風呂上り、暑くなって、寝間着姿で、ちょっと外に出てみた。風が心地よい。いよいよ夏近い。この季節になると、子供のころを思い出す。実家は田園地帯で、6月頃になると、そろそろカエルが鳴きだし、稲穂も緑が鮮やかになってくる。
そして、ホタルである。当時は用水路は石垣を積んでこしらえたもので、そこにヘイケボタルが育ち、夜、それほどにぎやかではないが、ぽつぽつと蛍が飛ぶ。あ、あそこにいた、みつけたという感じ。父親が一匹捕まえて見せてくれた。お尻が光っていた。
そのうち、やがて、その用水路は、何故か立派なコンクリートに進化し、それと同時に蛍は姿を消した。蛍の光は、それ以来、記憶の中でしか光らなくなった。
蛍が見たい。年々、その気持ちは強くなっている。今年は蛍が見たい。