犬鉤虫は1~2センチくらいの線虫で、感染犬の糞の中にいた卵から幼虫が生まれ、それが経口感染によって感染することが多いのだが、なんとその幼虫が皮膚を食い破って、体内に侵入する場合もあるそうだ。ひえ~っ!
いつものように先生は、私に図鑑を見せながら説明してくれた。幼虫は湿気のある草むらなどにも、生息しているらしい。鉤虫のライフサイクルを示した図に、そんな絵が描かれていた。
鉤虫は小腸の粘膜に噛み付いて、吸血しながら繁殖するので、大量に鉤虫がいる犬は貧血を起こしたり、腸炎や栄養不良を起こしたりするという。
「カヤちゃんの場合、卵が1個見つかっただけなので、今のうちに駆虫すれば、大事には至らないと思うのですが」とおっしゃる。が、しかし、何かイヤな予感。
「先生、鉤虫は人にも感染しますか?」と聞くと、またまたなんと、幼虫は人にも食いつくというではないか! 「ただ食いついて皮膚から侵入しても、人の体内ではそうそう生存できませんよ」、「ご安心を」といった表情で言う。
しかし、いろいろな犬たちがやってくる河川敷の草むらにもよく行っていたから、私だって食いつかれていたかもしれない。食いつかれると赤いポッチになって、痒いらしい。何に噛まれたか分からない赤いポッチなんて、いくらでもあったよと思い返す。
私の質問もどんどんエスカレートしていく。
「幼虫が湿度の高い草むらとか土中にもいるということなら、庭にも生息しうるということですね。私も食いつかれていたかもしれませんね。食いつかれたまま、私が家に入ったのであれば、うちの中にもいるってことかしら」と私が聞くと、「こういう話をするとイヤがる飼い主さんも多いのですが」と先生。私だってイヤだけど、対策を練っておかなくちゃいけないもの。
幼虫は外界でも生きていけるのだ。ただし高温、低温と乾燥には弱いし、アルコール消毒で死滅できるという。四角い部屋を丸く掃くようなことをしていては、いかんと激しく思った。心を入れ替えて、清潔な室内維持に努めなくては!
私自身はかような心構えで臨むことになり、カヤには駆虫薬を投与することになった。まず第1回目の投与後、卵が孵る時期を見計らい、第2回目を投与する計画である。
ちなみに、鉤虫は宿主をきちんと分けており、犬鉤虫は人には食いつくくせに、猫には感染しないそうだ。どんなに小さな生き物でも、その営みに多様性があって、本当に不思議。
長年犬を飼ってきて、ここへきて寄生虫の心配をするなんて……。ちょっと可笑しくなって、私が「いや~、真剣に寄生虫の話をするなんて、久しぶりですよ。昔、飼っていた猫の瓜実条虫の駆虫以来かなあ」と明るく言うと、先生もつられて、なぜかほがらかに「私も久しぶりですよ~」などと言ったのだった。
いつものように先生は、私に図鑑を見せながら説明してくれた。幼虫は湿気のある草むらなどにも、生息しているらしい。鉤虫のライフサイクルを示した図に、そんな絵が描かれていた。
鉤虫は小腸の粘膜に噛み付いて、吸血しながら繁殖するので、大量に鉤虫がいる犬は貧血を起こしたり、腸炎や栄養不良を起こしたりするという。
「カヤちゃんの場合、卵が1個見つかっただけなので、今のうちに駆虫すれば、大事には至らないと思うのですが」とおっしゃる。が、しかし、何かイヤな予感。
「先生、鉤虫は人にも感染しますか?」と聞くと、またまたなんと、幼虫は人にも食いつくというではないか! 「ただ食いついて皮膚から侵入しても、人の体内ではそうそう生存できませんよ」、「ご安心を」といった表情で言う。
しかし、いろいろな犬たちがやってくる河川敷の草むらにもよく行っていたから、私だって食いつかれていたかもしれない。食いつかれると赤いポッチになって、痒いらしい。何に噛まれたか分からない赤いポッチなんて、いくらでもあったよと思い返す。
私の質問もどんどんエスカレートしていく。
「幼虫が湿度の高い草むらとか土中にもいるということなら、庭にも生息しうるということですね。私も食いつかれていたかもしれませんね。食いつかれたまま、私が家に入ったのであれば、うちの中にもいるってことかしら」と私が聞くと、「こういう話をするとイヤがる飼い主さんも多いのですが」と先生。私だってイヤだけど、対策を練っておかなくちゃいけないもの。
幼虫は外界でも生きていけるのだ。ただし高温、低温と乾燥には弱いし、アルコール消毒で死滅できるという。四角い部屋を丸く掃くようなことをしていては、いかんと激しく思った。心を入れ替えて、清潔な室内維持に努めなくては!
私自身はかような心構えで臨むことになり、カヤには駆虫薬を投与することになった。まず第1回目の投与後、卵が孵る時期を見計らい、第2回目を投与する計画である。
ちなみに、鉤虫は宿主をきちんと分けており、犬鉤虫は人には食いつくくせに、猫には感染しないそうだ。どんなに小さな生き物でも、その営みに多様性があって、本当に不思議。
長年犬を飼ってきて、ここへきて寄生虫の心配をするなんて……。ちょっと可笑しくなって、私が「いや~、真剣に寄生虫の話をするなんて、久しぶりですよ。昔、飼っていた猫の瓜実条虫の駆虫以来かなあ」と明るく言うと、先生もつられて、なぜかほがらかに「私も久しぶりですよ~」などと言ったのだった。