最近ブナは、トイレではない場所で排便してしまうことがある。ほんの短い距離なのに、我慢できないのだろうか。
昨日も散歩から帰って部屋の鍵を開けている最中にしてしまった。マンション内の廊下で、だ。ブナがしゃがみこんだので、私は慌てて脇に抱えていた新聞をブナの下に置いた。
昨年くらいまでは家のトイレでちゃんと用を済ますことができたのに。
そんなブナを、つい14歳のときのトチと比べてしまう。
トチは最期まで粗相をしなかった。トチは耳が聞こえなくなっても、泰然としていた。不安がってウロウロしなかった。トチは、トチは……。
トチと比べてしまうのは、ブナがトチの子だから?
でもね、って考えてみる。
ブナの感じ方、考え方、飼い主との関係は、トチのそれとは違うのだ。個性が違うのだもの、比べてはブナが可哀想だ。ブナはブナだから。ブナにはブナの老い方がある。
トチもブナも、みんな私のかけがえのない相棒なんだもの。
クリだって、そう。クリにはクリの老い方がある。ハアハア息を切らしながらも、私を見上げながら一生懸命私に付いて歩こうとするじゃない。両足が踏ん張れなくなって、前歯が欠けてしまっても。
どんな状態になっても、愛せる。どんな状態になっても、ぜんぶ、ぜ~んぶしっかり受け容れていける。そう思える存在がいることだけでも、私は幸せ者だと思う。