夕立図鐔 鉄元堂正楽 Shoraku Tsuba 2019-04-12 | 鍔の歴史 夕立図鐔 鉄元堂正楽 夕立図鐔 鉄元堂正楽 正楽の得意とした図柄。小屋に逃れてきた御師など。裏には黒木売りの女が、もう売り物にならないと思ったのか立ち尽くしている。その様子を眺めながら走り去るのは僧侶か。空には渦巻く雨雲。稲妻が空を切る。
夕立図鐔 Nara Tsuba 2019-04-11 | 鍔の歴史 夕立図鐔 奈良派 夕立図鐔 突然の雨。雷が近づいてきたのであろう、鍬を担ぎ鎌を放り出したまま逃げ出す農夫。そのあわただしさが窺える。農村の一場面である。この図は、次に紹介する正楽によって広く知られている。
釜洗い図鐔 岩本昆寛 Konkan Tsuba 2019-04-10 | 鍔の歴史 釜洗い図鐔 岩本昆寛 釜洗い図鐔 岩本昆寛 昆寛の代表作の一つ。水辺に生きた人々の日常風景を描いた作。月を見上げるところは、遠く故郷に残してきた妻や子を思い出している様子であろう。安親の木賊刈図にもあるように、遠く離れた人への思いの強さを表現するのに月は良い素材である。表裏共に大きく空間を活かし、揺らぐ空の様子を鉄地の鍛え肌で表現している。
舟人図鐔 牧川 Bokusen Tsuba 2019-04-09 | 鍔の歴史 舟人図鐔 牧川 舟人図鐔 牧川 この鐔に描かれている場面が一体何なのか、実はわからない。水辺に生きた人々が題材であろうか、飛び立つ鳥を見上げているところなどは何となくとぼけていて、鳥を狙った猟師でもなさそうだ。これも鄙びた風情が良く示された、面白い図である。山下牧川は江戸中期の京都金工。
釣り人図縁頭 細野政守 Masamori Fuchigashira 2019-04-09 | 鍔の歴史 釣り人図縁頭 細野政守 釣り人図縁頭 細野政守 政守らしい鄙びた川辺の風景。筏の川下りが描かれていることから、桂川であろうか、岸部では川に突き出した釣り場で糸を垂らす者、釣りあげた魚が宙を舞っている様子などを捉えている。
祭り図鐔 細野政守 Masamori Tsuba 2019-04-08 | 鍔の歴史 祭り図鐔 細野政守 祭り図鐔 細野政守 季節はいつ頃であろうか、祭り、あるいは花見のような行楽であろうか、群衆を政守独特の俯瞰になる構成で表現した鐔。農村風景ではないが、農村にも年に幾度はこのような楽しみがあった。
鶏図鐔 Iwamoto Tsuba 2019-04-08 | 鍔の歴史 鶏図鐔 鶏図鐔 岩本派 人物は描かれていないが、日のまだ昇らぬ頃の農村の様子が映し出されている。藁ぶきの小屋の上には日の出を待つ鶏。松の幹の藁束は冬囲いであろうか。
採り入れ図鐔 一宮長常 Nagatsune Tsuba 2019-04-06 | 鍔の歴史 採り入れ図鐔 一宮長常 採り入れ図鐔 一宮長常 収穫のころの農作業、その合間の一休みといったところを捉えた作。一宮長常もまた人物描写に優れた金工。強弱変化の富んだ片切彫平象嵌を駆使し、人間の動きの中に垣間見せる細やかな表情を再現する。ここでも、汗を拭く農夫、採り籠を前に歓談する夫婦か親子。背景は極めて簡略化された片切彫のみ。色金の使用もごくわずかながら、人が存在することによってのみ生まれる独特の空気感が立ち込めている。
雀おどし図鐔 岩本寛利 Hirotoshi Tsuba 2019-04-04 | 鍔の歴史 雀おどし図鐔 岩本寛利 雀おどし図鐔 岩本寛利 岩本寛利は昆寛の門人で、後にその養子となって家を継いだ名工。図の干した稲に群がる鳥を追い払う農夫は、その片手間で草鞋を編んでいる。秋の野の風景。精密で正確な描写は、師ゆずり。鄙びた景色でありながら、際立つ写実的描画により、先に紹介した元廣や政守とは自ずと異なった印象の農村風景となっている。
収穫図縁頭 細野政守 Masamoro Fuchigashira 2019-04-02 | 鍔の歴史 収穫図縁頭 細野政守 収穫図縁頭 細野政守 同じ政守の、収穫の季節を題にとった作。稲刈りから乾燥、俵に詰めるまでの様子が描かれている。彫口は、朧銀地に毛彫と平象嵌。決して写実的高彫表現ではないのだが、描かれている人々が生き生きとしている。ここが政守のすごいところ。 にほんブログ村
田植え図鐔 細野政守 Masamori Tsuba 2019-04-01 | 鍔の歴史 田植え図鐔 細野政守 田植え図鐔 細野政守 以前にも紹介したことがある細野惣左衛門政守は、京の金工で、京都近郊に取材したものであろうか、農村や川辺の風景を、俯瞰した構成で描くを得意とした。この一連の作品が好例。遠くに京の街並みが見える。田植え、種まきか追肥か、俵に荷を詰め込む者もある。裏は収穫の時期であろうか。この図は好まれたのであろう、同じ景色が採られた別の鐔もある。鄙びた農村風景ながら、何となく先に紹介した元廣や一春の作とは異なる風情が感じられる。 にほんブログ村