ご存知N•サイモンの名作をミュージカル化した作品。音楽は「コーラスライン」のマーヴィン•ハムリッシュだが、正直、それほど魅力を感じない。ただ、ラスト近く主人公の男が、また捨てられてしまうのではないかと怖れる娘のために、歌った曲は良かった。物語は、とことん男運のないシングルマザーの前に、また、新たな男がら現れ、ついに幸せを掴むというもの。ただ、ラスト、どうしてこのヒロインが、また捨てられると思うかは、過去のトラウマがあるとはいえ、イマイチわからない。とはいえ、サイモン作品らしい洒落たセリフが随所に飛び交い、お芝居は楽しいものに仕上がっている。そして、何より私が、この芝居で、一番心惹かれたのは、ヒロインの11才の娘。こまっしゃくれているが、過去の経験から、いつ愛する人がいなくなってしまうかを心配してばかりいる少女が、実に健気で心を打つ。