前橋の帰り、清瀬駅で降ろしてもらって、練馬行きの急行を待っていたら、大きな声で怒鳴り声が聞こえてくる。ケンカかなと思って、知らんふりしていたんだけど、ちょっと見に行ったら、階段のところで20代の男性がうずくまっている。つれの若い女性が泣きながらなぐさめていて、数人がそばによって慰めている。
男性も、酔っぱらっている風でなく、心底落胆して泣いているようだった。何に泣いているのかよくわからなかったが、徐々に落ち着いてくれた。何だかほっとした。世知辛い世の中で、知らない人も、事情もわからず、なぐさめているのがすごく感動的だった。
ワシもつらいことは、今週、多々あった。とかく、自分だけが辛いように思ってしまいがちだが、この男性のように、ものすごく辛いことを胸に抱き、耐え切れず、衆目をはばからず、泣く人もいる。そして、それを慰める人もいっぱいいる。みんな自分のなかに同じ経験や気持ちを持っているからだろう。
やがて、電車が来たから、その場を離れたが、大きな声で、「俺も、そこにいる人たちも、みんな君のことを心配しているよ。元気出して!」とだけ、声をかけてあげた。声はしっかり届いたようだった。
声をかけてあげたら、自分も何だか、元気になった。他人を励まして、それが自分に帰ってきたのだろう。こだまでしょうか、というやつである。