ライブにおけるベースの音作りの難しさ、複雑さ、難解さ、回りくどさは半端ない(笑)。
それに対してギターはキャビネットの前にマイクを立てて音を拾うわけだから、わかりやすいよね。
実際に自分が聞いている音と多少の誤差はあれ、マイクで音を拾うと言ういたってシンプルな
方法なのであまり悩むこともない(実際にはギタリストもそれなりに悩んでいるだろうけど)。
それに比べ、ベーシストはいったいどれが本当の自分の音?ってなるのよね(苦笑
なぜかって言うと、皆さんご存知のようにベースアンプに行く前にDIで信号が分岐され、
一つはアンプにひとつはミキサー卓へ行く。7:3か6:4くらいでDIの音が多めに外に
使われる場合が多い。T☆ROCKSではベースアンプの前にマイクも立てて3割4割
くらいはアンプの音も混ぜている。
まずこの時点で、アンプで極端にEQなどを駆使して音を作っても外にはあまり反映
されないことになる。ただし、それほど大きくないライブハウスなら当然生音もお客さんに
聞こえているので、アンプの音も大きく影響はする。ただ外音とイコールではないと言うことだね。
そして、最近、(当然と言えば当然なのだが)ベースアンプのEQとはいったいなんぞや?と
考え始めている。と言うのもDIに行く前に足元などでプリアンプやEQ、コンプなどで音作りを
完結したとして、アンプに行き、そこでまたEQをいじる、またはコンプなどが付いていれば
それも調整する・・・と、言うことは足元で「これでいい」と思った音作りに加えて、EQなどで
さらに調整をすることになる。で、前途したようにアンプでの音作りは原則、外音に反映されない。
パッシブの、それほど太い音ではないベースを直でアンプにつなぎ、EQでそれを補うように、
太く低域の効いた音にしてライブはバッチリだったとしても、録音された音はラインのみの
EQで調整していない音なので、思った様な音ではない、と言うことも起こり得る。
なので、足元で、つまりミキサー卓に行くまでにベースアンプのEQで補正するのと同じことを、
完了させておきたいと言うことでみんな、プリアンプやEQなどで音作りをする・・・。
で、そうなると、いったいアンプのプリ部って何?邪魔じゃね?ってことになるわけなのよ(笑)。
二重に調整することになるからね。そこで、じゃあ、そこをスルーしちゃおうってことで、アンプの
裏についているリターン端子を使ってプリ部を通らないでボリュームのみ、つまり純粋な
アンプリファイアー(増幅器)としてだけの役割としてベースアンプを使う・・・と、確かに
これも一理ある。一理あるんだけど、これがまた結構面倒くさい。まず、DIに行く信号が取れない。
ベースからペダルを経由してアンプのリターンに行くわけだから、DIに行く経路がない。
DIに行く前に信号を2系統に分けて一つをDIに行かせるしかないね。
センド&リターンを使っても同じだ。センドからペダルに信号が行くわけだから、DIに入る信号は
ベースからの直の音になるわけで、これでは意味がない。
あるいは、足元のプリなどのペダルにキャノンアウトとダイレクトアウトがあれば、つまりDIと
同じ機能があればそれを利用すれば出来る。出来るけど、出来ればプリフェーダーにして、
プリアンプのボリュームを変えても音量が変化しないようにしておいた方がPA屋さんは安心
出来る。プリフェーダーにしてボリュームが変わらないかどうかは機種によって違うかも知れない
のでなんとも言えないけど。
どちらにしろ、結構面倒くさい感じにはなるよねえ・・・。
まあ、アンプのDIアウトを使うってのもあるんだけどさ。その店によって違うだろうし、大体は
DIを用意してある場合の方が多いだろうから、それを伝えるのも面倒かけてイヤだしねえ(笑)。
それともう一つはベースアンプのEQ部分に0位置があって、そこを基準に増減するタイプだと、
かなりフラットな音が期待できるかも。多分だけど。ま、いくらゼロとは言ってもそのアンプの
特性が絶対に出るので、EQ部分(プリ部分)を完全にスルーしているわけではないので、
なんとも言えないけどね。
逆にゼロ位置から増やしていくだけのEQだと、どんどん音が変わって行く・・・行くはずなんだけど、
これまたどういう設計をしているかわからないので、実はどこかの位置にフラットに近い位置が
あるかも知れない。確かギターアンプのJC-120はミドルが全開でフラットなんじゃなかったっけ?
そんなわけで、ベースアンプでいったいどこまで音を作っていいのか、悩むんだよね。
基本自分はほとんどフラットで使いたいと思っている。出来れば単純に増幅器としてだけで使いたい。
実際プロのベーシストで自分のアンプを所有している人でそういうアンプ(増幅するのみ)を選んで
いる人がいることも確か。
それと、じゃあ、ベースアンプではなく、モニターからの音の方が素の音に近いんじゃないの?って
人もいるんだけど、残念ながらモニターにも勝手にEQがかかっていて、当然ハウリングしやすい
周波数や60Hz以下は落としてあったりする。なのでこれもアテにならないんだな(笑)。
まあ、ベースに限らず、ギターでもなんでも、「他の楽器のとの兼ね合い」が大事だから、
自分の音だけで判断することは難しいし、ベースアンプのEQはその時の状況によって、
補正をする意味で増減をするのが一番正しい使い方かも知れないね。
そもそも、ベース本体に電源を必要とするプリアンプを入れて安定したローとハイを得て、
尚且つ周波数を調整できると言う考えは、昔からあるにはあるけど、有名なのは、
マーカスミラーの77年製ジャズベースにロジャーサドウスキーが入れたプリが、
レコーディングの際にアンプを用意しなくても、即レコーディング卓に突っ込んで、良い音が
得られるから、ってのが大きいね。
あ、ちなみに「あまり詳しくないかも」って人に説明すると、パッシブベース(電池を必要と
しないベース)のトーンってやつは抵抗を入れて減衰させてるだけだからね。
電池が入っているベースのトーン(トレブル、ベース、ミドルなど)は電源の力を借りて、
増減しているので、そこのところを勘違いしないでね。
つまりパッシブベースの場合はすべてのコントロールが全開の位置がそのベースの
フラットの音と言うことになる。アクティブ(電池入り)の場合にコントロールを全開にすると、
音を増幅していることになる。
先のマーカスのベースの例を取ると、アンプの代わりにベース内にプリアンプを入れたってのが
やはり正解で、ベース本体のプリや、足元のプリアンプなどで音を増幅した場合は、アンプの
プリ部(EQなど)は大きく音作りに使わない方が正解かも・・・とも思う。
思うのだが、ここが大事。何かと言うと音楽は数式ではないので、音楽として聴いた時に
気持ちの良い音が出ていればアンプのプリ部をいくら動かそうが、それが一番の正解と
いうこと・・・ですな。
あ、ちなみに奥の手として(?)「ライン信号は使わないで、マイクのみの音を使ってください」と
潔く言ってしまうのも手だよ。うちでも大丈夫だし、大概それほど難しくないので対応してくれると
思う。それだと心置きなく好き勝手にベースアンプのEQを使うことが出来る(笑)。出来るって言うか、
それが100%反映される。