十勝の活性化を考える会

     
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二人の画家

2020-07-01 05:00:00 | 投稿

 

北海道が生んだ二人の画家の紹介。一人は農民画家神田日勝(かんだにっしょう氏で、もう一人は、「湿原の画家」と呼ばれた佐々木栄松(ささきえいしょう氏である。

 

神田日勝は東京生まれで、8歳の時、戦火を逃れて一家で十勝管内鹿追町に入植、腎盂炎による敗血症で32歳で亡くなっている。

 

中学卒業後に農家を継ぎ、美術教育を受ける機会に恵まれなかった神田日勝だが、独学で絵画を学び、最後の完成作「室内風景」や描きかけで終わっている「馬」は、見る者に何かしらの緊張感や感動を与える。

 

道外での知名度は高くはないが、昨年のNHK連ドラ「なつぞら」で神田日勝をモデルとした画家「山田天陽」が人気を博し注目が集まって、「神田日勝記念美術館」には、開館以来になる5倍の入館者があったそうだ。

 

私は絵画を見たことはあるが、40歳になるまで感動をしたことがない。早く言えば、絵画を見る能力が無かったからである。

 

先日、JR帯広駅地下にあるギャラリーで、釧路から「道展」の絵を見にきていた老人がいたので、以下のとおりそっと聞いてみた。

 

「この絵の意味するところが、よく分かりません」と。するとその老人は、「絵画には、画家の思い(思想)が必ずあるので、その点に注意しながら見ると面白いですよ。」と。

それ以来、老人の言ったことに注意して絵画を見るようにしている。なお、神田日勝の兄の神田一明氏は、北海道教育大学の教授であった。

 

 

佐々木栄松は、2012年に98歳で亡くなっているが、彼の絵は「釧路湿原美術館」に所蔵されているが、1981年に描いた「湿原の秋」が、2016年に出版された中学1年生向け国語の教科書に載っている。

 

彼の奥さんと娘さんが、釧路空襲で亡くなっているので、神田日勝の絵と同じく、感動を覚え想像力を湧き立たせる作品である。

 

なお、佐々木栄松氏は、幻の魚であるイトウ釣りの名手として、釣り師の間では有名で、有名人がイトウ釣りに北海道へ行く際には、必ずといって良いくらいに佐々木画伯に案内を頼み、釣り方の手ほどきを受けたという。

 

「十勝の活性化を考える会」会長

 

注) 釧路湿原美術館

 

理事長ごあいさつ    釧路湿原美術館 理事長 髙野 範子

2012年1月11日、満98歳で生涯を閉じた「湿原の画家」、佐々木榮松画伯を晩年10年間お世話を致しました。対外的には法定代理人として、また個展の企画・開催を一任され、信頼をいただきました。
 更に命に関わる窮地を救い、先生から「命の恩人」と言われ、著作権を含む絵画・文学の全作品の相続を受け、遺志を継いで6月15日、皆様の寄付のご支援のもと、「特定非営利活動法人佐々木榮松記念釧路湿原美術館」を設立いたしました。
 釧路には宝があります。市街からすぐに雄大な国立公園に囲まれ、釧路湿原が悠々と存在しております。その湿原に野宿して自然の一部となって視えるもの、聴けるもの、臭うもの、味わうもの、触れるもの、この五感を研ぎ澄ませ、第六感までも持ち帰り、描いた佐々木榮松の絵も「釧路の宝」です。しかも、ただの絵ではありません。景色をそのまま写し取ったのではないのです。命あるものは生まれては死に、死んでは次の新しい命とつながる自然界の摂理や輪廻を美しく描いているのです。「命の描写」なのです。
 今、生きている私達には、いつか寿命を迎えます。「どう生きるのか、どう人生を全うするのか」、「何が大事なのか、何が美しいのか、何が素晴らしいのか。」この価値観を自然界から畏怖と畏敬の念を持って発見し描いた絵だからこそ学ぶことが出来るのです。
 是非、絵に会いに来てください。絵に囲まれた空間に立ってみてください。絵の前で自分自身の喜び、悲しみ、怒りと対話してみてください。何かが生まれます。心が鎮まり、また揺さぶられ高揚致します。
 この感動を多くの方々に、心豊かになれるよう、そして未来の子供達に観てもらえるよう繋ぎ、存続するために、理事・スタッフ一同日々頑張っております。「釧路湿原美術館は釧路の宝だ」と言われるようになっていきたいのです。名画に囲まれ、コンサート、トークショー、結婚式、夏祭り等、皆さんで作っていきたいのです。
 まだまだ可能性があります。どこにもない誇れる美術館になっていくよう、皆様のご支援をどうぞよろしくお願い致します。

(出典:釧路湿原美術館ホームページより)

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