座布団も敷かず正座して行うため
高齢と御病気も考慮されお身体に負担とならぬように暁の儀がなくなり夕の儀のみとなった。
新嘗祭の前日22日に天皇の鎮魂を行う儀式、鎮魂祭がある。みたましずめのまつりとも言われ宮中三殿に近い綾綺殿にて行われ、新嘗祭という重大な祭事に臨む天皇の霊を強化する為でもあり、天皇の鎮魂が行われる。だから陛下のお出ましは無い。
初代神武天皇の時に物部氏の祖、宇摩志麻治命(うましまじのみこと)が十種(とくさ)の神宝を以って、天皇の鎮魂をしたのが始まりであり、掌典職という宮中祭祀を担当する部門によって綾綺殿に祭場を設け、玉体の守護神である神々を迎え掌典長以下が祭儀を奉仕し、神饌を供え鎮魂の儀式が行われる。これは陛下の霊力を鎮め、翌日の新嘗祭に備えるための儀式である。
このようにして執り行われる新嘗祭が如何に重要な祭祀であるかが伺え、伊勢神宮には勅使参向される。
平成23年の宮内庁の発表
『今般,皇室医務主管より,専門医からの報告として,本年2月に行ったご検査の結果判明した冠動脈の狭窄状況により,陛下が,長時間にわたってお祀りを行われることには,様々なリスクがあるとの指摘があった旨連絡がありました。このため,今年からは,そのリスクを少しでも軽減するという観点から,新嘗祭における陛下の神嘉殿へのお出ましの時間を短縮し,夕の儀も暁の儀と同様,儀式の半ばより出御され,また,両儀式とも,皇族及び諸員による拝礼前にご退出されることをお願い致しました。ちなみに,昭和天皇は,69歳になられた昭和45年,新嘗祭の暁の儀へのお出ましを取り止められ,夕の儀だけにお出ましになりましたが,翌46年,70歳になられてからは,その夕の儀においても時間を短縮され,儀式の半ばから出御され,早めにご退出しておられました。なお,今般医師からは,陛下のご年齢に鑑み,陛下にも,この時からの昭和天皇の御拝と同様に遊ばして頂きたく願い上げましたが,やはり夕,暁ともに遊ばすとの仰せがあり,両儀式を上記のような出御,ご退出によって遊ばして頂くようお願い致しました。』
平成23年11月1日:宮内庁
『天皇陛下には,ご病状に関する皇室医務主管および東大病院の担当医師の判断に沿い,来週に予定されている新嘗祭へのお出ましを差し控えられることになりました。
なお,皇太子殿下は,夕の儀及び暁の儀の両儀式とも,儀式の半ば過ぎに,拝礼のために参進され,皇族及び諸員による拝礼の前に退出なさいます。』
平成23年11月18日:宮内庁