大げさなタイトルですが・・・。
”音”を仕事としている人間は当然”音”に敏感なのですが、ここ数年で
”あり得ない”と思っていたことが現実で可能になっているので驚いているんです。
細かいことを言えばたくさんあるのですが、例えばコンプレッサーやマキシマイザーの
類の進化。ざっくり言ってしまえば”小さい音を大きく、小さな音量でもすべての音を聞こえるようにする、
迫力を出す”等に主に使われるのですが、音楽の世界だけでなく、20~30年前くらいの
TVドラマなど今よりセリフが聞き取りにくいでしょう?
今はそんなことないですよね。こういった機器の恩恵ですね。
そして今回書きたかったのは、ビートルズ関連の話なんですが、新たなミックスが出る・・・と
言うことで正直、もういいよ、となっていたわけです(笑)。2009年の最新版で非常に綺麗で
音質も良く満足していたので。
これ以上音質がどうのこうの言っても大して変わらないよ、と。
と・こ・ろ・が・・・。
これがヤバイ出来なんですよ。
何がヤバイって、あたかもレコーディングした時代にタイムスリップしてジョンが「ギターを
もうちょい右にPANしない?」と言ったらエンジニアが「了解」ってやったみたいな今までと
全く次元の違う新たな音源!
これ、説明すると、例え話だけど「ここにケーキがある。ここから卵と小麦粉とバターと砂糖に
別々に取り出すことが出来る」みたいなことがついに出来るようになってしまったんですよ!
今まで一度一緒になってしまった音源、例えばドラムとベースが一緒になった音源から
ベースだけを取り出すなんて不可能、あるいは綺麗には出来ない、と言うのが当たり前だったんだけど
それが驚異的なクオリティで出来るようになった・・・と。
よく「科捜研の女」でノイズだらけの音源から犯人の声だけを一瞬で抜き取る、ってあり得ない
描写があったけど(笑)あれが本当に出来るようになっていて・・・。
本当にリンゴの”スネアの音”だけを抜き取ることが出来るんだって。
で、肝心のビートルズの音源ですが、本当に驚きました。
リボルバーの1曲目”TAXMAN”しか聞くことは出来ないのですが、これのステレオミックスが
世界標準なのですが、これはドラムとギターが左チャンネルにまとめられていてベースは別個に
録った感じ、ボーカルも1トラックにまとめられていた感じだったんですが、なんとボーカルが
複数トラックに録られたように広がりがあり、リズムギターがドラムと切り離され、右に定位している。
科捜研の女が現実になっているんですよ(笑)。マリコもびっくり。いや、マリコは驚かないか。
おそらく全アルバム、これをやるんじゃないかと思います。
結局、SACDとかなんとかとか色々あってもミックス自体は変えようがないので、購入しなかったのですが
ここまでミックス自体が変わるとなると無視するわけにはいかなくなっちゃいますよね。
まあ、ここ数年、妙な音源、”○○のベース音だけ”、とかあったし結局AI技術なのですが、ボーカルだけ
抜き取ったやつとかインストだけとか、既存曲からボーカルだけを抜き取る有料サービスとかあったので
うすうすそんな気もしていましたが、ついにここまで来ましたかって感じです。
でもここまでいじることが出来ると、誰々リミックスバージョンとか別物が出来上がっちゃったら怖いですよね。