個人的に好きなボーカリストの一人に、ロビン・ザンダー(チープ・トリック)が
いるんだけど、デビュー当時は”七色ヴォイス”なんて言われていて、確かに
激しいシャウトや野太い声、バラードでの甘い声や、わざと鼻にかけたような
声の出し方やかすれたハスキーヴォイスなど、変幻自在に操ることが出来て、
凄いと思ったねえ。そして基本的に非常に強くて力強い喉をしていますね。
1978年頃
まあ、他にも素晴らしい声の持ち主はいっぱいいるよね。
ロニー・ジェイムス・デュオ、グラハム・ボネット、ジェフ・テイト、ポール・スタンレー、
フレディ・マーキュリー、ロブ・ハルフォード、スティーブン・タイラー、スティーブ・ペリー、
ブラッド・デルプ(ボストンの初代ボーカル)・・・・ロック系ばかりだな。
ロックに限らず言えば、ジョン・レノンの声も大好き、カレン・カーペンターも
艶があって深みが合って素晴らしい歌声だよね。
大好きなスージー・クアトロも声は大好きだけど、ここに列挙するほどではないと言うか。
ナイト・レンジャーのジャック・ブレイズも相当歌がうまい。相当うまいけど、同じくここに
書くくらい特徴があるわけではない。
同じようにポール・マッカートニーも個人的にはボーカリストとしては、そんなに高い評価を
していないんだな。あくまで個人的にですよ。ジョン・レノンの方がボーカリストとしては
(俺の中では)高評価である。
ビートルズの中で常に一番高いパートを受け持つポールで実際にもかなり高いキーでも
平気で歌っているんだけど、最近少しショックだったのが、マジカル・ミステリー・ツアーを
歌う際に、あのイントロの♪Roll up, roll up for the mystery tour,のロールアップの
部分はA音(ラ)が続くんだけど、これ、男性でA音をずっと長く伸ばすのはかなり厳しい。
でもポールは昔はなんなくやっていたはずなんだけど(実際ポールのパートのはず)、
最近のライブではその下を歌っているんだよねえ。
常にバンドの中で一番高いパートを歌っていたポールも人に任せるようになったか、と
ちょっとさみしく思ったよ。
(↓なんとなく左から年代順、途中不謹慎な写真アリ(笑))
声に特徴があって、面白いのはモトリー・クルーのヴィンス・ニール。
男性と女性の中間くらいのキーで、凄いよね。小田和正みたい。
センターにいるにはふさわしい派手さで、やっぱりバンドのボーカルは華がないとね。
一回脱退していて、その間にジョン・コラビが入ったんだけど、地味だったからねえ。
ライブをやるにあたって、プロモーターが「金髪のボーカルを戻せ」って言って、
メンバーが激怒したって話があるけど、それは一理あるんだよね。
「お客は派手な金髪のボーカルが飛んだり跳ねたりするところをみたいんだ」って
音楽性無視の乱暴な発言だけど、確かにコラビよりヴィンスの方が面白いライブの
ような気はする。宣伝材料としてもね。
ヴィンス(今&昔)(笑)
ジョン・コラビ(おまけ)
で、そのヴィンスだが、最近はさすがのヴィンスも高音が出づらくなったらしく、
高音を出すときにマイクを口から遠ざけてごまかすときがある。
あれは”声量が大きくなるから、マイクの距離を調整しているんですよ”と言う体で
高音が出ないのをごまかしていると思われる。
これをやるボーカリストは結構いて、残念ながらロビン・ザンダーも結構やる。
一瞬高い音に届かなくて、その後その音に届くとマイクの距離を元に戻したりして。
さて、その強力な声を持ったボーカリスト、ロビン・ザンダーだが、ごく最近と思われる
映像を見たんだけど、なんと随分と声が出なくなっている!
先に述べたように”高音が・・・”ってレベルではなく、全体に弱くなって音域が狭くなって
いると言うか・・・。
それも「サレンダー」と言う俺も歌うのにちょうどいいくらいにキー的には高くもなく、
特別難しくもない曲で、歌うのがつらそうになっていて、かなりショックである。
そりゃ若い頃よりは少しずつ衰えていくのはわかるけど、ちょっと尋常でないと言うか。
自分も元々はボーカリストではないものの、ベース&ボーカルは20代後半くらいから
やっていて、やはりその頃よりは声帯も変化はしているだろう。
ただハイトーンをウリにしていなかったから、まああまり変化は感じないと言うか・・・。
ロバート・プラントみたいな声だとやっぱり、歳を重ねるごとに高域は出なくなって
くるだろうから、人からは”劣化”と見られてつらいだろうなと思う。
レッド・ツェッペリンの再結成ライブで、あれ?普通に歌ってるじゃんって思ったけど、
実は一音下げ(もっと下がってたっけ?)だったらしいね。チューニングの話だけど。
ま、ナイト・レンジャーも全盛期よりは半音下げだし、その方が聞き苦しくなければ
いいんだ。無理にこだわる必要もないよね。
ポールはかたくなに下げないね。生ピアノもあるから面倒ってのもあるかもだけど、
それよりプライドだろうなあ・・・。以前(40歳くらいになったときだっけ?)「アイ・ソー・
ハー・スタンディング・ゼアをオリジナルキーで歌えたよ」って喜んでいた話があった
んだけど、この人は「自分の作った曲をオリジナルキーで歌う」ことにプライドと
こだわりを持っているね。
そう言や、ロン・キールなんて言うハイトーン・ボーカリストもいたな、LAメタルが
流行ったころに。ああ言うスタイルがウリのボーカリストは維持するのが難しい
よね。ちょっとでも高い音が出なくなると大騒ぎされちゃうもんね(苦笑
ジョン・ボンジョビだってデビュー当時はハイトーンがウリだったよ、少なくとも
日本では。ま、徐々に楽曲重視のバンドになっていったわけで、今はジョンに
特別ハイトーンを求めることはないだろうからいいけどね。
いつまでもハイトーンを求められるボーカリストは大変だよ。