小さな栗の木の下で

保護犬のミニチュア・ダックスを引き取り、
小型犬との暮らしは初めて!という生活の中で、感じたことを徒然に…。

老舗酒蔵跡にできた古本屋「円の庭」その2

2012-03-23 | 

 深谷市の「旧七ツ梅酒造」の蔵を使った古本屋「円の庭」がオープンして間もなく、「まち遺し深谷」の入江さんから本を提供した人に宛てたお礼状が届いた。

 私はそれを読みながら、今はもうなくなってしまった生まれ育った町の小さな本屋さんを懐かしみ、また足繁く通った大好きな神田神保町の古本屋街に思いを馳せた。
 入江さんに許可をいただき、ここにお礼状の全文を記しておきたいと思います。

拝復
 このたびは「円の庭」に貴重な本を寄贈していただき、誠にありがとうございました。おかげさまで、古本屋「円の庭」を開くことができました。開店のご報告とともに寄贈の御礼を申し上げる次第です。

 「円の庭」を開いたことによって、これまで見えなかったものが、見えるようになりました。そのひとつは、「本」を大切にしている人がこれほどいたのかということです(大型リサイクルショップに二束三文で売るくらいなら、とおっしゃる方が多くいらっしゃいます)。

 もうひとつは、「本」を通して人と人とが繋がりはじめたということです。この驚きと実感をお伝えできればよいのですが、すでに1000冊以上の本が集まり、20人のマイ古本屋さんが開店したことで、お分かりいただけるでしょう。

 「本」とは何でしょう--。
 インターネットで本を買えることはとても手軽です。また電子書籍はとても便利です。
 その一方で、街角から小さな本屋さんが消えつつあります。その結果はいずれ明らかになるでしょう。つまり、人が見えなくなるのです。

 こうした時代の潮流に抗うために「円の庭」はあります。というのも「本」は商品である前に、そしてテキストである前に、重み・手触り・匂いといった感性的な存在であり、人から人へ伝えられていくものだからです。

 すぐに役立たないように見えても、あなたから寄贈していただいたどれか一冊か二冊が、見知らぬ人の手に渡って、いつかその人の心を豊かにしてくれれば、そこはまさに「縁の庭」といえるでしょう。あなたの願いとともに「円の庭」もそれを願っております。
 まずは略儀ながら書中にてお礼申し上げます。              敬具


 私は新聞の書評欄や図書広告を見て、興味深いものは切り抜いておき、後日注文することが多いのだが(もうあまり本屋さんに足を運ばず、すぐamazonにアクセスしてしまう。町の本屋さん、ごめんなさい)、まだ手に入れていないけれど、買う予定リストの中に、装丁家、桂川潤さんの著書で『本は物である(本はモノである)―装丁という仕事』(新曜社刊)がある。


 この本の解説には、次のように書いてあった。
「◆「本」は生き残れるか?◆
 紙やインキといった「身体性」を失った電子ブック=情報だけのテキストは、はたして本といえるのか? 活字や活版印刷が消滅したように、紙の本は消えてしまうのか? 
 出版や装丁の歴史からデザイン・製作の基礎知識、装丁の実際までを懇切丁寧に解説しながら、「電子時代だからこそ、リアルな生を取り戻すことが求められているのでは」と「物である本」の意味を問いかけます。
 専門的なデザイン教育なしにブックデザインの世界に飛び込み、いまや一人で年間二〇〇点もの装丁を手がける著者による初めての装丁論・仕事論にして出版文化論。」

 「円の庭」からのお便りを読んで、ふと桂川さんの著書を思い出した。注文しようっと。amazonで?! ううむ。

コメント (1)
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