今更ね・・・。
20~30年前の話を読み返してもアレなんだけど、書店に置いてあって
手に取ったらちょっと面白くて・・・。
個人的には新日本プロレスが一番好きで、UWFは新日ファンからすれば
目の上のたん瘤と言うかね、UWFが話題になればなるほど新日のプロレスは
色あせていくというか、次世代のプロレスなんて言われていたし、ガチで
やればU系の方が強いなんて言われていてちょっと癪だったんだけど、前田日明は
好きでね。
高田は嫌いではないけどやっぱり新日でのジュニアヘビーだった頃の面影が
ずっとあるんで何か認められないと言うか・・・。
UWFやUインター、リングス、藤原組、パンクラスなどの裏事情はそれほど
詳しくはなかったけど、もちろん週刊プロレスを毎週買っていたくらいなんで
薄々気づいてはいたけど、やっぱりね、まあそういうことだわねー。
リングスでも言われていたしね。
一つだけここでお話しすると、従来のプロレスが嫌で”真剣勝負”を謳う試合を
しようとしてもどうしてもそれは不可能ってことね。
そりゃそうだよね、まず選手がつぶれちゃう、ケガしちゃう、一番大きいのは
前田にしても高田にしても船木にしてもエースが負けちゃうとか、試合に出ないとか
外人がメインイベントになるとかしちゃうと後楽園ならいざ知らず地方じゃお客さんが
入らないって。
なので、どうしても「次の〇〇VS〇〇はお前負けてね」・・・ってのが出てくると。
ただだいぶガチもあったらしいね。シュートって言うんだけど。
でもパンクラスは初めはシュートをやったんで”秒殺”って言葉がプロレス界で
流行ったんだけど。
余談だけど、四の字で武藤が勝った、武藤VS高田戦だけど、自分の予想としては
新日がまずは負ける→そのあと武藤が勝つ、って筋書きかなと当時思ったんだけど、
逆だったね。
もう一つネタばらしすると、高田にはそのあとは橋本、佐々木健介、長州なんかとも
対戦して勝ちを上げるって話があったとかないとか(笑)。その代わり初戦は負けてくれと。
でも高田は偉いと思うよ。会社の借金、選手への給料を考えてこの条件を飲んだんだからね。
お互いの会社にはものすごく利益があったということでしょうね。
重ね重ね本当に高田選手の英断はすごいと思う。
この本は色んな人の証言なので少しずつズレているかもしれないし、同じ事件でも違う視点から
見ているから見解の相違があって興味深い。人によりとらえ方が違うもんね。
安生の前田襲撃事件や、パンクラスへの前田の暴言、船木や鈴木みのるの人間性、田村の
行動とか批判とか、意外と安生が慕われていたり(笑)、まるで世界は違うけど、
リッチー・ブラックモアとイアン・ギラン、ロニー・ジェイムス・ディオあたりのレインボー
での批判合戦みたい(笑)。
いや、それは冗談として、ここで話している選手たちの何が素晴らしいって、”あの時は
こう思ったけど、あの状況であの立場だったら仕方なかったかなと思います”とか
”自分を育ててくれたんで恩義はずっと感じています”とか”反発していたけど大将に直接
言われたらやるに決まっていますよ”とか、実に清々しく男らしい発言が多くて昭和の
格闘家だなーって思った(笑)。
みんな義理人情が過ぎるよ(笑)。今だったらもっとずっとドライだろうね。
立場ってのは本当に難しいんだ。
清廉潔白な人はいないのはわかっているけど、それでも給料を払うために
した行為、会社のイメージを保つためにした行為、その選手の為を思って
した行為、タイミングがズレて不義理になってしまった行動、周りから
吹聴されて誤解からしてしまった行為などなど・・・あれだけの人間、
それも一癖も二癖もある連中で巨額のお金が動き、そこへ各々の理想なんかが
入ってきたらスムーズに運ぶ方が奇跡だと思うよね。
それも20~30代くらいの若者だもんね。
下は下で理想のプロレスをやりたいってのはあるだろうけど、上は理想だけでは
食べていけないってのもあるわけだし。立場ってのは本当に難しい。
ちなみに誰が悪くて誰が正しいとか誰が立派で誰が卑怯・・・とかはないですよ、この本。
横領の部分はちとわからないけど、基本、前田にしたって高田にしたって佐山にしたって
クズな部分と筋を通している部分も両方あるわけでね。
いいじゃない、人間だもの、ってやつです(笑)。