この企画は全日空が後援ということで、同社からの冊子かメルマガで知ったのですが、フェルメールセンターが出来た、という刷り込みがあり、ずっとやっているのか、と思っていました。
で、7月22日までと知って、銀座を訪れた次第。
い、意外と狭いんですねえ…
で、従前から本ブログではフェルメールの作品全紹介と、tokyoboyの個人的鑑賞履歴をお伝えしている位ですから、殆どの作品は知っている訳ですが、ここでなければ絶対に出来ない2点で楽しみました:
(1) こんなに近くで作品は見られない
(2) 全作品が横通しで見て行ったり来たり比較できるなんて不可能、
の当たり前の点。
でもねえ、以下、個々の作品に関するコメントの中で述べますが、これまで気が付かなかったことを数々”発見”しました。
今回の展示、並び順は概ね時代順のようです。
各作品の英語名、収蔵美術館などはこちらの記事をご覧下さい。
フラッシュ無しなら撮影OKということで、先ずは(ほぼ)全体像と気になる部分のアップを撮った来ました
1. マリアとマルタの家のキリスト
エディンバラの美術館収蔵ですが、08年の都美術館での企画展で見ています。
って、記憶にない…
比較的初期の頃、未だフェルメールっぽくないんでしょうね
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2. 聖女プラクセデス
この作品、tokyoboyとしては、フェルメールの、作品として知りませんでした。
アップのように、誰かの首を切って血を絞っている”聖女”。
これも、フェルメール的ではありません。
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3. ディアナとニンフたち
1.と同じ企画展で見ています。
でもねえ、やっぱり記憶にない…^^;
1655年までで、ここから以下のようにモチーフがガラッと変わります。
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4. 取り持ち女
完璧にシチュエーションが完全に盛り込まれた、なんですが、こんなの当時許されたのでしょうか?
「取り持ち女」は"The Procedure"というんですね…成程、手続きですか、間違いない!
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5. 眠る女
この画で特筆すべきはテーブルの上の静物。
瓶の下のカビまで物凄くディテールに拘っています。
これは今回のように近寄れないと気が付かない。
4.と一緒で未だオリジナルは見ていません…
というか、メトロポリタン所蔵ですから、見ていても不思議ではないのですが??
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6. 窓辺で手紙を読む女
実はここまで来て、やっぱり写真で記録しておこう、と思ったんです。
この画は2005年、西洋美術館で見た(筈)なのですが、こんなに凄い画だったのか
窓ガラスに彼女の姿が映っているのは、当時まったく気が付きませんでした…
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7. 小路
08年に都美術館で見ています。
でもねえ、この小品。
左下側、入口の中にお掃除かな、をしている女性を、今回くっきり認識しました。
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8. 兵士と笑う女
そして、窓のステンドグラス。
こんなディテールがよく見えるんです。
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9. 牛乳を注ぐ女
六本木で見た時こんなに小さかったのかなあ、と思いました。
兎に角、大変な人出だったんです
アップはパンの中に光の粒をフェルメールが埋め込んだ、ということで…
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10. 紳士とワインを飲む女、11. 二人の紳士と女
先ずは、これも恐らくは娼婦とその客、をモチーフにしているのでしょう。
最初の英文タイトルは、"The Glass of Wine"。
ベルリンにあるんですね…
そして、次、なんですが、 私、この絵の女性の表情、大好き!です…
何とも意味深で、フェルメールは時々この”芸”を出す、と全作並ぶと気が付きます
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間違いなく、絶品。
素晴らしい風景画。
特に雲、と手前左側に描かれた当時の人々
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13. 稽古の中断
こうやって並べると、作品No.8、10、11とこれ、同じ場所で背景の画とかを替えているだけ、と気が付きます。
恐らく、この4作品、基本的に女性を金で買おうとする紳士がモチーフです。
過去の履歴を見ても、この手の作品は好まれないのか、来日していません。
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14. 音楽の稽古
時の楽器とかを散らばめた画面構成…
この辺、如何にもフェルメールです。
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15. 青衣の女、16. 天秤を持つ女、
17. 真珠の首飾りの少女、18. 窓辺でリュートを弾く女、19. 窓辺で水差しを持つ女
敢えて、5品並べてみました。
ここまで、No.15から同じ場所で描かれた作品であることが分かります。
その時のフェルメール3作品では目玉だったのですが、確かNo.6
、”手紙”の方が上位と見ました…
地味、なんですよね
そして、真ん中、”真珠の首飾り”は2012夏、西洋美術館で本物を丁度拝見しました。
これで、この5作品、ベールを掛けていない3作品の実物を見たことになります。
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20. 真珠の耳飾りの少女
はい、当然ですが、凄いですよね…
こうやって他のフェルメールと並べて見ると、ある意味で、他と異なる作品、とよく分かります。
これだけ、背景、小道具、に凝る彼が背景を黒にした
目の輝き、その他、兎に角魅かれます。
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21. 合奏
この作品、”The Concert”は盗難中ですから絶対見られません…
これも盛り沢山の構成要素。
上と比べると全く違いますよね。
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22. 手紙を書く女
確か、人生で2回見ているか、と。
窓を画面から外して、でもそこから差し込む光を強く意識させる作品です。
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23. 絵画芸術
個人的にはこれが一番のお気に入り^^
ウィーンで、未だフェルメールを知らない時に見て、それ以来変わらない感想ですねえ
構成要素のバランス、少女の表情、無機質な画家…
グッと押し寄せてくる存在感、流石です。
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24. 赤い帽子の女、25. フルートを持つ女
この2点はフェルメールのものかどうか、議論があります。
確かにアップの仕方とからしくない、うん、特に25でしかねえ…
正直、この2作が一番魅かれない
同じ議論が終盤、出て来ます。
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26. 少女
”世界で一番有名な少女”と同じ構成。
そして、目の描き方が彼、と物語っています。
後は…
まあ、モデルさんの問題か、ちょっと”痛い”作品ですよねえ^^;
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27. 女と召使い、30. 恋文、32. 手紙を書く女と召使い
さて、ここからは主人と召使、3部作!
この作品、何気にかなり好きです。
2人の語るでもなく、でも何かメッセージをバンバン飛ばしている様子。
決定的な、そんなシーンだと思いませんか?
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この表情…
相当ビックリの女主人、それを見て取ったしたたかな女中…
何やら、江戸初期の大坂女がオランダに渡ったような、そんな馴染みのある表情
これも大好きです
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これは30と逆ですね。比較で並べてみました
主人は手紙に集中、女中は外の様子に気を取られて…
ここはその外を見る表情をどう読み取るか、です
これは東京と京都で2回見ています。
相当好きな作品であります。
さあ、この比較、如何でしたか?
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28. 天文学者、29. 地理学者
これも並べてしまいました…
まあ、モチーフは同じ、並べて見るのも一興でしょう
28の地球儀が29では家具の上に片付けられています。
モデルも同じかな?
アップは、天文学者から、ですが、牛乳女のパン同様、フェルメールの”光の粒”をここでも発見したからです。
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31. レースを編む女
これも、本物を見た時はこんなに小さいと記憶していませんでした…
あの時、新国立は大騒ぎ。
何重にもこの作品の回りを人が囲み、じっくり見られなかったのですが、今回使われている糸の色の美しさに改めて感心しました
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33. 信仰の寓意
何が”寓意”かと見取ろうと思って、女の足元を…
写真、両方ともボケてしまった
地球儀の様な玉とかそういった、何らかを象徴しているものをキリストあの十字架像の前で、酔った感じの女が踏み付けているのです??
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34. ギターを弾く女、35. ヴァージナルの前に立つ女、36. ヴァージナルの前に座る女
さて、ここでも更なる連作での紹介。
これもバックは同じに見えます。
楽器の位置とか、反対の場合もありますが、でもまあ、取り合えずまとめてで…
最初の2つは既に見ています。
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37. ヴァージナルの前に座る若い女
都美術館で見た時はそんな情報知らずに、ふむふむと拝見しました。
でも、こうやって一同に会すると、多分真作かな、って思えます…
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以上、まあ勝手に言いたい放題ですが、現時点でのtokyoboyのフェルメールへの思いを書き連ねました。
さあ、首飾りを拝見したから、次は「耳飾り」だ