<川は流れる>

Reiの好きなこと、ここだけの話

「貧民倶楽部」

2008年08月29日 | ジュリー演劇



Img064_4                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  



ジュリー38歳。



蜷川幸雄51歳の作品である。



ジュリーはこの舞台で二度目の蜷川演出だった。



惜しくも「唐版 滝の白糸」は観る事ができないが、



この「貧民倶楽部」はかろうじてTV放映が一度あったそうだ。



なので、映像は残っていることになる。                                                            



蜷川さんは、ジュリーに「大声を出せ、声を張れ」と言い続ける演出だったようだ。



大劇場では、マイクを通さない声も客席の隅々まで響き、滑舌のよさも必要だ。



舞台の基礎はここで徹底的に叩き込まれたに違いない。





ジュリーの声はとてもよく通る。



どんな舞台俳優にも劣らない。



そして他を圧倒する存在感。



これは浅丘ルリ子主演、出演シーンの少ないジュリーではあるが、強烈な印象を残している。





ちょうど「女神」でおなじみの



ソバージュヘアのときだ。



ワンレグにたらしたカールした髪から覗く



はっとするほど美しい瞳。                                                     



この作品の音楽は宇崎竜童だ。





作品の最後に歌われる「シャングリラ」は名曲だが、音源は残っていないのかもしれない。とても残念である。





お話は泉鏡花の「貧民倶楽部」と「黒百合」が原作だ。





「お丹」は、幼い「瀧太郎」を自分の弟のように面倒をみながら、秘かに愛してしまう。



やがて、「お雪」という女性を救いたい一心から、「お丹」に頼んではいけない頼みごとをしてしまった「瀧太郎」は、



いたたまれず「お丹」の前から姿を消してしまう。



7年後に再会した「お丹」と「瀧太郎」



どれほどお互いに愛していたかを痛切に想い出す。



しかし、貴族の落とし胤である「瀧太郎」を、「お丹」はお金に身を売った不甲斐ない若者となじる。



「お丹」はそんな「瀧太郎」に、



命をかけて夢を追おう、と持ちかける。



「瀧太郎」は「お丹」への愛の証と男の意地をかけて、夢の黒百合を求めて旅立つ、







ざっとこういう内容だが、



とても暗い舞台だ。



アングラ的な匂いがする。



そこにぱっと色彩が放たれる、それが浅丘ルリ子だ。



あでやかな風貌に、美しい衣装を身にまとった浅丘ルリ子は



本物の女優だ。



そしてその華を照らす、静かな月の光がジュリーだ。                                                     



Dscf0598_2





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«  コンサートDVD | トップ |  「男はつらいよ」花も嵐も寅... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ジュリー演劇」カテゴリの最新記事