大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

トランプ大統領、ふたたび発言を修正: 衝突の両側に責任があると発言

2017年08月16日 | 日記

 2017年8月15日(火)、ニューヨークにある自宅トランプタワーに戻ったトランプ大統領はふたたび発言を修正し、ヴァージニア州シャーロッツビル市で生じた大規模な衝突について、白人至上主義者とともに抗議側を非難する発言をおこなった。

 トランプ氏のおもな発言は次のとおり。

 「私は両側に責任があると思う」

 「アルト・ライト(アルタナティブ・ライト=極右がイメージアップのため作った自分たちの名称)が手にクラブを持って振り回していたとして、それが何か問題なのか?」(以上:2017/8/16 Financial Times) 

 「私はネオナチを批判した。私はいろいろなグループを批判したが、それが全部ネオナチ、白人至上主義者というわけではない

 「(抗議側は)暴力的にほかのグループを攻撃した」(以上:2017/8/15 New York Times

 トランプ大統領が月曜日に白人至上主義者たちだけを名指しで批判したことに対しては、インターネット掲示板ブレイトバートで強い批判が巻き起こっている。

 発言修正は、こうした批判も影響したのかもしれない。

 トランプ大統領は、FOXニュースやブレイトバートに載った独自ニュースをよくツイッターで取り上げており、それらのメディアをよく見ている。

 トランプ大統領の今回の発言修正には、すぐさま強い批判が巻き起こっている。


トランプ大統領、世論の高まり受け、白人至上主義者を名指しで批判

2017年08月15日 | 日記

 ヴァージニア州シャーロッツビル市で白人至上主義者とそれに抗議する人々の間で大きな衝突が発生。

 トランプ大統領は世論の大きな批判をうけ、2017年8月14日(月)になってようやく「KKK、ネオナチ、白人至上主義者」を名指しして批判した。

 事件発生後、トランプ氏は白人至上主義者を名指して批判することをせず、喧嘩両成敗のような立場をとり共和党内からも批判を受けていた。

 インターネット掲示板ブレイトバートでは、抗議側の暴力がなぜ問題にならないのかというメディア批判が巻き起こっているが、その一方で、もう(弱腰の)トランプ氏は支持しないという意見も多く書き込まれており、ブレイトバートにどのような人たちが集まっているか示していて興味深い。


ヴァージニア州シャーロッツビル市における白人至上主義者とその反対者との衝突: トランプ大統領が名指しで批判しないことに共和党からも批判

2017年08月14日 | 日記

 この週末、アメリカのメディアの注目をもっとも集めたのはヴァージニア州シャーロッツビル市における白人至上主義者とその反対者との衝突であった。

<背景>

 アメリカ南部ではこの数年、南北戦争の南軍旗(奴隷制を維持するためアメリカから独立を宣言した南部連合の旗)や南軍司令官リー将軍の銅像を公の場から撤去しようとする動きが大きくなっている。(映画ミシシッピー・バーニングニュートンナイトを見ると背景がわかります)

 今回衝突がおこったシャーロッツビル市でも、2016年に高校生がリー公園(2016年6月に解放公園に名称変更)にあるリー将軍像の撤去を求める署名を集めるなどの運動がおこり、2017年2月に市議会は3対2で銅像の撤去を決定した。

 しかしそのような動きへの反対も強く、2017年3月には反対派が銅像撤去の権限がないと市を訴え、現在裁判が続いている(銅像撤去は中断)。(NYT 2017/8/13

 こうした中、2017年8月13日(日)、白人至上主義者(white supremacists)とか白人国家主義者(white nationalists)と呼ばれる人たち数百人が銅像撤去に反対してシャーロッツビル市に結集。それに反対する人たちとの衝突が発生した。

 州知事が戒厳令を発する中、白人至上主義者とみられる男性が車で反対派の人々の間に突入し32歳の女性が死亡、十数人が重軽傷をおった。

<トランプ大統領の対応>

 こうした事態に、共和党の重鎮(ルビオ氏や保守強硬派テッド・クルーズ氏など)から白人至上主義者を名指しして批判する発言があいついだ。

 しかしトランプ大統領は白人至上主義者を名指しすることを避け、さまざまな立場にある者の暴力や社会の混乱を批判するとの内容のコメントを繰り返し、共和党内からも批判が出ている。

 ちなみにトランプ氏の大きな支持基盤となっているインターネット掲示板ブレイトバートをみると、今回の社会的混乱について白人至上主義者を批判するコメントは少数で、むしろ白人至上主義者たちの表現の自由が(反対派やメディア、行政によって)奪われたと憤慨するコメントが圧倒的に多い。

 今回の事件で、あらためてアメリカにおける人種対立の深刻さを思い知らされた。


アメリカの7月の物価は前年比1.73%の上昇: エネルギー上昇するも携帯、中古車が足を引っ張る

2017年08月12日 | 日記

 2017年8月11日(金)、アメリカの7月の消費者物価(CPI-U)が前年比1.73%の上昇と発表された。

 変動の激しいエネルギー・食品を除いたコアCPI-Uは1.69%

 前年比で上昇が目立つのはエネルギーの3.4%(物価を0.25%引き上げ)や医薬品、家賃など。

 反対に前年比で下落が目立つのは中古車の-4.1%(物価を0.08%引き下げ)、携帯通話料の-13.3%(物価を0.20%引き下げ)など。

 前にも書いたように、携帯料金の値下げの影響は来年の2-3月ごろまで続く見込みで、それまでは物価のおおきな下押し要因になりそう。

 先ごろ発表した論文で詳しい説明をしているが、CPI-UとFOMCが利上げの判断として重視するPCEは基本的に同じ動きをすることがわかっており、次に発表されるPCEも軟調なものになるとみられる。

 軟調な物価にくわえ、9月末までに米議会が債務上限の引き上げを可決しないと、米国債の利払い停止(デフォルト)、政府機関の一部閉鎖などが発生し、米経済に大きなダメージを与えることも懸念される。

 9月19-20日に予定されているFOMC会合の判断が注目される。


トランプ大統領、共和党支持者の支持率低下

2017年08月10日 | 日記

 2017年8月7日、IBD/TIPPによる世論調査でトランプ氏の支持率が32%を記録した。

 ところで、これまでの世論調査では全体の支持率が低下しても、共和党支持者にかぎれば支持率は8割前後でほとんど変化がないことに大きな特徴があったが、それが今回崩れた。

 同調査によると、7月から8月にかけて共和党支持者のトランプ氏支持率は83%から71%に12%低下した。

 同調査はそのほかに、トランプ氏の支持層である白人男性、高卒者などで同じように7月から8月にかけて大きく支持率が低下したことを明らかにしている。

 同調査は、大統領選挙でトランプ氏の当選を予想できた数少ない世論調査のひとつ。