十勝の活性化を考える会

     
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“現代のアイヌ〜民族移動のロマン~“

2020-12-05 05:00:00 | 投稿

  

菅原幸助著 “現代のアイヌ~民族移動のロマン~”の紹介。この本には、アイヌ民族の起源などについて書かれていたが、あとがきの一部分だけを載せよう。

 

『北海道に転勤してくる時、私はロマンチックなアイヌの伝説やエキゾチックで美しいアイヌの娘たちが住む湖畔のアイヌを連想して、この人たちに会うことを楽しみにしていた。ところが、任地に着いて、日高地方の観光地を回っているうち、私のアイヌに対する考えが、現実と全く違っていることを知った。

エキゾチックで美しいアイヌはいなかった。そこにあるのは広い北海道の片すみにひっそりと差別、偏見、劣等感に耐えて生きる姿だった。

 

アイヌとギリヤークの取材は、昭和三十七年三月から昭和四十一年八月まで、ひまをみつけては日高地方を中心に十勝、釧路、旭川、網走地方を歩いた。その一部はすでに朝日新聞で書いてきたが、今回は手元にある資料に加え新しく単行本にまとめてみた。

欧米人には文句なく頭を下げる日本の人たちが、自分たちの先祖ともいえる先住民族に対しては、おかしな態度をとっていないか。━━「現代のアイヌ」に理解を深め、その解決を望みたいからである。 (後略)』

 

この本に書いているアイヌの差別については、昨年「二風谷アイヌ資料館」の館長 萱野次郎氏(故萱野茂国会議員の次男)が、次のように語っていた。

「平取町二風谷では、アイヌの差別はありません。その理由は、ほとんどの人がアイヌだからです」と。

平取町二風谷は、人口約400人のアイヌコタンであるが、“アイヌ学入門”の著者 瀬川拓郎氏がアイヌ文化のことをニブタニ文化と名付けるほど、約8割りのアイヌが住むコタンである。

1994年の「北海道ウタリ生活実態調査」によれば、北海道に於けるアイヌ人口は約2万4千人で、そのうち日高と胆振支庁で約7割を占めている。差別とは、不当な理由によって区別することを意味し、特定の集団や属性に属する個人に対して、その属性を理由にして特別な扱いをする行為とされる。

 

だから、大多数の者や力のある者が少数者をイジメたりすることにも繋がっており、学校のイジメや会社のセクハラ、パワハラも同じである。平取町二風谷では、みんなが同じ思いで共生しているので、そのようなことが無いのであろう。

アメリカに見られるような黒人に対する人種差別、また身分差別、学歴差別、職業差別、階級差別、宗教差別、エイズ患者への差別、福島県人への差別、新型コロナ感染者への差別、性的少数者(LGBT)への差別、村八分差別、老人差別、思想差別など、差別には数えきれないほどある。

だが日本では、日本国憲法第14条において、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種信条性別社会身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と規定している。

この差別に関する学校のことであるが、昔は「学級崩壊」、今は「イジメ」である。私は教師ではないので、この違いがどのようなものかは分からないが、戦後の教育勅語ではないが、道徳観の欠如によるものだと思っている。また、モンスターのような親もいる。モンスターペアレントとは、学校などに対して自己中心的かつ理不尽な要求をする親をいうそうである。

ところで、奈良時代の西暦八百一年、桓武天皇が坂上田村麻呂を征夷大将軍に任命し「エミシ征討」を行なっているが、この頃の北海道はあまり知られていなく、「エミシ」(“荒ぶる人”の意)は、現在の東北地方を中心に広い範囲にいた人を指していた。

従って江戸時代までは、和人と共に東北地方にもアイヌが住んでおり、またアイヌ語の地名が、北海道から九州までのいたるところにある。なお、岩手県に住んでいる“アイヌ語地名から分かる日本史物語”の著者 菅原進氏によれば、DNA解析では、エミシはアイヌであると断定していた。

「十勝の活性化を考える会」会長

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