<川は流れる>

Reiの好きなこと、ここだけの話

32年を経た由比ガ浜

2008年10月14日 |  ブログ
32年前の私は、東京で一人暮らしをしていた。
人間は何故こんなにも孤独なのか、と毎日苦悶していた時期だった。
ふと、海を見にいこうと思い立ち、鎌倉を訪れた。緑深い鎌倉はとても好きな場所だった。
あの日の事はとてもよく覚えている。着ていた洋服も覚えている。せいっぱい背伸びしておとなっぽくしていたような気がする。
大仏様に会いにいき、そこの境内のベンチに腰を下ろし、本を読んでいた。その当時はまだまだ人も少なく、閑静で緑に包まれてとても気持ちがよかったのだ。
と、そこにいきなり外国人が話しかけてきた。それも背の高い黒人だった。
私はただただびっくりして「I can't speak Engrish」とだけ言って逃げた。
外国人に話しかけられたもの初めてなら、黒人を間近で見たのも初めてだ。
とってくわれる的な恐さはなかったが、とにかくナンパだと思ったからだ。
それから由比ガ浜に向かった。
まだ海はシーズン前で静かで誰もいなかった。ひとりぽつんと海をみながら潮風に吹かれていると、家にいるときよりも強い孤独が襲ってきた。


あれから32年経った。由比ガ浜の海は汚れていた。
海のスポーツはシーズンオフなどなくなり、たくさんの人がいる。観光客があふれている。浜でバーベキューをしている人もいた。
波打ち際にはたくさんの細かなごみが打ち寄せられ、
ゴミを捨てる人、ゴミを拾う人、海を汚すさまざまなこと・・・そういうことを考えながら海を見ていた。
あっというまの短い時間の中で、こうも海は変わってしまったのか。
私の見ていた鎌倉はどこに行ってしまったんだろう。どこを見ても人だらけで、鎌倉のよさをどこに感じているのだろう。
電車の中で、高齢の女性が、連れの人に話しかけているのが聞こえた。
「こんなにたくさんの人がいて、みんなこれで鎌倉のよさを感じることができるのかな」

鎌倉は都内から近い。すぐにいける観光スポットだ。人気があるのは当然だ。
だけどなんで、こんなにも変わってしまったのかな・・・・。

32年ぶりの由比ガ浜には懐かしさを感じに来たはずだった。
あの若く孤独な日々をいとおしく思い出すのかな、と思っていた。

けれど私はがっかりなどしていない。それが、現実で、現実を受け入れる大人になったからだ。だから又いつかもう一度鎌倉をおとずれ、又海を見たい。

その時は、今よりももっと大人になっているはずだから。

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