日本台湾平和基金会の西田健次郎理事長をはじめ、理事の皆さま、そして会場にお集まりのご来賓の皆さま、こんにちは。本日、私はこの平和祈念公園において、戦争に倒れた台湾の人々を追悼し、皆さまとともに歴史を共有するために参りました。
まずはこの、戦争で犠牲になった台湾の人々を慰霊する記念碑を建立した日本台湾平和基金会と、それを支持してくださった多くの方々に、ひとりの台湾人として改めて感謝を申し上げたいと思います。
戦争とは恐ろしく、かつ無情なものであります。多くの尊い命がその犠牲となって失われました。
1945年2月、沖縄戦が始まる直前のことです。台湾の基隆などから900トンもの台湾米が沖縄へ運び込まれ、県民へと配給されました。それによって、多くの命が生きながらえたとも聞きます。
戦争の犠牲者として平和の礎に刻まれた、34人の台湾人のなかには、もしかしたらこの食料の配給業務に携わりながら命を落とした人がいたかもしれません。
台湾人たる私は台湾を愛し、わが人生を、台湾のためにささげるつもりでやってまいりました。
私の人生においては、戦争によって数多くの困難にぶつかることもありました。また、戦争は、生きるために、いかにして積極的に生命に向き合うかということを学ぶ契機ともなりました。
「人間は歴史から学ぶ」と言われます。人類の偉大さは、その学習能力にあるのかもしれません。つまり先人たちの行いは、私たちが、いかにして生きるべきか、道すじを示唆してくれています。先人たちは命を以て、私たちに歴史を指し示してくれているのです。
また同時に、私たち後世の人間は、先人たちが示してくれた道すじと教訓によって、学び、選択することができます。
これこそ、私がこの慰霊碑に揮毫した「為国作見証」の意義なのです。
平和、自由、民主主義は、人類をよりいっそう、かつ永遠に偉大なものとするでしょう。願わくば、私たちもまた命の尊さを以て、人間の生きる道を示すとともに、平和、自由、民主主義が後世にまで継続するよう願ってやみません。
これで私のあいさつといたします。ありがとうございました。