2月29日の東京新聞に、埼玉県深谷市の江戸時代中期から2002年まで続いていた「旧七ツ梅酒造」の敷地の一角に、古本屋がオープンする予定であるという記事が掲載されていた。運営するのは市民の有志でつくられた一般社団法人「まち遺し深谷」のメンバーで、市民から無償で提供してもらった古本を売上を活動資金に充て、深谷の文化遺産でもあるこの老舗酒蔵の建造物を利用しながら保存していくという。
「円の庭」は古い蔵を活用しているだけでなく、読書用テーブルや本棚に酒樽の丸いふたを利用している。店内には自分が所有する本に値段を付けて売ることができるコーナーや、オリジナルの本を製本できるコーナーを設けてあるそうだ。
記事には、3月17日のオープンに向けて、本の提供を募っていると書いてあった。
「円の庭」http://ennoniwa.machinokoshifukaya.com/index.html
ちょうど本棚をもう一棹買うべきか、思い切ってある程度本を処分するべきか、思案していたところだったので、少しでも文化財の保存のために役立ててもらえるなら、「円の庭」に提供しようと思い、さっそく電話をかけてみた。
対応してくれたのは、記事にも載っていた法人役員の入江さんだった。入江さんは元編集者だそうで、いわば同業者である。公序良俗に反しない限り、本のジャンルや古さは問わないということだった。
そこで仕事の合間を縫って、本棚から、ただ本棚の飾りになってしまっている全集や資料として使った実用書、専門書籍、文庫本などを引っ張り出して、ダンボール4箱ほど送ったのであった。