ただ今、工房は夏休み中。
たまっていた土の再生を始めています。
乾いて固くなってしまった物を水につけて柔らかく戻し、アーチ形にして練り直します。
手を動かしながらアーチ形の粘土を見ていたら、やきものを始めた頃を思い出しました・・・・・
轆轤の習い始めは、練習をしてはまた土に戻す・・という繰り返し。
夕方、工房には何人かの作ったアーチが並んでいました。
ある時、師匠がつぶやきました。
アーチも人それぞれだな・・・
性格が出てるってことですか?
いや、それもあるけど・・・
???どういうアーチが良いんですか?
良く見てごらん、みんなアーチ形にはなっているけど、それは何のため?
均一に乾かすため・・・
柔らかい粘土をまとめると、手にくっついて角みたいなものが飛び出るだろ
それをそのままにしておくと、その先端だけが乾いて固くなる。均一に乾かない
・・・なるほど、気が付きませんでした。教えてくれれば、みんなそうしますよ。
言わなくても、できてる人もいるからな
この時、未熟な私は、
教えてくれたっていいじゃん・・まぁ、何事も聞かなきゃ教えないってことか・・
と思ったものでした。
でも今は、師匠が本当に言いたかった事が分かる気がします。
物作りにとって大切なこと。それは観察する眼。
単純な土のしまつの時も、自分のやり方と他人のやり方は違うのか・・
その作業の意味は何なのか・・
良い結果を生むためには何が必要なのか?
色々な場面で、色々な角度で、ただ見るだけでなく観察する眼を持つこと。
その癖をもつこと。
それが良い作品を生み出す審美眼にも通じる
多くは語らない師匠の教えが、ようやく私に届いてきたようです。
大切なことほど、言われた時には、その本当の意味を理解できない事があります。
上っ面の意味だけで判断したりして・・・
う~ん、まだまだ修行はこれからかな。